婚約者を口説きます

姫川 林檎

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53 衣装の仕上げ

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「石塚さん遅くなってごめんね。刺繍終わったよ、これで大丈夫かな?」

「あっ五十嵐君!有難う!!見せて!」

石塚さんは奪うように俺から布をひったくると広げ溜息をついた。

「凄いよ・・・思ってた以上だよ・・・今にも動き出しそう。こんな凄い物を有難う!・・・ん?あれ?こっちにも刺繍がある。・・・こっこれは!」

「家で空いた時間にやってみた。余計な事だったらご免。」

「そんな事ない!後ろがこれだけ凝った龍だから前が少し淋しいなって思ってたから丁度いいよ。この百合なら大きさも派手さも丁度いいもん!本当に有難う!!」

若干興奮しながら俺の手を握り、振り回して感謝をしてるが、力が強すぎて痛い。感謝の気持ちは分かるげど力加減をして欲しいかな。

石塚さんの机には他の衣装?が置いて在った。

「それも衣装?今回何着作るの?」

「えっ?あぁ、これもそうだよ。今回は全部で8着、男子3着に女子3着。」

「ん?後2着は?」

「このチャイナドレスとこのワンピース。(五十嵐君の分)」

「これワンピースなんだ、見ていい?」

「途中だけどどうぞ。どうかな?」

それは未だファスナーが付いていないが、薄ピンクの清楚な感じのシンプルで可愛いものだった。大人っぽく過ぎず子供っぽく過ぎず高校生が着るのには丁度いい物だ。

「五十嵐君合わせてもらっていい?」

「俺に合わせても意味なくない?」

男の俺にワンピースを合わせてどうする?意味なくない?

「自分だとイメージわかなくて・・・」

「成る程・・・俺で大丈夫?」 

「大丈夫!(五十嵐君のだから!)」

確かに鏡だと分かりにくいかも知れない。俺で悪いけど、役にたつといいけど。とりあえず合わせてみる。

「・・・私天才かも。」

「俺もこれ結構好きだよ。」

「本当!?これ好き?」

「えっ?うっうん。」

「ヨッシャー!!」



石塚さんのテンションが怖い。
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