公爵令嬢の結婚

きさらぎ

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甘く切なくⅠ ※

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 ガウンを脱がされてベッドに横たえられる。
 シーツの上に広がった黒髪を一房手に取ってシフォナードは口づける、その仕草が煽情的でクリスティアはドキッと鼓動が高鳴った。
 
「クリス」

 艶のある声で呼ばれて唇が重なった。シフォナードは角度を変えて何度もキスを繰り返す。

「あっ……ん…」

 クリスティアの甘い吐息が漏れる。その声に煽られるように、口づけは深くなってわずかに開いた口の隙間から舌を差し入れた。
 
「んっ……あっ……んっ」

 口内を堪能するように舐めまわし舌先に触れると、クリスティアがびくりと震える。そんな初心な反応にシフォナードはゆっくりと唇を離した。
 初めての情交から月日が経っているわけではない。焦らなくても時間をかけて体を解きほぐしていけばよい。シフォナードはそう思っていた。

 わかっていても、まだ慣れない行為に恐れも戸惑いもない交ぜな中、けれども感じていた体温が消えてしまえば急に寂しくなる。クリスティアは不可解な思いを抱いていた。

「クリスティア。愛してる」

 シフォナードが耳元で囁く。甘ったるい愛のささやきに、それだけでクリスティアの頭の奥にピリッと快感が走り抜ける。

「シ……フォ……」

 全身が粟立つような強すぎた刺激にうまく言葉が紡げない。自分の気持ちを伝えたいのに、言葉が出てこない。もどかしい。何とか口にしようと唇を動かすけれど声にならない。そんなクリスティアにシフォナードのペリドットの瞳が陰る。

(あなたは僕のものだから。少しずつでもいいから、僕のことを好きになってほしい)

 心の中で願いながらシフォナードはもう一度唇を重ねた。だんだんと深くなっていく口づけに翻弄されてクリスティアは気持ちを伝える術を失ってしまった。
 口内に侵入した舌は歯列をなぞり丹念に舐めまわす。逃げる舌先を追って、追い詰めてクリスティアの舌を絡めとる。すり合わせるように舌を合わせればおずおずと彼女の舌が応え始めた。

「んっ……ぁ」

 時折漏れるクリスティアの喘ぎ声に煽られて、シフォナードの胸の内に情欲の火が灯る。触れあう舌を絡ませ貪りあってお互いを求める。口内から漏れる淫靡な音に体の芯が熱くなっていく。

「はあっ……」

 クリスティアは体の奥からとろっとした熱を感じて、知らずに離した唇から熱い吐息が零れる。とろんとした瞳が色香を纏いシフォナードを誘っているよう。
 誘われるようにシフォナードは白い華奢な首筋に口づけて舌を這わせながら、胸を夜着の上から胸のふくらみに触れる。硬くなった胸の頂をつまむと、
 
「ああっ……」

 クリスティアが快感に嬌声をあげた。
 リボンを解いて夜着を脱がすとシフォナードも服を脱ぎ捨てた。露になったまろやかな胸を手のひらに包み込むとやわやわと揉みしだく。胸の先端を口に含んで舌で転がし丹念に舐めあげる。

「あっ。んっ……」
 
 片方は揉まれながら硬くなった先端をぎゅっと抓まれて背中をのけぞらせる。唾液に濡れた胸の頂がてらてらと光って淫猥さを醸し出していた。手のひらの中で形を変える柔らかな胸に唇を這わせチュッと吸い上げる。一瞬のチク
ッとした痛みすらも今のクリスティアには快感に変わる。いくつもの紅い痕を確かめるとシフォナードはうっすらと微笑んだ。

「クリスは僕のものだから」

 小さく呟いたシフォナードの声はクリスティアには届かなかった。
 シフォナードは手をお腹から太ももへと滑らすと撫で上げる。執拗な愛撫に体の奥が熱くしびれて中が疼いて腰が揺れた。

 くちゅり。
 披裂に指先を入れると粘り気のある音がした。入り口をなぞると蜜が指に絡みついてくる。シフォナードが触れたところから痺れるような熱が隘路に広がっていく。蜜口の上の蕾を探し当てると優しく撫でまわした。

「あっ……ああっ……」

 敏感なところを触られてびくびくと腰がはねる。

「イっていいよ」

 シフォナードは言いながら蜜をすくい花芽に塗り付けると強弱を変えながら撫でさすった。

「あん。もう……あっ、あ……」

 花芽は熱く痺れて目の前がチカチカして何も考えられない。徐々に絶頂の波が押し寄せてくる。

「うん。イって」

 シフォナードの甘い声に導かれるように、クリスティアは一気に高みに駆け上がっていった。

「ああっ……」

 そしてひときわ高い嬌声が部屋の中に響いた。
 


 

 

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