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出会いと寒空
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一目惚れ。
色々言いたいことはあるがもし一言で表さなければならないならそう表す。ピシャン!と雷に撃ち抜かれたような感覚がまっすぐ駆け抜けていった。
高揚し震える手で毎日のように買っているおにぎりを握りしめる。
「あの…大丈夫っすか?」
興奮のし過ぎで息が荒くなっていたかもしれない。不安げにコンビニ店員の少年がたずねる。
「いっいや!えっと、その、君!連絡先…教えてくれないかな!」
緊張で声が裏返ってしまう。いきなりの提案に少年は訝しむような目線を私に送った。流石に早急すぎただろうか。
「…………。いいっすよ。」
エプロンのポッケからスマートフォンを取り出すと手馴れた手つきで連絡先を追加する。そのスムーズさにいつものこんなことを頼まれているのかと嫉妬した。
「あの………いつまで見つめてるんすか。」
気がつくと彼の顔を見つめながら棒立ちしていたらしい。少年の一声でハッとした。
「すまない…また会えるかな?」
「会いたいから連絡先交換したんじゃないんすか。」
呆れたような笑いを零す少年を見てこんな笑い方をするんだと年甲斐もなく胸がときめいた。
心が満たされてるような気がして仕事の疲れも吹っ飛んだ。コンビニを出て街灯の下を細々と歩く。北風が突き刺さって痛い。
「この歳になって一目惚れかぁ……。」
独り言は雲ひとつない星空に吸われていった。
財布と買ったものをコンビニに全て忘れて少年が家にたずねる事になるとは露知らず。
「あはは!荷物を全て忘れちゃうなんて!おにーさん面白いっすね!」
寒空の下腹を抱えて大笑いする褐色の少年をじとりと見つめる。
「笑い事じゃないよ。君が来てくれなかったら家に入れなかったんだから。はぁ。」
どうしてここがわかったんだい?とたずねれば「おにーさん連絡先に住所とか全部書いてあるでしょ?気をつけなきゃダメっすよ~。」と言われてしまった。そういや面倒くさくて全て記載した気がする。連絡先なんて親しか持っていないのだから問題ないと思ったのだ。
そんな事はどうでもよくてこの状況、チャンスではなかろうか。もう夜も遅い。少年ひとり夜道を歩かせるのは危険だろう。
「君…慧人君だっけ?泊まっていきなよ。」
狭いアパートだが1人ぐらいなら問題ない。突然の提案で怪しさ満点だが慧人はぱぁぁと口角を上げ嬉しそうに笑った。
「いいんすか!」
食い気味に近寄ると飛び跳ねて喜びを体現した。
「おにーさんは…」
「咲真」
「え?」
「名前だよ、咲真って呼んでくれ。」
わかりました!と大きな声で返事をする。狭い玄関に散りばめられたゴミを端に押し込め慧人に少しでも見栄を張ろうとして笑われたのは忘れたい記憶だ。
暫く人の入っていなかった居間に慧人を通す。2人で食卓を囲み夕飯(先程買ったコンビニのおにぎりだけだが)を食べた。
「ご両親には連絡しなくていいのかい?」
今更だがいきなり家に連れ込んだのだ。通報されでもしたら勝ち目がない。彼のことは好きだが刑務所に入れられたら会えなくなってしまう。
「あー、うち両親いないんで大丈夫っすよ。」
彼いわく幼い頃に両親をなくし書類上は親戚に引き取られたことになっているが実際は家だけ与えられ完全に別居しているらしい。
「ふーん、なら私の家に来るかい?」
「えっ!いいんすか!」
無邪気に笑う彼を見て頬が緩む。好きな子を手篭めにできるこの上ないチャンスなのだ、逃す気など元々ない。
色々言いたいことはあるがもし一言で表さなければならないならそう表す。ピシャン!と雷に撃ち抜かれたような感覚がまっすぐ駆け抜けていった。
高揚し震える手で毎日のように買っているおにぎりを握りしめる。
「あの…大丈夫っすか?」
興奮のし過ぎで息が荒くなっていたかもしれない。不安げにコンビニ店員の少年がたずねる。
「いっいや!えっと、その、君!連絡先…教えてくれないかな!」
緊張で声が裏返ってしまう。いきなりの提案に少年は訝しむような目線を私に送った。流石に早急すぎただろうか。
「…………。いいっすよ。」
エプロンのポッケからスマートフォンを取り出すと手馴れた手つきで連絡先を追加する。そのスムーズさにいつものこんなことを頼まれているのかと嫉妬した。
「あの………いつまで見つめてるんすか。」
気がつくと彼の顔を見つめながら棒立ちしていたらしい。少年の一声でハッとした。
「すまない…また会えるかな?」
「会いたいから連絡先交換したんじゃないんすか。」
呆れたような笑いを零す少年を見てこんな笑い方をするんだと年甲斐もなく胸がときめいた。
心が満たされてるような気がして仕事の疲れも吹っ飛んだ。コンビニを出て街灯の下を細々と歩く。北風が突き刺さって痛い。
「この歳になって一目惚れかぁ……。」
独り言は雲ひとつない星空に吸われていった。
財布と買ったものをコンビニに全て忘れて少年が家にたずねる事になるとは露知らず。
「あはは!荷物を全て忘れちゃうなんて!おにーさん面白いっすね!」
寒空の下腹を抱えて大笑いする褐色の少年をじとりと見つめる。
「笑い事じゃないよ。君が来てくれなかったら家に入れなかったんだから。はぁ。」
どうしてここがわかったんだい?とたずねれば「おにーさん連絡先に住所とか全部書いてあるでしょ?気をつけなきゃダメっすよ~。」と言われてしまった。そういや面倒くさくて全て記載した気がする。連絡先なんて親しか持っていないのだから問題ないと思ったのだ。
そんな事はどうでもよくてこの状況、チャンスではなかろうか。もう夜も遅い。少年ひとり夜道を歩かせるのは危険だろう。
「君…慧人君だっけ?泊まっていきなよ。」
狭いアパートだが1人ぐらいなら問題ない。突然の提案で怪しさ満点だが慧人はぱぁぁと口角を上げ嬉しそうに笑った。
「いいんすか!」
食い気味に近寄ると飛び跳ねて喜びを体現した。
「おにーさんは…」
「咲真」
「え?」
「名前だよ、咲真って呼んでくれ。」
わかりました!と大きな声で返事をする。狭い玄関に散りばめられたゴミを端に押し込め慧人に少しでも見栄を張ろうとして笑われたのは忘れたい記憶だ。
暫く人の入っていなかった居間に慧人を通す。2人で食卓を囲み夕飯(先程買ったコンビニのおにぎりだけだが)を食べた。
「ご両親には連絡しなくていいのかい?」
今更だがいきなり家に連れ込んだのだ。通報されでもしたら勝ち目がない。彼のことは好きだが刑務所に入れられたら会えなくなってしまう。
「あー、うち両親いないんで大丈夫っすよ。」
彼いわく幼い頃に両親をなくし書類上は親戚に引き取られたことになっているが実際は家だけ与えられ完全に別居しているらしい。
「ふーん、なら私の家に来るかい?」
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