アンドロギュノスは眠れない

ヤミイ

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♠8 待ち受けていた罠⑥

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 そうなのだ。

 両性具有者である私には、ヴァギナも備わっている。

 これはある意味当り前だ。

 なぜって、長い間、私は女として生きてきたのだから。

 半年前、突然クリトリスが異常な速度で成長を始めてペニスになり、その根元に精巣を内包した陰嚢ができるまでは、私はれっきとしたフェメールだったのである。

 よって、私の陰嚢の陰には、かすかに盛り上がった恥丘があり、その狭間は女性器となっている。

 もし、男がそのことに気づいたら・・・。

 その可能性に思い至ったとたん、私はぞくぞくと背筋が粟立つのを感じないではいられなかった。

 先走り汁でぬるぬるになった亀頭の縁を指で擦られるだけで、こんなに気持ちいいのである。

 そこにもし、ヴァギナへの愛撫が加わったとしたら・・・。

「さあ、そろそろいいかな」

 快感に耐える私の顔を見上げて、男が言った。

「ここまで濡らしてあげれば、もう、剥いても痛くないよね」

 痴漢相手に、ついついうなずいてしまう私。

 そんな自分が、なんとも情けない。

 右手で竿の真ん中あたりを握り、男が湯気を上げるほかほかの亀頭に口を近づける。

 く、くる・・・。

 全身の筋肉が、緊張で縮こまる。

 オナニー以外、私に性経験はない。

 当然、フェラチオなんて初体験なのだ。

「あ、そうだ。少しでもカウパー腺液の分泌を促進するよう、こうしてあげるよ」
 
 ぎりぎり触れるか触れないかのところで唇を止めて、男が左手を伸ばした。

 延ばした先にあるのは、ささやかな私の乳房である。

 いつのまにやらビンビンに勃っている乳首を、男の指が楽器を演奏するように弾いた。

「あふっ」

 あまりの気持ちよさに、つい前かがみに上体を折ってしまう私。

 何度か指先で弾かれた後、今度はいきなりつままれた。

 右と左を交互に抓まれ、ひねられる。

「ひいっ」

 反射的に叫んだその瞬間、股間が温かいものに包まれた。

 男の口が、そそり立つ私の分身をついに咥え込んだのだ。

 
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