13 / 45
11話 校外学習③
しおりを挟む
博物館の見学を終えて、再びバスに乗り込む。
さっきまでのざわざわした空気は薄れ、生徒たちは少し疲れた様子で各々の席に腰を下ろしていた。
窓の外には夕暮れの光が射し込み、車内をオレンジ色に染めていく。
俺も空いていた席に座る。すると当然のように、隣に橘が腰を下ろした。
何も言わずに、すっと体を寄せてくる。
「ん~……今日、結構歩いたね。ちょっと疲れたかも」
「……まあ、展示品、多かったからな」
「だから……肩、貸してよ」
そう言うと橘はためらいもなく俺の肩に頭を預けた。
制服越しに伝わる重みとぬくもり。髪からふわっと甘い香りが漂い、心臓が一気に跳ねる。
(ちょ、ちょっと待て……こんな近いの、落ち着かない……!)
バスは静かに走り出す。車内のざわめきが少しずつ小さくなり、妙に二人だけの空間みたいに感じられた。
ふと、橘の手が俺の手に触れた。
指先がすべるように絡まってきて、あっという間に恋人つなぎの形になった。
「……っ!」
「ふふ、びっくりしすぎ。……やっぱ嫌?」
「い、嫌じゃないけど……!」
俺が慌てて答えると、橘は得意げににやりと笑った。
その表情は小悪魔みたいなのに、どこか嬉しそうでもある。
「ねえ……今日さ。アンタ、ずーっとアタシのこと見てたよね」
「なっ……! ち、違う!」
「ふ~ん? じゃあ聞くけどさ、どこの部分が一番好きだった?」
耳元で囁くように言われ、俺は息を飲んだ。
彼女の瞳は夕陽を受けて金色に輝いている。からかっているようで、その奥に熱が宿っているのが分かる。
「そ、それは……!」
「言わなくてもいーけど。……でもね、アタシ、アンタに見られてるの、全部わかってたんだよ」
小悪魔的に笑いながらも、その声は少しだけ柔らかかった。
俺の心臓が、ドクンと大きな音を立てる。
「……もしかして、今日一日、アタシに惚れちゃった?」
「なっ……! そ、そんな……!」
「ふふっ。慌て方が分かりやすいんだよね、アンタ」
橘はさらに体を預けてきて、俺の肩に頬をすり寄せた。
その仕草は甘えた子どものようで、でもやっぱり小悪魔の挑発でもあった。
繋いだ手の指先に、彼女がわずかに力を込めてくる。
鼓動が速まるたびに、彼女がその反応を楽しんでいるのが伝わってきた。
「……アンタさ。紳士的って言葉、今日何回も言われてたけど……アタシにはちょっと違うんだよね」
「ち、違うって……どういう意味だよ」
「うーん……アタシから見たアンタはね。紳士的“スケベ”」
「な、なにそれっ!」
「だって、ちゃんと優しいけど……結局アタシのこと、いやらしく見てたでしょ?」
「そ、それはっ……!」
否定できずに真っ赤になる俺を見て、橘は声を立てずに笑った。
夕陽に照らされた横顔は、普段よりもずっと大人びて見えた。
「……でもね、そういうとこ、嫌いじゃないよ」
ぽつりと落ちた言葉に、俺は息を呑んだ。
それはからかいの延長線上にあるようで――でもほんの少し、告白めいても聞こえた。
すると橘は、わざとらしく小さくあくびをして、俺の耳元で囁いた。
「ねえ……アタシが寝てる間さ、アンタの好きなとこ……触ってもいいよ。もちろん服の上からじゃなくて、中に手を突っ込んでね。アタシ、寝てるから気づかないし」
そう言って、ゆっくり目を閉じる。
でも呼吸のリズムがどこか不自然で、狸寝入りだとすぐにわかった。
(な、なに言ってんだよ……! 冗談に決まってる……!)
それでも、目の前にいる彼女の姿はあまりに誘惑的だった。
ボタンを二つ外した制服の胸元からは、ピンク色のブラと谷間がのぞき、スカートの裾は座席の形に沿って少しめくれ上がっている。
細い太ももから、下着のラインがはっきり見えてしまっていた。
(……や、やばい……これは……!)
理性がぐらりと揺らぐ。
俺の手は思わず橘の胸元へ伸びかけ、ボタンに指先がかかった。
もう一つ外せば、彼女の奥まで――。
そのとき。
(――紳士的に、ですからね)
今朝の沙耶香さんの言葉が、脳裏に蘇った。
息を呑み、俺は慌てて手を引っ込める。
(……だめだ……俺はそんなことしちゃ……!)
必死に自分を抑え、視線を落とすと――スカートがめくれたままの橘が目に飛び込んできた。
薄い布地の奥があまりにも無防備に見えて、顔が一気に熱くなる。
俺はそっと彼女のスカートの裾を引き下ろし、見えないように直した。
(……俺は……これでいいんだ……)
そう自分に言い聞かせながら息を吐く。
一方の橘は、薄目を開けていた。
主人公が胸に手を伸ばさなかったことに気づき、内心で小さく唇を尖らせる。
(……ふーん。胸には興味ないってわけ? でも、スカート直してくれたし……下のほうを気にしてたんだ)
勘違いしながらも、橘は心の中でにやりと笑う。
(……じゃあ今度からは、太ももとか見せて、もっとドキドキさせてあげよっかな)
彼女の頭の中で、新しい“攻め方”の計画が組み立てられていた。
主人公がまだ必死に平静を装っていることも知らずに。
さっきまでのざわざわした空気は薄れ、生徒たちは少し疲れた様子で各々の席に腰を下ろしていた。
窓の外には夕暮れの光が射し込み、車内をオレンジ色に染めていく。
俺も空いていた席に座る。すると当然のように、隣に橘が腰を下ろした。
何も言わずに、すっと体を寄せてくる。
「ん~……今日、結構歩いたね。ちょっと疲れたかも」
「……まあ、展示品、多かったからな」
「だから……肩、貸してよ」
そう言うと橘はためらいもなく俺の肩に頭を預けた。
制服越しに伝わる重みとぬくもり。髪からふわっと甘い香りが漂い、心臓が一気に跳ねる。
(ちょ、ちょっと待て……こんな近いの、落ち着かない……!)
バスは静かに走り出す。車内のざわめきが少しずつ小さくなり、妙に二人だけの空間みたいに感じられた。
ふと、橘の手が俺の手に触れた。
指先がすべるように絡まってきて、あっという間に恋人つなぎの形になった。
「……っ!」
「ふふ、びっくりしすぎ。……やっぱ嫌?」
「い、嫌じゃないけど……!」
俺が慌てて答えると、橘は得意げににやりと笑った。
その表情は小悪魔みたいなのに、どこか嬉しそうでもある。
「ねえ……今日さ。アンタ、ずーっとアタシのこと見てたよね」
「なっ……! ち、違う!」
「ふ~ん? じゃあ聞くけどさ、どこの部分が一番好きだった?」
耳元で囁くように言われ、俺は息を飲んだ。
彼女の瞳は夕陽を受けて金色に輝いている。からかっているようで、その奥に熱が宿っているのが分かる。
「そ、それは……!」
「言わなくてもいーけど。……でもね、アタシ、アンタに見られてるの、全部わかってたんだよ」
小悪魔的に笑いながらも、その声は少しだけ柔らかかった。
俺の心臓が、ドクンと大きな音を立てる。
「……もしかして、今日一日、アタシに惚れちゃった?」
「なっ……! そ、そんな……!」
「ふふっ。慌て方が分かりやすいんだよね、アンタ」
橘はさらに体を預けてきて、俺の肩に頬をすり寄せた。
その仕草は甘えた子どものようで、でもやっぱり小悪魔の挑発でもあった。
繋いだ手の指先に、彼女がわずかに力を込めてくる。
鼓動が速まるたびに、彼女がその反応を楽しんでいるのが伝わってきた。
「……アンタさ。紳士的って言葉、今日何回も言われてたけど……アタシにはちょっと違うんだよね」
「ち、違うって……どういう意味だよ」
「うーん……アタシから見たアンタはね。紳士的“スケベ”」
「な、なにそれっ!」
「だって、ちゃんと優しいけど……結局アタシのこと、いやらしく見てたでしょ?」
「そ、それはっ……!」
否定できずに真っ赤になる俺を見て、橘は声を立てずに笑った。
夕陽に照らされた横顔は、普段よりもずっと大人びて見えた。
「……でもね、そういうとこ、嫌いじゃないよ」
ぽつりと落ちた言葉に、俺は息を呑んだ。
それはからかいの延長線上にあるようで――でもほんの少し、告白めいても聞こえた。
すると橘は、わざとらしく小さくあくびをして、俺の耳元で囁いた。
「ねえ……アタシが寝てる間さ、アンタの好きなとこ……触ってもいいよ。もちろん服の上からじゃなくて、中に手を突っ込んでね。アタシ、寝てるから気づかないし」
そう言って、ゆっくり目を閉じる。
でも呼吸のリズムがどこか不自然で、狸寝入りだとすぐにわかった。
(な、なに言ってんだよ……! 冗談に決まってる……!)
それでも、目の前にいる彼女の姿はあまりに誘惑的だった。
ボタンを二つ外した制服の胸元からは、ピンク色のブラと谷間がのぞき、スカートの裾は座席の形に沿って少しめくれ上がっている。
細い太ももから、下着のラインがはっきり見えてしまっていた。
(……や、やばい……これは……!)
理性がぐらりと揺らぐ。
俺の手は思わず橘の胸元へ伸びかけ、ボタンに指先がかかった。
もう一つ外せば、彼女の奥まで――。
そのとき。
(――紳士的に、ですからね)
今朝の沙耶香さんの言葉が、脳裏に蘇った。
息を呑み、俺は慌てて手を引っ込める。
(……だめだ……俺はそんなことしちゃ……!)
必死に自分を抑え、視線を落とすと――スカートがめくれたままの橘が目に飛び込んできた。
薄い布地の奥があまりにも無防備に見えて、顔が一気に熱くなる。
俺はそっと彼女のスカートの裾を引き下ろし、見えないように直した。
(……俺は……これでいいんだ……)
そう自分に言い聞かせながら息を吐く。
一方の橘は、薄目を開けていた。
主人公が胸に手を伸ばさなかったことに気づき、内心で小さく唇を尖らせる。
(……ふーん。胸には興味ないってわけ? でも、スカート直してくれたし……下のほうを気にしてたんだ)
勘違いしながらも、橘は心の中でにやりと笑う。
(……じゃあ今度からは、太ももとか見せて、もっとドキドキさせてあげよっかな)
彼女の頭の中で、新しい“攻め方”の計画が組み立てられていた。
主人公がまだ必死に平静を装っていることも知らずに。
83
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる
グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。
彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。
だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。
容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。
「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」
そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。
これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、
高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる