17 / 23
十五話 10代は一瞬
しおりを挟む
張り切って仲間を集めようと思ったけど、どこで募集しているかも分からない。人通りの多い場所へと向かうことにした。
まず向かったのは、城下町の南西。ここは露店が多く人通りが多い。早速、野菜を売っているおじさんに話しかけた。
「あの……」
「お嬢ちゃん、うちの野菜を買ってくれるのかい? 今日はメロンが安いよ!」
「いえ、冒険者の募集をしたいのですが、どこへ行けばいいんですか?」
おじさんはポカンと口を開けて目を丸くして私をジロジロ見てくる。
「なんだ、野菜を買ってくれるんじゃないのか。ん? その制服どっかで見た事あるな。あー、アップル調合学園の生徒さんだろ。こんなとこで油売ってていいのかい? 学校はどうしたの」
「お願いです。知ってたら教えて頂けませんか?」
目に力を入れて八百屋のおじさんを見つめる。
先程、年配女性が果物を買っていると、「いいよ! この辺の野菜も、プレゼントしとくよ!」と、袋に入れてあげて、気前が良く他のお客さんにも同じように接していたので、声がかけやすかった。
「まさか、冒険者になるつもりなのかい? やめときなさい。子供の目にはカッコ良く見えるかもしれないが、そんな簡単なもんじゃない。お父さんが心配するだろうに」
「父はいません。モンスターの襲撃の際、私と母を守ろうとして、サイクロプスに殺されたので」
「そう……」
おじさんは、ハッとして申し訳なさそうな顔をする。
「まあ、いずれにせよ。やめた方がいい。女の子なんだし、危険すぎる。せっかくいい学校に通わせてもらっているんだから、そこで卒業まで頑張った方がいい」
このおじさんの言うことは最もだ。だけど、私には悠長に卒業まで待っていられるほど時間は無い。
「そうですね。ありがとうございました」
八百屋のおじさんと別れ、それから他の露店を回ることにする。でも誰も教えてくれない。
幸先よくない。仕方ない。くまなく歩いて探していこう。私は露店を抜けて商店街へと向かう。すると、剣と盾のマークが描かれた看板が目に留まる。
まさか、ここが、冒険者を募集してるとこなんじゃない?
レンガ調の建物の窓から中を覗くと、屈強な戦士や白いローブに魔法の杖を持った魔術師がお酒を片手に真昼間からお酒を飲んで乾杯して大いに盛り上がってる。
すごく入りにくい。これでは冒険者登録所ではなくて単なる酔っぱらいの集う酒場じゃないの。
丁度、冒険者登録所の建物の横が酒場でビールのジョッキの看板が目に留まる。
口をつぐんで、中へと入る。カウンターにウエーブのかかった金髪の受付嬢が立っていた。
「冒険者の募集をしたいのですが」
「あらやーねー! ここはお子様の来る場所じゃなくてよ」
受付嬢はブラウスから見える豊満な胸をプルぷ震わせ返答する。
凄い! こんな胸があれば、簡単に冒険者仲間なんて集められるのかもしれない。ただただ俯き、自分の胸元を見て凹む。そんなことしてる場合じゃはない。
「魔物に友達が石にされてしまったので、素材一緒に集めてくれる仲間が欲しいんです。最終目標は、魔王の討伐です!」
人目が気になる。横にいた戦士と、武闘家のお兄さん達が私を見て、蔑んだ目で大笑いしてる。
目に涙が溜まってくる。自分でも分かってる。大それたこといっているってこと。
「ふーん。大きく出たわよね。嘘も方便とは言うものの、そこまで大きいと、面白いわね。まだ学生さん? 冒険者になるのはまだ早いんじゃないかしら。そんなに焦らなくても卒業してからでいいんじゃないの?」
「それだと、間に合わないんです。早くしないとまずいみたいで」
「先生には相談したのかしら?」
「仲間を集めて冒険しなさいとおっしゃられて今こうして綺麗なお姉さんとお話させてもらってます」
「あら、嬉しいじゃないの! でもね、あなたにはまだ早すぎるわ。申し訳ないけど力になれそうもないわ」
お姉さんは伏し目がちに声を放つ。私は肩を落としながら、その場を離れるしか無かった。ダメなものはダメらしい。上手くいかない。
「お嬢ちゃん!」
私がとぼとぼ歩いていると、後ろから受付嬢の声がする。振り返ると。
「あのさ、ここは王国の正規の冒険者登録所だから、ここでは子供は募集できないんだけど、この通りを真っ直ぐ歩いたところにハンバーガーショップがあって、そこが冒険者に大人気なのよ! そこなら1人ぐらい力に乗ってくれる人がいるかもしれないわ。素材の採集ぐらいなら付き合ってくれる人いるかもよ。まー、独り言だけどね!」
親切な受付嬢のお姉さんは、横を見ながら照れくさそうに教えてくれた。
「ありがとうございます。でも、どうして、そんなこと教えてくれるんですか?」
「まー、私も若い頃あなたと同じように冒険者になりたい時があったけど、親に反対されてね。そうこうしている間にもう27よ。10代なんてあっという間に過ぎてしまうわ。あなたの言葉に嘘はないのは分かるし、輝いていたから助けたくなったの!」
お礼を言いハンバーガーショップを目指すことにした。
まず向かったのは、城下町の南西。ここは露店が多く人通りが多い。早速、野菜を売っているおじさんに話しかけた。
「あの……」
「お嬢ちゃん、うちの野菜を買ってくれるのかい? 今日はメロンが安いよ!」
「いえ、冒険者の募集をしたいのですが、どこへ行けばいいんですか?」
おじさんはポカンと口を開けて目を丸くして私をジロジロ見てくる。
「なんだ、野菜を買ってくれるんじゃないのか。ん? その制服どっかで見た事あるな。あー、アップル調合学園の生徒さんだろ。こんなとこで油売ってていいのかい? 学校はどうしたの」
「お願いです。知ってたら教えて頂けませんか?」
目に力を入れて八百屋のおじさんを見つめる。
先程、年配女性が果物を買っていると、「いいよ! この辺の野菜も、プレゼントしとくよ!」と、袋に入れてあげて、気前が良く他のお客さんにも同じように接していたので、声がかけやすかった。
「まさか、冒険者になるつもりなのかい? やめときなさい。子供の目にはカッコ良く見えるかもしれないが、そんな簡単なもんじゃない。お父さんが心配するだろうに」
「父はいません。モンスターの襲撃の際、私と母を守ろうとして、サイクロプスに殺されたので」
「そう……」
おじさんは、ハッとして申し訳なさそうな顔をする。
「まあ、いずれにせよ。やめた方がいい。女の子なんだし、危険すぎる。せっかくいい学校に通わせてもらっているんだから、そこで卒業まで頑張った方がいい」
このおじさんの言うことは最もだ。だけど、私には悠長に卒業まで待っていられるほど時間は無い。
「そうですね。ありがとうございました」
八百屋のおじさんと別れ、それから他の露店を回ることにする。でも誰も教えてくれない。
幸先よくない。仕方ない。くまなく歩いて探していこう。私は露店を抜けて商店街へと向かう。すると、剣と盾のマークが描かれた看板が目に留まる。
まさか、ここが、冒険者を募集してるとこなんじゃない?
レンガ調の建物の窓から中を覗くと、屈強な戦士や白いローブに魔法の杖を持った魔術師がお酒を片手に真昼間からお酒を飲んで乾杯して大いに盛り上がってる。
すごく入りにくい。これでは冒険者登録所ではなくて単なる酔っぱらいの集う酒場じゃないの。
丁度、冒険者登録所の建物の横が酒場でビールのジョッキの看板が目に留まる。
口をつぐんで、中へと入る。カウンターにウエーブのかかった金髪の受付嬢が立っていた。
「冒険者の募集をしたいのですが」
「あらやーねー! ここはお子様の来る場所じゃなくてよ」
受付嬢はブラウスから見える豊満な胸をプルぷ震わせ返答する。
凄い! こんな胸があれば、簡単に冒険者仲間なんて集められるのかもしれない。ただただ俯き、自分の胸元を見て凹む。そんなことしてる場合じゃはない。
「魔物に友達が石にされてしまったので、素材一緒に集めてくれる仲間が欲しいんです。最終目標は、魔王の討伐です!」
人目が気になる。横にいた戦士と、武闘家のお兄さん達が私を見て、蔑んだ目で大笑いしてる。
目に涙が溜まってくる。自分でも分かってる。大それたこといっているってこと。
「ふーん。大きく出たわよね。嘘も方便とは言うものの、そこまで大きいと、面白いわね。まだ学生さん? 冒険者になるのはまだ早いんじゃないかしら。そんなに焦らなくても卒業してからでいいんじゃないの?」
「それだと、間に合わないんです。早くしないとまずいみたいで」
「先生には相談したのかしら?」
「仲間を集めて冒険しなさいとおっしゃられて今こうして綺麗なお姉さんとお話させてもらってます」
「あら、嬉しいじゃないの! でもね、あなたにはまだ早すぎるわ。申し訳ないけど力になれそうもないわ」
お姉さんは伏し目がちに声を放つ。私は肩を落としながら、その場を離れるしか無かった。ダメなものはダメらしい。上手くいかない。
「お嬢ちゃん!」
私がとぼとぼ歩いていると、後ろから受付嬢の声がする。振り返ると。
「あのさ、ここは王国の正規の冒険者登録所だから、ここでは子供は募集できないんだけど、この通りを真っ直ぐ歩いたところにハンバーガーショップがあって、そこが冒険者に大人気なのよ! そこなら1人ぐらい力に乗ってくれる人がいるかもしれないわ。素材の採集ぐらいなら付き合ってくれる人いるかもよ。まー、独り言だけどね!」
親切な受付嬢のお姉さんは、横を見ながら照れくさそうに教えてくれた。
「ありがとうございます。でも、どうして、そんなこと教えてくれるんですか?」
「まー、私も若い頃あなたと同じように冒険者になりたい時があったけど、親に反対されてね。そうこうしている間にもう27よ。10代なんてあっという間に過ぎてしまうわ。あなたの言葉に嘘はないのは分かるし、輝いていたから助けたくなったの!」
お礼を言いハンバーガーショップを目指すことにした。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる