現世に疲れたので来世で一緒になります。～胡鳥の夢～

4羽 再会

 オオタカ。雄の全長約50センチ、雌の全長約60センチ。翼を広げると約100-130センチにもなる。強い脚力と人間の10倍の視力を持つとされる空の王者。

 対して現在の鷹行は全長約33センチの『キジバト』だ。残念ながらこの両者の関係は狩る者と狩られる者でしかない。

(くそっ！ 鷹行がタカに食べられるとかきつい冗談だろ)

 鷹行は目付きの悪いタカを睨みつける。これが今できる精一杯の抵抗なのだ。

 ブチブチと首筋の羽をむしり取られた。

(鷹行としての記憶が戻ったばかりなのに。ここまでなのか......)

 諦めかける鷹行。そしてタカと目があう。

「......冷たそうな目をしやがって。俺を食うのに遠慮なしかよ」

 その時人間として生を終える前の記憶、小鳩の言葉が脳裏をよぎった。

(目付きが悪くて冷たそうだけど本当は誰よりも優しくてあったかい鷹行くんの事、大好きだよ)

 鷹行は目を見開く。

「駄目だ！ 俺は小鳩を見つけてあいつの所に行くんだ！ こんな所で食われてやる訳にはいかない！」

 力を込めて振った頭が偶然近付いていたタカの頭とぶつかった。


 ......あれ？ 私一体何してたのかしら？ 記憶を辿る。
 人間に育てられていたけれど、途中で討田小鳩としての記憶を呼び覚まして逃亡。そして......それからの記憶がない。どうやらその後本能にのまれていたみたい。 その証拠に脚では獲物となる鳩を捕まえている。

「わぁ？ 私の意識保ったままでこんな食事はできないよぅ！」

 私が鳩を食べるなんて洒落にしか

「俺は小鳩の所に行くんだ！ 離してくれ！ 小鳩ー！」
「......え？」

 私は驚いて自分で押さえつけていると思われる鳩をまじまじと見た。つぶらな瞳でくりくりした目の鳩が必死で私の名前を叫んでもがいている。

「まさか、そんな......たかゆき......くん？」
「！？ どうして俺の名前を」

 鷹行と小鳩。崖から共に身を投げた二人がお互いの強い想いでついに再会した瞬間だった。