異世界に召喚されたが奴隷扱いされた私はエリート騎士様に溺愛される

つぐみ

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その23

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そのまま有無を言わさぬ強さで、引きずられるようにして会場を引っ張り出される。

あれよあれよと言う間にサラは、会場から遠く離れた庭に連れて来られていた。
ここは放置された裏庭とは違い、庭師が丁寧に剪定せんていしている表の庭だ。しかし庭師の甲斐なく、木々は何処か元気がなく、花も一向に咲いてはいないけれど。

どうしてこんな所に。
そもそも、何で自分を?
自分は何か粗相をしてしまっただろうか。

ありえる。


「急に、ごめん。でも俺、君と話したくて」

「え……」


思わずこぼれた声に、慌てて口を押さえた。
いけない。声でバレるかもしれない。

しかしノアはそれを意にも介さぬ様子で続けた。


「俺、普段は王都の騎士団なんだけど、今日はこっちの警護に駆り出されてて」

「騎士団……」


だったんだ。

そういえばサラは、ノアの事をほとんど知らなかった事に今更気付いた。

きっと王都の人なんだろうとは思っていたが、それだって定かではない。
何の仕事をしているのか、普段何をしているのか、好きな物は何か、家族はいるのか。

それは聞けなかったのは、聞くと同じ質問を自分に返されると思ったからである。
サラはきっと、彼の望む答えをあげることが出来ない。

そうか、騎士団。
この世界には、騎士団なるものが存在しているのか。なんかかっこいい。

こんなイケメンで騎士団なんて、とんだ優良物件だ。
きっと引く手数多なのだろう。本当なら自分が話しかけていい相手ではないはずだ。

そんな人にサラは、あんな簡素な花を一輪送ってしまった。やだ恥ずかしい。
珍しいとノアは言ってくれたけど、多分いらなかったはずだ。こんな素敵な人なら、きっと色んな令嬢から贈り物をされているに違いない。

というか、結婚してないのだろうか。いやしてるだろう。反語である。
してなくても、きっと許嫁とかはいるはずである。


「君は、この世界の人ではないんだよね?」


問いかけられて、返しに詰まる。


「って、聖主に聞いたんだけど」


そうなのか。それなら隠すだけ無駄である。
サラは素直に頷くことにした。

それを見て、ノアがくすりと妖艶に笑った事に、サラは気付かなかった。
これはカマを掛けられたわけだが、そんな事をサラが知る由もなく。


「この世界には、慣れた?」


そろそろ黙ったままでいるのは、失礼だろうか。
ノアがあまりに優しい声音で話しかけてくれるので、こちらもその誠意に応えなければと思うのだが。

声でバレたりしないだろうか。
そんなにたくさんノアと話したわけでもないし、少しくらいなら平気かな。


「……少し」


悩んだ末に発したのは、たった三文字だった。
しかも声がちょっと裏返った。恥ずかしい。

そんなサラをノアは笑うこともせず、何故か嬉しそうに微笑んでいる。


「君は、普段王宮にいるの?」


ノアの質問攻めに、サラは首を傾げた。
どうしてノアはこんなにも自分の事を知りたがるのだろう。

サラが『呪い子』だということを知らないのか。
そんなはずない。王宮内で私の存在は広まっている。時折知らない人や気付かない人もいるが、ノアは騎士団という組織に属しているのだから、サラの噂を聞かないはずがない。



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