僕は家畜人 ~”連続絶頂” どうせ逝くなら、君の手で~

ヤミイ

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47 すれ違う欲情

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 僕らは見つめ合った。
 その永遠にも思える瞬間、彼はなぜか頬を桜色に染め、僕は股間を熱くしていた。
 何か言葉をかけたくても、何を言えばいいのかわからなかった。
 感謝の言葉?
 あるいは、好意を伝える言葉?
 とにかく、何か口にしなければ…。
 焦りに焦る僕に彼は優しく微笑みかけると、先に口を開きかけた。
 でも、そのとき。
 だしぬけに、僕の後ろで車のクラクションが鳴り響いた。
 ぎょっとして振り向くと、歩道際に黒光りする巨大なリムジンが停まっていた。
「ごめん、急な呼び出しなんだ」
 僕の脇をすり抜けながら、弁解するように彼が言った。
「一度ゆっくり話がしたいよね」
 更にそうささやくと、磁石に引き寄せられるようにリムジンに近づいた。
 後部のドアが開き、ちらっと中が見えた。
 ボデイガード?
 サングラスに黒いスーツ姿のごつい男がふたり、シートに座っている。
 そうだ。
 一ノ瀬渉は、確か、大企業の社員だったはず。
 でも、と思う。
 彼はまだせいぜい20代半ばだろう。
 新入社員に毛の生えた程度の社歴しかないに違いない。
 それなのに、リムジンでお出迎えとは…。
 社長か取締役の御曹司といったところなのだろうか。
 だとしたら、僕なんかとは身分が違い過ぎる。
 なんせこちらは、学費と生活費に困窮した挙句、大手食品会社に社畜ならぬ家畜として雇われた身なのである。
 けどー。
 最後のせりふ。
 あれはどういう意味だったのだろう?
 ”一度ゆっくり話がしたい”
 一ノ瀬渉は、確かに僕の耳元にそうささやいたのだ。
 断じて聞き間違いなんかじゃない。
 胸が高鳴り、切ない思いがこみ上げてきた。
 あんなことがあったというのに、彼は僕を嫌っていないということか?
 いやそれどころか、僕を見つめてきたあの表情・・・。
 そんなことを考えながら、リムジンが走り去った後を、いつまでも見送っていた時である。
 チャリン。
 鈴を鳴らすような澄んだ音がして、足元の扉が内側から開いた。
 姿を現したのは、ボーイッシュな髪形をした、白いシャツに黒のベストとパンツといった出で立ちの、スリムな女性である。
「失礼ですが、お客様、矢風滋様ではありませんか」
「あ、はい」
 意表をつかれてうなずくと、若い女性の顔に満面の笑みが浮かんだ。
「お待ちしておりました。準備はできておりますので、どうぞ、中へ」
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