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第一章 無知な少女の成長記

顔覚えましたから

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今、私は荒れ狂う川の中をどんぶらこ~どんぶらこ~とウォータースライダーしてます。

さて私は誰でしょ~か!

え?桃太郎じゃないかって?

残念違います










正解は……ただの赤ちゃんでしたー!バブバブ











サラサラの金髪に紫の瞳。この歳でも分かる美人な赤ん坊です!という自己紹介なんですが正直よくわからないのです。こんな赤ん坊の記憶なんてあやふやで、昔見た記憶で辛うじて覚えてる容姿なんですこれ。あと自分の名前も知らないのです…。これは私に非はありませんよ!両親の記憶はなく、お世話をしてくれていた人がたくさんいたから良いとこの子なんだろうなぁ~って言うことくらいしか分かりません!

なので私は多分どこかの国のお嬢様なんでしょう。だがしかし私は大人しくお嬢様をできる落ち着いた性格ではないのです。この記憶はなかったことにしましょう。

まぁそんな過去の事は置いといて、何故こんな赤ん坊が桃太郎の真似をしているかと言うと答えは1つ!


誘拐されちゃった☆


挙句の果てにさらってる途中で魔物の集団に襲われまして……川にポイッですよ。川に物を捨てるな!物じゃなくて人間だけども!!ついでに川に投げられるとき、私を抱いていた男の人とほんの一瞬だけ目があいました。

『ドクンッ』

顔を隠している仮面から覗く瞳は、深海を彷彿とさせる飲み込まれそうな美しい青色。時間にして1秒にも満たないほどの刹那が永遠に感じられ、全てがスローモーションの中彼の瞳から目が離せませんでた。そして…


ドボンッ


投げ捨てられました。
許さん!乙女の純情を踏みにじりよって!!

一応空気の塊みたいなもので包む魔法をかけてくれていたようです。
ぐっ…そんなことでときめいたりなんかしないんですからね!

そうして私はデッド・オア・アライブのスリリングなウォータースライダーをしているのでした。






では何故私が多分生後1歳ちょいの赤ん坊でこんなに、心の中で話しまくっているのかお話しましょう。
え?独り言が多いって?それくらいやんないとやってけないですよ、かれこれ何時間生死の境を彷徨うウォータースライダーやってると思ってるんですか!

人って凄いんですよ…窮地に対してなんとかしようと記憶を探る走馬灯ってやつを見たんです!まぁファンタジーな世界ですから超常現象起こりやすいんですかね?記憶を探るうちに見つけちゃいました。そう…


前世の記憶


わー拍手!!パチパチパチ!

前世の私は日本で大学生やってた女子大生です!最後の記憶が道を歩いている途中なんですよ……そんな所で即死って何があったんですかね?恐ろしいです。

そしてその記憶がハイスペックな私に組み込まれました。自分でハイスペックとか言っちゃう系ベイビーです。じゃないと幼児の脳に異常な量の知識を叩き込まれたのに、知恵熱や体の不調がないなんておかしいです。まぁ今はそれが死活問題なのでありがたいです。

そんな私のピンチを救う記憶が現れました。するとどうします?
前世の記憶…アニメや漫画等のファンタジー、それを実現させる魔力と世界。


魔法試したくなるよね!!


そして私は彼が貼ってくれた空気の塊内の酸素濃度を調節したり、温度を調節したりし今を生きているのです。はぁ…この世界には川で洗濯をする文化はあるのでしょうか。いや桃じゃないにしてもこんな怪しい玉に入った幼児を拾う人なんて居るのでしょうか…





正直不安いっぱいです。いくら魔力量多いって言っても赤ちゃんだし、体力の限界があるわけです。それにお腹も空いています。心の底からふつふつと湧き上がる《不機嫌》により泣き叫びたい気分です。
あぁ…空が明るくなってきました…綺麗です…ハハそのまま私も空へ連れていかれ…


あれ?本当に浮いてる…


ちょっと待って!?浮いてる!浮いてる!?どどどどどういうことですか!?本当に天に召されちゃってる!?いやだぁぁ!そんなパニックに陥っている私の耳に誰かの声が聞こえました。


「人生何が起こるかわからんのぉ…まさか赤子が川から流れてくるとは…」


ふわふわと中を移動した先には、白い立派なお髭を蓄えたお爺さんが居ました。そしてお爺さんは私を優しくキャッチすると頭を撫でてくれました。


「お前さん運が良かったのぉ。ここから先は魔物の森じゃから食われとったぞ」

「びぇっ…おじーさー ありあとー」

「んぉ?そうかそうかありがとうか!礼儀正しいいい子じゃのぅ」


お爺さんは私の拙い言葉を理解し笑顔で頭を撫でてくれました。なんだか安心します。警戒心なぞ皆無な私はお爺さんの腕で大人しくしています。


「どこから来たか分かるか?」


私は考えました。貴族か商家か知りませんが、良いとこの子なんだろうってのは分かります。なんせ世話をしてくれる人が居て、上等なベビー服を着ているのです。ですがそれ以外自分の家の事なんてこれっぽっちもわかんないのです。分かったとしても最悪このお爺さんが私を誘拐したと思われるかもしれません。ついでに言うと折角自由に行動できる地位孤児なんです。それに私はもう一度あの男性に会いたいのです!そして私は決めました。


「んぅーわーんないれす!」

「じゃあ丁度いいワシは今弟子を探しとってな、良かったら一緒に暮らさんか?」

「あい!」


お爺さんごめんなさい私は大嘘つきです。ですが私の自由と願いを叶えるための生贄として、私を育ててくださいね。
そうして私はお爺さんに抱えられながらいつの間にか眠っていました。1歳児の気力と体力を使い果たし私は眠りこみました。世の中には知らない方がいい事もあるのです。そう…目が覚めた所が



魔物の森だったとか



眠ってる私は知らないのです。そしてそれを知るのは翌朝。










「ふぁぁぁ~はふぅ。」

「おぉ起きたか。よく寝とったのぉ丸一日眠っておったから死んだかと思ったわい!ほれ、これを食べんさい。」

私はその後お爺さんの作ったご飯を食べました。まだまだ手先が不自由なので掴みやすい食べ物が多いです。それはいいのですが…なんというか長生きできそうな味と色のお料理です。

明るい所で見ると、お爺さんは白銀色の髪とお髭を蓄え、私とお揃いの紫の瞳をしていました。


「ここどこれすか?」

「んぉ?あぁーここは魔物の森の中心部じゃのう~お前さんはまだまだ弱っちいから、結界からでたら即ミンチ決定じゃぞ。気をつけなさい」


このお爺さんサラッと監禁宣言してきました。とんでもないお爺さんです。


「そうじゃ自己紹介せんとな!ワシの名前はゴルバチョフ=セラ=ベラスケスじゃ。まぁそのムニャムニャの口じゃ言えんじゃろうから師匠でいいぞ。これからはビシバシ鍛えて、生い先短いこのワシの全てを叩き込んでやろう!」


本当にとんでもないお爺さんでした。私1歳3ヶ月の赤ちゃんですよ、その発言はヤバいです。でもこの人は本当に容赦なく鍛えてくると勘がビシビシと伝えてきます。あ…なんかフラグ立ててしまったのでは……











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長編になる予定でタイトル回収は当分先です。
他作品を書いてるときに思いついた話なので、その時のテンションによって話の勢いが違うと感じるかもしれません。
暇潰しに読んで貰えたら幸いです。

次回 私と師匠とそれから魔法
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