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16 職場へ
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お局のひと言に、拍手が沸き起こる。
僕としては、素直に喜ぶべきかどうか、迷うところだった。
バイトが正式に決まったのは、むろん、喜ぶべきことである。
けれど、強烈な違和感を覚えざるを得ないのだ。
精液の味見で、合格?
いったい僕は、これから何をやらされるのだろう?
「あの…ちょっと、説明してもらっていいですか? その製造部門とやらで、僕はどんな作業をすることに?」
やっとのことでそう口にすると、
「大したことじゃありません」
てきぱきと道具類を片付けながら、鰐部氏が答えた。
「いえ、むしろあなたは何もしなくてよいのです。ただそこに居てくれさえすればいい、というのか…」
鰐部氏の言葉に女子社員たちがクスクス笑い始めた。
ーだよね、所詮、家畜だもんねー
誰が言ったのか、わからない。
けど、そんな言葉を耳にした気がした。
家畜?
何のことだろう?
心の中で首をかしげる僕に、鰐部氏が口早に言い募る。
「とにかく、そうと決まればさっそく職場にご案内しましょう。あなたの配属先はこのビルの地下です。あ、服は後でお届けしますから、そのままでけっこうです。でも、バスタオルか何か、あったほうがいいかな。誰か、適当なのを持ってきてくれないか?」
「ちょ、ちょっと、待って…」
僕は絶句した。
そのままでいいって、どういうこと?
全裸で職場まで行けってことなのか?
鰐部氏の依頼を受け、黒髪眼鏡の女子社員が部屋を出て行った。
他の3人は相変わらずクスクス笑いをやめようとしない。
ー無様ねー
ー畜舎行きー
そんな意味不明の言葉が交わされているようだ。
「あの、その仕事、試しにやってみて無理のようでしたら、拒否権はありますよね?」
ふいに背筋が凍るほどの不安に駆られ、僕は焦ってそう訊いた。
「もちろんです」
戻ってきた女子社員からバスローブを受け取りつつ、鰐部氏が答えた。
「でも、それは杞憂だと思いますよ。矢風さん、この仕事にあなたほど向いている人は他にいないでしょう。それに」
そこで、意味ありげに少し口角を上げると眼鏡の奥で細めた目を光らせ、こう付け加えた。
「一度やってみればおわかりになると思いますが、あなたはこの仕事、絶対に断らないですよ」
僕としては、素直に喜ぶべきかどうか、迷うところだった。
バイトが正式に決まったのは、むろん、喜ぶべきことである。
けれど、強烈な違和感を覚えざるを得ないのだ。
精液の味見で、合格?
いったい僕は、これから何をやらされるのだろう?
「あの…ちょっと、説明してもらっていいですか? その製造部門とやらで、僕はどんな作業をすることに?」
やっとのことでそう口にすると、
「大したことじゃありません」
てきぱきと道具類を片付けながら、鰐部氏が答えた。
「いえ、むしろあなたは何もしなくてよいのです。ただそこに居てくれさえすればいい、というのか…」
鰐部氏の言葉に女子社員たちがクスクス笑い始めた。
ーだよね、所詮、家畜だもんねー
誰が言ったのか、わからない。
けど、そんな言葉を耳にした気がした。
家畜?
何のことだろう?
心の中で首をかしげる僕に、鰐部氏が口早に言い募る。
「とにかく、そうと決まればさっそく職場にご案内しましょう。あなたの配属先はこのビルの地下です。あ、服は後でお届けしますから、そのままでけっこうです。でも、バスタオルか何か、あったほうがいいかな。誰か、適当なのを持ってきてくれないか?」
「ちょ、ちょっと、待って…」
僕は絶句した。
そのままでいいって、どういうこと?
全裸で職場まで行けってことなのか?
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他の3人は相変わらずクスクス笑いをやめようとしない。
ー無様ねー
ー畜舎行きー
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「あの、その仕事、試しにやってみて無理のようでしたら、拒否権はありますよね?」
ふいに背筋が凍るほどの不安に駆られ、僕は焦ってそう訊いた。
「もちろんです」
戻ってきた女子社員からバスローブを受け取りつつ、鰐部氏が答えた。
「でも、それは杞憂だと思いますよ。矢風さん、この仕事にあなたほど向いている人は他にいないでしょう。それに」
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