命を救った美女令嬢の家でVRMMOをプレイする。いつか彼女と付き合いたい。

茜色 一凛

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二十四話 『もっこり通天閣』

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 チュンチュン

 小鳥の鳴き声がする。エリカだろうか? カーテンを開ける音がして眩しい朝日が顔に掛かる。

「おはよう! ユウキ早く起きて、今日は三の扉の攻略のはずでしょう?」

 目を擦りながら顔を上げると、エリカが上機嫌で拳を握りファイティングポーズをとっている。

「ごめん、ごめん。寝坊したな。朝食取ってから行こうか?」
「もう着替えも終わったし、後はユウキが着替えるとこ見ててあげるわ。それ何?」

 エリカは布団に包まれた俺の股間のあたりを指さす。そこはモッコリとしてた。

「何でもないだろ! 後ろ向いててくれよ! 着替えするから。あと、そんな事より俺の杖が壊れたから武器屋も寄りたいし」

 俺はそう言ってベッドから立ち上がると、後ろを向いてパジャマからグレイの魔法使いのローブに着替える。

「何よー! 教えてくれたって良いじゃないの?」

 エリカは天然なのか、知らないのかやたらともっこりを指摘したくてしょうがないらしい。

 そうか、一人っ子でこんなの見たことないか? まあ、そうだよな。

「男は皆、股間にピストルを持っているんだよ。誰でも男同士の喧嘩はこのピストルをいざと言う時に構えて西部劇のカウボーイのように戦うこともあるんだ!」

 ドアがバンッと開き、ツグミが入ってきた。俺のもっこりを一目見て目を細めると、すぐに視線をエリカに向け、泣き出しそうな顔で駆け寄っていく。

「昨日はごめんなさい。彼氏と初めての夜デートで結構いい感じだったの。夜景の見える小さなフランチャイズのお店でイタリアンを食べて。ドライブをして、食べすぎた彼が山の中に車を停めてゲホゲホして、上を見上げるとカラフルな装飾のあるホテルが見えたわ。仕方ないから私が彼の車を運転して送り届けたりと、かなり充実してたの」

 いやいや、あのクズみたいな男がつぐを500円ぐらいで食費を浮かせてその後、山の中にあるホテルに向かう道中体調不良になったとしか思えない。こいつら大丈夫なんだろうか。恋とは人を盲目にさせるらしいけど。

「そうか、まあ大変だったな。それでどうしてここに?」
「ごめんなさい、エリカ、メール入ってたのに見て見ぬふりしちゃって、エリカのリアルの身体は大丈夫だから、安心して」

 まあアイカとつぐの二人が言うんだから間違いないよな。

「でもユウキの方は……」

 つぐはそう言うと俺から視線を逸らす、

「俺の方はどうなの? 何か問題でもあるのか?」

 ユウキの方は何か大変らしいの。看護師が点滴の針を付け替える時に、ユウキの手がスカートの中に伸びてきたとか、そんな噂があるわ!

「まさか、ツグまた掲示板に書いたとかじゃないよな?」

 えへへと、笑うつぐ。俺はつぐを抱えるとおしりをペンペンしてやった。頭を抑えて俯くエリカ。

「いったぁーい、痛い。ごめんなさい。申しませんから」

 この子は何度でもやるんだろう。まあいいか。良くないけど。

「それじゃあ早速行きましょ。つぐはどうする? ユウキの杖がないから武器寄ってからかな?」
 
 エリカは相変わらずゴスロリの服を来て髪には蝶の付いた透明なカチューシャを掛けている。女子は不思議だ。いつの間にかアイテムが増えているのだ。俺が寝ている間に買いに行ったのか、それとも何処かに行くついでに買ったのかは分からない。

「私もいく! 思い出の動画も撮りたいし」

 俺の方を見てニヤニヤしている。あーだめだこいつには何を言っても多分ダメだ。




 剣の看板の掲げられた武器屋に到着する。

「らっしゃーい!」

 明るい声が聞こえ、ひょろひょろの男が剣を砥石で磨いていた。

「杖を買いたいんですけど」

 俺がそう言うと、その店主は面倒くさそうに、顎でこっちと言わんばかりに壁の方を指す。そちらを見ると壁には色とりどりのド派手な杖が並ぶ。

「こ、これって。年配の人や歩くのがキツイ人がもつ杖じゃないか?」

 T字型の杖が並び、この需要はあるのかと疑いたくなる。

「最近はゲームも高齢化が進んでるから、たまに売れるんだよ」

 ぶっきらぼうに話す店主。

「冒険者用の杖は無いのか?」
「無いね! そもそも初期装備の杖はどうしたんだ?」

 俺の杖は町人を叩いて頭が飛んでった。こいつの頭もひっぱたいてやりたい。

「そう言う冗談は良いですから、早く出しなさい! ここは武器屋でしょ? 運営に問い合わせてあなたの町人データを消去してもらうわよ。それでもいいの?」

 エリカがハッキリと言うと。

「動画も撮ってるし言い逃れは出来ませんよ!」

 つぐも援護射撃をしだす、カメラのきらりと光るレンズの先にはエリカのミニスカートの中を撮る姿があり、俺はつぐの頭をはたいてやる。


「しょーがねーなー!」

 ウインドウを開き運営に報告のボタンを店主に見えるように押してやる。

「す、す、すいません。失礼しました。杖ならあります」

 慌てて、研いでいた剣をテーブルの上に置き、カウンターの引き出しを空けると、三本の杖が出てきた。黒い杖は禍々しい感じがするし、透明な杖は恐らく十字架が付いているから僧侶ようだ。最後の一本は木のロッドで頭に赤の丸い水晶がはまっている。

「これなんていいんじゃないの?」

 つぐは黒い杖を勧めてくる。何だこの禍々しさは、嫌な感じがする。二本貰うことにした。

 黒の杖は10ジュエル、赤の水晶の杖は1万ジュエル。店を出ると、声がする。

「我こそは三の扉のボスなり!」

 ん? どこから声がするんだ? 顔を上げると先程の黒い杖が何か言ってる。

「エリカどうやらボスに遭遇したらしい!」

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