71 / 73
エンディング
出勤
しおりを挟む
「あぁ、終わった~!」
彼はコントローラーを放りだした。
「コンプリートしたの?」
キッチンから彼女が顔を出した。
「ああ、なんか変なゲームだったなぁ。君もやる?」
「バーチャルなんとか? わたしは興味ないわ。どっちかっていったら、ボード・ゲーム系がいいわ」
彼女は湯気の出たコーヒー・カップを二つテーブルに置き、彼の横に腰を降ろした。
二人はコーヒーを飲み始めた。
「天気どう?」
「今日はいい天気よ」
「あっそ、助かった。昨日は雨の中の撮影だったから、大変だったんだ。モデルの子もビチャビチャでさ」
「今日は、何するの?」
「昨日撮影した雨の中の歩行シーンのデータ取り。雨の中を歩いたときに、どうやって水がはじくとか、水がどう跳ねるかとかね……それをデータ化して、反映させるんだ」
「ふーん、地道な作業ね」
「あとは、机から落ちたときの消しゴムの跳ね方をあらゆる角度から撮影して、またそれをデータ化するかな」
「ふーん。そんなことまでやるんだ?」
「ああ、ありとあらゆる事象をデータ化するんだよ。キリがないよ」
彼は窓の外を見上げた。きれいな青空が見える。
「さあて、そろそろ行くか」
彼は腰を上げた。
「ねえ、ジャンパー乾いている?」
「乾いたわよ」
彼女は、彼にジャンパーを手渡した。
彼はジャンパーを受け取ると、マジマジと彼女の顔を見つめた。
「なによ」
「いや、君が本当に存在してるのかなって、思ってさ」
「えぇ? どういうこと?」
「いやね、なんかこんなゲームばっかり作ってるとさ、何がリアルで、何がバーチャルか分かんなくなっちゃうんだよね……」
彼女肩をすぼめて笑顔を返した。
「じゃあ、行ってくるよ」
「いってらっしゃい。フフ、意外とわたしたちも誰かのゲームや小説の登場人物だったりして……」
彼はスカイ・ブルーのジャンパーを着て部屋を出て行った。その背中には【V3】と印刷されていた。
彼はコントローラーを放りだした。
「コンプリートしたの?」
キッチンから彼女が顔を出した。
「ああ、なんか変なゲームだったなぁ。君もやる?」
「バーチャルなんとか? わたしは興味ないわ。どっちかっていったら、ボード・ゲーム系がいいわ」
彼女は湯気の出たコーヒー・カップを二つテーブルに置き、彼の横に腰を降ろした。
二人はコーヒーを飲み始めた。
「天気どう?」
「今日はいい天気よ」
「あっそ、助かった。昨日は雨の中の撮影だったから、大変だったんだ。モデルの子もビチャビチャでさ」
「今日は、何するの?」
「昨日撮影した雨の中の歩行シーンのデータ取り。雨の中を歩いたときに、どうやって水がはじくとか、水がどう跳ねるかとかね……それをデータ化して、反映させるんだ」
「ふーん、地道な作業ね」
「あとは、机から落ちたときの消しゴムの跳ね方をあらゆる角度から撮影して、またそれをデータ化するかな」
「ふーん。そんなことまでやるんだ?」
「ああ、ありとあらゆる事象をデータ化するんだよ。キリがないよ」
彼は窓の外を見上げた。きれいな青空が見える。
「さあて、そろそろ行くか」
彼は腰を上げた。
「ねえ、ジャンパー乾いている?」
「乾いたわよ」
彼女は、彼にジャンパーを手渡した。
彼はジャンパーを受け取ると、マジマジと彼女の顔を見つめた。
「なによ」
「いや、君が本当に存在してるのかなって、思ってさ」
「えぇ? どういうこと?」
「いやね、なんかこんなゲームばっかり作ってるとさ、何がリアルで、何がバーチャルか分かんなくなっちゃうんだよね……」
彼女肩をすぼめて笑顔を返した。
「じゃあ、行ってくるよ」
「いってらっしゃい。フフ、意外とわたしたちも誰かのゲームや小説の登場人物だったりして……」
彼はスカイ・ブルーのジャンパーを着て部屋を出て行った。その背中には【V3】と印刷されていた。
0
あなたにおすすめの小説
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる