V3

チャッピー&せんせ

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エンディング

出勤

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「あぁ、終わった~!」
 彼はコントローラーを放りだした。
「コンプリートしたの?」
 キッチンから彼女が顔を出した。
「ああ、なんか変なゲームだったなぁ。君もやる?」
「バーチャルなんとか? わたしは興味ないわ。どっちかっていったら、ボード・ゲーム系がいいわ」
 彼女は湯気の出たコーヒー・カップを二つテーブルに置き、彼の横に腰を降ろした。
 二人はコーヒーを飲み始めた。
「天気どう?」
「今日はいい天気よ」
「あっそ、助かった。昨日は雨の中の撮影だったから、大変だったんだ。モデルの子もビチャビチャでさ」
「今日は、何するの?」
「昨日撮影した雨の中の歩行シーンのデータ取り。雨の中を歩いたときに、どうやって水がはじくとか、水がどう跳ねるかとかね……それをデータ化して、反映させるんだ」
「ふーん、地道な作業ね」
「あとは、机から落ちたときの消しゴムの跳ね方をあらゆる角度から撮影して、またそれをデータ化するかな」
「ふーん。そんなことまでやるんだ?」
「ああ、ありとあらゆる事象をデータ化するんだよ。キリがないよ」
 彼は窓の外を見上げた。きれいな青空が見える。
「さあて、そろそろ行くか」
 彼は腰を上げた。
「ねえ、ジャンパー乾いている?」
「乾いたわよ」
 彼女は、彼にジャンパーを手渡した。
 彼はジャンパーを受け取ると、マジマジと彼女の顔を見つめた。
「なによ」
「いや、君が本当に存在してるのかなって、思ってさ」
「えぇ? どういうこと?」
「いやね、なんかこんなゲームばっかり作ってるとさ、何がリアルで、何がバーチャルか分かんなくなっちゃうんだよね……」
 彼女肩をすぼめて笑顔を返した。
「じゃあ、行ってくるよ」
「いってらっしゃい。フフ、意外とわたしたちも誰かのゲームや小説の登場人物だったりして……」
 彼はスカイ・ブルーのジャンパーを着て部屋を出て行った。その背中には【V3】と印刷されていた。
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