僕は家畜人 ~”連続絶頂” どうせ逝くなら、君の手で~

ヤミイ

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74 淫らな抱擁⑥

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 口に含んだ肉のグミ。
 まずはチュウチュウ吸ってみた。
 グミはすぐさま硬さを増していき、僕の頭上で渉が切なげに吐息を漏らす。
 その反応がいとしくて、僕は唇で膨らんだ乳頭の首根っこを挟み、窪んだ先端を固く尖らせた舌でつついてみる。
「アアアアアアアアッ」
 渉が感に堪えぬようにひと声喘ぎ、右手を下ろして密着した僕らの股間に差し入れた。
 ぎゅううっ。
 押し付け合った二本の肉の棒を、その手が一度にしっかり包み込む。
「くっ」
 握られた快感と裏筋同士の密着度が高くなった快感に、僕は思わずうめき声を漏らしていた。
「熱い…」
 渉が熱に浮かされたような口調でつぶやいた。
「初めて見た時から、こうしたかった…」
 その言葉に、僕の中に暖かいものが広がった。
 多幸感、とでもいうのだろうか。
 初めて自分を他人に認められたような感覚に、僕はつかの間、とんでもなく幸せな気分になる。
「そして初めて触れた時、もう、こうするしかないと思ったんだけど…」
 二本のペニスをまとめて手のひらに包み込み、愛おしげに優しく扱きながら、うわごとみたいに渉が言った。
「でも、なかなか勇気が出なくって…。だから、二度目に遭った時は、つい、逃げてしまった…」
 それでわかった。
 渉が言及しているのは、僕という人間ではなく、僕の勃起ペニスについてなのだ。
 初めて見た時とは、僕の裸体を目の当たりにしたあの多機能トイレでの初対面の時を指し、初めて触れた時というのは、痴漢から僕を掬い出した直後、偶然彼の手が僕のイチモツに当たった時のことを指すのだろう。
 その認識はある意味とても寂しいものだった。
 ヒトとしての中味なんてどうでもいい。
 僕の取り柄は勃起状態のペニスだけー。
 そういうことになってしまうのだから。
 おまえは家畜人だ。
 ソウルフーズの”飼育員”の声が耳の奥に蘇る。
 家畜人のくせに、このうえ何を望んでいる?
 そうなのだ。
 身体中から力が抜けていく。
 手足の先まで冷たくなり、渉の手の中で僕のペニスだけが死んだように萎え始めた。
 僕のとは逆に渉の”もの”はますます熱を帯び、弾力に富んだゴム並みの海綿体の固さを伝えてくるのだが…。
 絶望が喉元までせり上がる。
 僕は所詮、良質なミルクを出す”人間牛”に過ぎないのだ。
 ”ヒトウシ”の分際で、恋だの愛だの、あり得ない。
「どうした?」
 僕が乳首から唇を離したのに気づき、渉が顔を覗き込んできた。
「もう、やめて。これ以上僕を、からかわないで!」
 気づくと僕は渉を跳ね除け、落ちていた上着をつかんで部屋を飛び出していた。
 非常階段を駆け下りながら、僕は懸命にこみ上げる嗚咽をこらえ、唇を嚙み締めた。
 
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