大人しい村娘の冒険

茜色 一凛

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マイに頼み事

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 アミに連れられて教室に入る。イケてるグループのメンバーらしい。私は脚を閉じて真面目ぶる。

「開いた方が楽だって! 誰も見てないって言ったのツグじゃん! そうそうてんとう虫の可愛いピン見つけたから、ピンクの方あげるよっ! こっち少し色おかしいからてんとう虫で青はないよね。私こっちでいいし」

 そう言ってアミは私の髪にヘアピンをつけてくれた。

 どうなってるのよ! こんなこと今までなかったのに。

「あ、ありがと……」

 私は小声で返事をする。

「熱でもあるんじゃないの? 早退する? 私らも一緒に送ってこうか?」

「いや、大丈夫ですよ」

「敬語なんて使ってるし、ほんと今日のツグ変だよ」

 アミはカバンから熱冷ましの貼り薬を取り出して私のおでこに貼ってくれた。

 うーん。だめっ。トイレいって一旦落ち着こう。

 鏡を覗き込む。私だよね。中身が違うとこうも環境が変わるものなの?ほっぺを両手でピンッと叩いて気合を入れた。

 私はマイになるっ。

「さっきはごめんな! アミありがと。むちゃ気持ちいいわ。アミやるじゃん。いいもの持ってるよな」

 あーもうっ、振り切ってマイを演じないといけない羽目になってしまった。

 遠くの方でマドカがこっちを微笑ましい目で見てくる。ぴちっと閉じた脚を開いて高くあげて足を組む。背もたれに寄りかかる。私……こんな子じゃないのに……。恥ずかしいけどマイを演じるしかないのか……。


 放課後になるとパンケーキを食べに喫茶店へとアミの仲間と一緒に行く。

 食べ終わると味がしなかった。気疲れしたんだ。お金はアミがいつも払うみたいだから任せた。最後は抱擁して別れた。


「アミンでしょ! 名前忘れたの?」
「いーや、忘れてないわ。また明日なー」

 もうマイのセリフなんて分からない。多分こんなこと言うんだと想像しながら口に出すしかなかった。

 家に戻るとマイが飛び出てくる。帰ってくる時間が分かってるんだろう。

 本当にマイっ、お疲れさまだよ。やってくれたわね。必要以上に。

「学校どう? パンケーキは食べたのか?」

 そう言って嬉しそうな顔をする。「マイっ!やってくれたわね。なんなのよ。あのアミと親友になってたし」

「あー、良くなかったのか? うん? 犬みたいで可愛いからさ」

「違うでしょ。あの子は天敵なんだって!」

「そーなの? 無茶懐いてたけど」

 マイは首を横に振りながらコーヒーをズズッと啜った。おっさんじゃん。

「マイっ、しかもあの態度はなんなのよ! おかげで私の学園生活は不良になってるじゃないの?」

「でもさ、楽しかったんじゃないの?」

「どこがよ」

 コーヒーを飲みながら一日を振り返る。あまりにも忙しかった。いつもなら落ち着いて椅子に座って先生の話をノートに写して、休み時間もノートとにらめっこ、そして放課後はマドカと話しながら帰る。味気ないかな……。もちろんまどかは優しいし一緒にいて安らぐでも、アミたちとはしゃぐような学園生活の方も悪くは無い。

 人との接し方ね……。

「マイっ、楽しかった。ありがと。突然で悪いんだけど手伝って欲しいことがあるの!」

「実はな、アタシもツグに話したいことがあるんだ」

マイが私に? 一体何なの? 一生私の姿でいたいとか? まさかね……。マイ、あなたはスタイルもいいし、男から羨望の眼差しで見られる存在まさかそんなこと考えてないよね?  

 勝手に妄想してたら、

「ツグの天敵の勇者があの学校の近くで宿を取っているらしいんだ。チャンスなんじゃない?」

 怖い顔になって、マイは小声で話す。

「ほんとに……アイツが……」

「ツグが来ないなら私が一泡吹かせてやろうと思ってたんだけど、ちょうど良かったわ。しかも、仲間を一人よんでるから」

「いよいよ、なのね?」

私はドギマギしていた。人に攻撃とかしたことないから、心臓が締め付けられている気がした。

「ハイっ! なのです」

 声は聞こえるが姿は見えない。透明粉? 使ってる?


 その時、ローブを翻すようなバサッと音がして、一人の幼女が目の前に現れた。年は十二くらい。私より三つぐらい年下かな。

 いなにも魔法使いがしてそうな三角の帽子をしている。顔は丸顔で可愛い。服はローブではなく赤の水玉模様のワンピースで襟元はレースだった。

「紹介する。魔法使いのマーリンだ。以前勇者パーティにいたらしい」
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