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魔法少女
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「魔法少女に変身するアイテムを出すから両手を出して!」
ミーニャンはそう言うと、手を上空に掲げて魔法の言葉をかける。
そして、それは空中から突然現れ、私の手のひらの上に降りてきたのは青いラピスラズリの付いたシルバーのブレスレットだった。
「これを身につければいいのね?」
子供の頃、テレビで見たあれかな、ブレスレットをはめた片手を上空に上げて、
「ラピスに願いを! メイクアップ!」
私は眩しい光に包まれる。
そして、右手にハート型のステッキが現れ、黒髪は金髪のロングヘアーに変化する。洋服は白のフリルの付いたブラウスに、スカートは中世ヨーロッパのポンっと開いた傘のような丸みを帯びたスカートでリボンが幾つも付いている。白のタイツが脚に、靴はピンクのシューズに変化した。
さっきまでの不安が嘘の様に無くなっていた。なんで?
「これからは僕はツグミの事をレイカって呼ぶから。レイカ、君は魔法少女になったんだよ! 今の君ならどんな魔物にも勝てる。でんでん虫にも勝てるはず。今頃はあの公園に向かってると思う。分かるよね?」
ミーニャンは真面目な顔になり、そう告げる。
どうして公園にいることが分かるの? でも、もしかしたらあの二人がまだ公園にいるのかもしれない。そう思うといてもたってもいられなかった。私は走り出した。
体が軽い。たんぽぽの綿毛のようにふわっと地面を蹴ると家の屋根まで高く上がる。
「す……す……凄っ! なんなのよー!」
屋根から屋根へと飛び移りながら元来た公園へと向かう。
公園の遊具の真ん中にはでんでん虫がそびえ立っていた。小さな一軒家程の大きさに膨れ上がっていた。その奥にはエリカが座り込み、前にはサトルが守ろうと両手を広げていた。
「俺のことはいいから早く逃げて!」
「ダメっ、ダメなのっ、脚が動かないの! どうしよう……」
サトルは鬼気迫る表情で、エリカを引っ張りあげようとするが、立てない。
「ごめんなさい。私のせいで、サトルだけでもいいから逃げてよ!」
「そんなの出来るわけないだろ。実は俺も脚がガクガクしてる。」
エリカの頬から涙が滴り落ち、サトルの顔を見て、
「こんな時に言いたくなかったんですけど、私はあなたの事が好きです。中学入った頃からずっとあなただけを見てました。ごめんなさい。もう言える時ないから」
「……そうだったんだ。」
でんでん虫は長いカメレオンのような舌を出しサトルを空中に持ち上げた。
「だめーっ!」
私はエリカとでんでん虫の前にジャンプして、
「ちょっと待ってよ! どう戦ったらいいの!」
これまで喧嘩もしたことない。一人っ子だから、こういう時どうしたらいいのか分からない。
腕にはめたブレスレットのラピスラズリが光輝き、
──レイカ、レイカっ。
ミーニャンの声がする。
──タクトを出して、それで叩くんだ!
「ちょっと待ってよ。タクトはどうやって出せばいいのよ! ねえっ!」
──後は頼んだよー。
ちょっとちょっと、なんてせっかちな猫なんだろう。タクトは出ないしキックでもしてみようかしら。
私は高く飛び上がるとでんでん虫の目に向かってキックを繰り出した。
ミーニャンはそう言うと、手を上空に掲げて魔法の言葉をかける。
そして、それは空中から突然現れ、私の手のひらの上に降りてきたのは青いラピスラズリの付いたシルバーのブレスレットだった。
「これを身につければいいのね?」
子供の頃、テレビで見たあれかな、ブレスレットをはめた片手を上空に上げて、
「ラピスに願いを! メイクアップ!」
私は眩しい光に包まれる。
そして、右手にハート型のステッキが現れ、黒髪は金髪のロングヘアーに変化する。洋服は白のフリルの付いたブラウスに、スカートは中世ヨーロッパのポンっと開いた傘のような丸みを帯びたスカートでリボンが幾つも付いている。白のタイツが脚に、靴はピンクのシューズに変化した。
さっきまでの不安が嘘の様に無くなっていた。なんで?
「これからは僕はツグミの事をレイカって呼ぶから。レイカ、君は魔法少女になったんだよ! 今の君ならどんな魔物にも勝てる。でんでん虫にも勝てるはず。今頃はあの公園に向かってると思う。分かるよね?」
ミーニャンは真面目な顔になり、そう告げる。
どうして公園にいることが分かるの? でも、もしかしたらあの二人がまだ公園にいるのかもしれない。そう思うといてもたってもいられなかった。私は走り出した。
体が軽い。たんぽぽの綿毛のようにふわっと地面を蹴ると家の屋根まで高く上がる。
「す……す……凄っ! なんなのよー!」
屋根から屋根へと飛び移りながら元来た公園へと向かう。
公園の遊具の真ん中にはでんでん虫がそびえ立っていた。小さな一軒家程の大きさに膨れ上がっていた。その奥にはエリカが座り込み、前にはサトルが守ろうと両手を広げていた。
「俺のことはいいから早く逃げて!」
「ダメっ、ダメなのっ、脚が動かないの! どうしよう……」
サトルは鬼気迫る表情で、エリカを引っ張りあげようとするが、立てない。
「ごめんなさい。私のせいで、サトルだけでもいいから逃げてよ!」
「そんなの出来るわけないだろ。実は俺も脚がガクガクしてる。」
エリカの頬から涙が滴り落ち、サトルの顔を見て、
「こんな時に言いたくなかったんですけど、私はあなたの事が好きです。中学入った頃からずっとあなただけを見てました。ごめんなさい。もう言える時ないから」
「……そうだったんだ。」
でんでん虫は長いカメレオンのような舌を出しサトルを空中に持ち上げた。
「だめーっ!」
私はエリカとでんでん虫の前にジャンプして、
「ちょっと待ってよ! どう戦ったらいいの!」
これまで喧嘩もしたことない。一人っ子だから、こういう時どうしたらいいのか分からない。
腕にはめたブレスレットのラピスラズリが光輝き、
──レイカ、レイカっ。
ミーニャンの声がする。
──タクトを出して、それで叩くんだ!
「ちょっと待ってよ。タクトはどうやって出せばいいのよ! ねえっ!」
──後は頼んだよー。
ちょっとちょっと、なんてせっかちな猫なんだろう。タクトは出ないしキックでもしてみようかしら。
私は高く飛び上がるとでんでん虫の目に向かってキックを繰り出した。
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