28 / 55
28話 予定変更
しおりを挟む
「いらっしゃーい! お泊まりですか? お食事...... って、あれ? あなたは......」
どうしてこうなったのかしら。 今私がいるのは血溜まり亭、じゃなかった日溜まり亭の一室。
私は日帰りの予定で計画を立て、そしてその結果宿屋で一泊する事になってしまった。
だって突然はこ丸が都に留まる事を主張したんだもの。
ベッドの上に座りはこ丸に呼びかける。
「さあ、きちんと説明してもらうわよ?」
(......)
はこ丸は黙っているけど、これは言葉を選んでるって感じがするわね。
(上手く説明できるか分からないが...... アイテムボックスの中には直接人を食べる存在がいると言ったのは覚えているか?)
「うん。 まだ見たことないけどね」
その存在を人知れず狩るのがヨーダさんの...... つまり私の役目とかって。
(箱憑きとはいわば...... その予備軍にあたるとでもいえばいいだろうか)
「予備軍? なんだか曖昧な表現だね」
はこ丸は少し黙り私に質問してきた。
(あの市場で見かけた人間、あからさまにおかしな点があったとすればなんだと思う?)
「え、なんだろ」
万引きじゃなくて手品だったから人に披露しない方がおかしかったとかかしら? いやでも予備軍って事なら手品でもないか。
「ん、あれ? 予備軍って事ならアイテムボックスに入れてたって事? ならやっぱり万引きじゃ......」
あ!?
「アイテムボックス! そうよ。 どう見ても成人してないあんな男の子がどうして!」
(そう。 契約は必ず成人してから行われる。 それ以下の年齢ではまだ精神が熟達していないため使用できないとされている)
そんな理由が? 深く考えた事なかったけど。
「じゃあ熟達していない精神でアイテムボックスを持つとどうなるの?」
(......)
はこ丸が更に慎重になった気がした。
(これはあくまで場合によるとしか言えないのだが、未熟な精神が汚染または侵食される可能性がある)
「うん? よく分からない」
(人格が変わるなどの影響が出て、最悪になると存在そのものがアイテムボックスにとって変わられる)
!? 衝撃が私を襲う。
(アイテムボックスは擬態が得意だが、人間の身体そのものがその容器となってしまうのだ。 そしてアイテムボックスはなに食わぬ顔で人間社会に溶け込み...... 他の人間を食らう)
というのが箱憑きの基本行動パターンになると説明を加えたはこ丸。
「私は深く考えずに成人するまで持てないものだって思ってたんだけど。 皆もそんな感じだったし」
(こんな理由を説明できると思うか?)
「......できないよね」
(当然これは伝えられていない案件だ。 もしこれを知っているような者がいたとすれば......)
「いたとすれば?」
はこ丸は少し間をおいて言った。
(国の根幹に関わっているか『我々』と同じ様な事をしているか、だ)
「え!? 私達と同じ様な事?」
私は驚く。
(監視したり情報を集める役目は必要だろう? こちらとしても行き当たりばったりで遭遇し、それを排除する訳ではない)
「それは...... そっか」
そりゃそうだよね。 そんなやり方じゃ効率に関して言えば悪い事この上ないし。
「あれ? でもそれ宿屋に泊まった理由にはなってなくない?」
(まぁ...... 泊まる事が目的ではないからな)
はこ丸の説明により私は夜遅く宿を抜け出す事になった。
どうしてこうなったのかしら。 今私がいるのは血溜まり亭、じゃなかった日溜まり亭の一室。
私は日帰りの予定で計画を立て、そしてその結果宿屋で一泊する事になってしまった。
だって突然はこ丸が都に留まる事を主張したんだもの。
ベッドの上に座りはこ丸に呼びかける。
「さあ、きちんと説明してもらうわよ?」
(......)
はこ丸は黙っているけど、これは言葉を選んでるって感じがするわね。
(上手く説明できるか分からないが...... アイテムボックスの中には直接人を食べる存在がいると言ったのは覚えているか?)
「うん。 まだ見たことないけどね」
その存在を人知れず狩るのがヨーダさんの...... つまり私の役目とかって。
(箱憑きとはいわば...... その予備軍にあたるとでもいえばいいだろうか)
「予備軍? なんだか曖昧な表現だね」
はこ丸は少し黙り私に質問してきた。
(あの市場で見かけた人間、あからさまにおかしな点があったとすればなんだと思う?)
「え、なんだろ」
万引きじゃなくて手品だったから人に披露しない方がおかしかったとかかしら? いやでも予備軍って事なら手品でもないか。
「ん、あれ? 予備軍って事ならアイテムボックスに入れてたって事? ならやっぱり万引きじゃ......」
あ!?
「アイテムボックス! そうよ。 どう見ても成人してないあんな男の子がどうして!」
(そう。 契約は必ず成人してから行われる。 それ以下の年齢ではまだ精神が熟達していないため使用できないとされている)
そんな理由が? 深く考えた事なかったけど。
「じゃあ熟達していない精神でアイテムボックスを持つとどうなるの?」
(......)
はこ丸が更に慎重になった気がした。
(これはあくまで場合によるとしか言えないのだが、未熟な精神が汚染または侵食される可能性がある)
「うん? よく分からない」
(人格が変わるなどの影響が出て、最悪になると存在そのものがアイテムボックスにとって変わられる)
!? 衝撃が私を襲う。
(アイテムボックスは擬態が得意だが、人間の身体そのものがその容器となってしまうのだ。 そしてアイテムボックスはなに食わぬ顔で人間社会に溶け込み...... 他の人間を食らう)
というのが箱憑きの基本行動パターンになると説明を加えたはこ丸。
「私は深く考えずに成人するまで持てないものだって思ってたんだけど。 皆もそんな感じだったし」
(こんな理由を説明できると思うか?)
「......できないよね」
(当然これは伝えられていない案件だ。 もしこれを知っているような者がいたとすれば......)
「いたとすれば?」
はこ丸は少し間をおいて言った。
(国の根幹に関わっているか『我々』と同じ様な事をしているか、だ)
「え!? 私達と同じ様な事?」
私は驚く。
(監視したり情報を集める役目は必要だろう? こちらとしても行き当たりばったりで遭遇し、それを排除する訳ではない)
「それは...... そっか」
そりゃそうだよね。 そんなやり方じゃ効率に関して言えば悪い事この上ないし。
「あれ? でもそれ宿屋に泊まった理由にはなってなくない?」
(まぁ...... 泊まる事が目的ではないからな)
はこ丸の説明により私は夜遅く宿を抜け出す事になった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!
風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。
185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク!
ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。
そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、
チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、
さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて――
「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」
オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、
†黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる