僕は家畜人 ~”連続絶頂” どうせ逝くなら、君の手で~

ヤミイ

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3 迫りくる影

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 地下鉄の扉が開き、すし詰め状態だった乗客が一斉に動き出す。
 その隙間を押し分けて、僕は転がるようにホームに飛び出した。
 恐怖ですくみそうになる足を励まして、一番近い階段を駆け上がる。
 階段を上り切るとそこは駅の改札だった。
 改札の向こうは地下街で、夏休みだからか、行き来する若者たちの姿が多い。
 後ろから誰か追ってきている者がいるのかどうか、振り返って確かめる勇気は出なかった。
 あれがあのまま続いたら…。
 その思いが強い。
 こうして駆けていてすら、臀部に当たる熱く固いモノ、そして胸元をはい回る手の感触が、生々しく蘇る。
 困るのは、いっこうに収まろうとしない、股間の強張りだった。
 パンツの中で石のように固くしこった”それ”が気になって、走りにくくて仕方ない。
 ”それ”は普段の倍以上の長さに膨張し、臍近くまで伸びている。
 正面から歩いてくる人たちが、股間の異常に気づくのではと気が気じゃなかった。
 とりあえず、人気のない所へ行こう。
 そう判断して、オフィスビルへの非常階段を駆け上がる。
 地下1階に出ると、そこは塵一つない磨き上げられた通路だった。
 左右には上半分がすりガラスになった扉が並んでいて、中に明かりが灯っているけど、通路に人の姿はない。
 トイレの標識を見つけて、その角を右に曲がった。
 手前が大きな多機能トイレで、奥が左右に分かれ、左が男子用、右が女子用になっている。
 ここまでくれば大丈夫。
 ほっとして足を止め、壁にもたれた、その瞬間だった。
 今曲がってきたばかりの角から、ぬうっとスーツ姿の男が現れた。
「やっと追いついたよ」
 歳の頃は、30代後半から40代半ばといったところだろうか。
 ガタイのいい、脂ぎった顔つきの中年男性だ。
 むろん、僕の知らない顔である。
「自分から、こんな好都合な場所に誘ってくれるとはな」
 にやにや笑いながら、男が言った。
「あ、あなた、誰…?」
 恐怖で躰が動かない。
 まさか、こいつ…。
 地下鉄から、ずっと僕を…?
「そんなこと、どうでもいいだろ? お互い、楽しめればな。さ、さっきの続き、始めようぜ」
 男の手が多機能トイレの扉を開け放つ。
 次の一瞬、突き飛ばされた僕は、気づくともう、トイレの中だった。
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