32 / 81
第一章 無知な少女の成長記
司書はドッペルゲンガー
しおりを挟む
部屋に入るとまずその独特な雰囲気に圧倒されます。いつもの書庫とはまずその規模から桁が違い、高い天井と部屋のサイドの通路が五階程あり正面に木製のユリの花が彫られた螺旋階段が伸びています。そのほかの調度品にも入り口の扉と同じくユリが彫られているようで、何か特別な思い入れがあるのかもしれません。
キョロキョロと部屋の様子を伺っていると突然声を掛けられ驚きます。
「ようこそ『裏の書庫』へ。私はここの全てを管理する司書のリリーと申します。お探し物や軽食の用意などこの部屋の中でのことなら何なりとお申し付けください」
「え、あ、はい。ありがとうございますリリーさん、私はルクレツィアと申します。今日は錬金術関係の本を探していて…」
声を掛けてきたのはここの司書さんでした。リリーさんは…私に、というよりお婆様によく似ています。艶やかな金色の髪に空色の瞳絵画にはない目元のホクロが同一人物ではないことを表しています。十歳くらいでしょうかあまりピスティスやラトレイアと変わらない年ごろで、真っ白な可愛らしいスカートに淡い緑のドレスを着たユリのような美しい少女でした。ですが…私は師匠以外にこの屋敷に人がいたなんて聞いていません。使用人もいない師匠の魔法で全て住むこの屋敷に人が、しかも書庫にいるなんて…
「『ルクレツィア』様ですね登録いたしました。どうぞリリーと、それと敬語も必要ありません、私はここの管理を任されている人造人間ですのでそちらの方がこちらとしても有難いのです。
それと名前と魔力の登録を済ませたので次回からは鍵を使わず、魔力を入り口の扉に流しユリが現れた時に開けていただければここに入ることが出来ます。それでは錬金術関係の本をお持ちしますね」
「え、あ、はい。い、いえ!わざわざ持ってこなくても教えていただければ、いや教えてもらえればそれで十分だよ!」
リリーの困ったような顔に折れ、話し方を変えます。まさかの人造人間という答えに動揺しつつ答えます。ですがそれよりもわざわざ本を持ってきてもらうようなことは申し訳ないです!それにこれだけ本があれば錬金術関係だけでもとてつもない量になってしまいます。
そんなことを言っていた私はまさかの展開に開いた口が開きません。リリーが手を叩くと書庫の全ての本棚が動き出し私たちの目の前にやってきました。派手な音も揺れもない様子から、本棚は初めから浮いていてそれがリリーの指示により自在に動くようになっているようです。
「どうぞこの棚が錬金術関連の本になります」
目の前には巨大な本棚が立ちリリーはピスティスの指示で錬金術の基礎の本を取り出すと、いくつか候補を机に置いていきます。え、これが普通なんですか?この世界の司書ってそんな事求められる職業なんです?なんで三人とも当たり前に本を選んでるんです、私大混乱なんですが…
「よしこれでいいだろう。助かった」
「いえこれが私の仕事ですから、次からは皆さんこちらにいらしてくださいお茶をお出ししますので」
「ルクレツィアはどうせ集中すると何も飲まないので私と兄とリリーのだけでいいのです」
おいラトレイア一応主人なんだからどうせだなんて言わないでください。リリーは何というか純粋無垢というイメージを受け、淑女の鏡のようにふふっと穏やかに笑っています。本当に人に作られた人間だとは思えない表情や受け答えが前世のAIとは異なる《人間》だと思わされます。
「それじゃあ借りるね。リリーのお陰でスムーズに見つけることが出来たよありがとう!」
「いえお役に立ててよかったです。是非またいらしてください、私は『表の書庫』も管理しているので申していただければお渡しすることが出来ますので」
「おぉーそれは凄く助かるよ、じゃあまたね!」
書庫を出て師匠の待つ薬剤室兼、錬金術工房に向かいます。本は私の亜空間に収納しているため手には何もありません。私の後ろに並んでついて来ている二人に声を掛けます。
「二人はリリーとは仲がいいの?」
「まぁ主は違うが同じ屋敷で仕えているし、用があれば話すってくらいだな。リリーはあの書庫から出られないから、書庫に行った時だけって感じ」
「ラトもそんな感じなのです。元々リリーはメリル様に作られた生命体でそれを爺があの書庫の番人にしたので、よくメリル様について兄とリリーに会いに行ったのです」
「やっぱりリリーはお婆様によって生み出されたのね…でもどうして師匠は書庫の番人したの?二人のように侍女でも良かったのに」
私は歩きながら二人を振り返ります。4歳の私と13歳くらいの二人では身長差があり上を見上げる形になります。ピスティスは不機嫌な顔や照れて怒る顔などもしますが二人は基本無表情で、今も人形のような顔立ちで私を見下ろしています。全く愛想のないツンデレな可愛い従者ですね!若干目元が緩んでいることなんて私にかかれば直ぐにバレちゃうんですから。そんなことを考えているとは知らず、二人は私を見ながら口を開きます。
「それはリリーの存在そのものが禁忌だからだ。だからアイツは外から一切干渉されないあの書庫にリリーの身を隠し仕事を与えたんだ。あそこの本も貴重なものばかりだから下手な奴に任せられないものだし調度よかったんだ」
「人造人間は禁忌なの?」
「それはそうだろう、ルクレツィアは見たんだろうリリーに魂がない事を」
そう私は最初から精霊を見ることが出来たことから【精霊眼】を持っているのです。だから【魔眼】を発動することなく人の魂のようなものやオーラが見えるのです。しかしリリーはそれがありません。精霊たちは魂はなくてもオーラや体からあふれるエネルギーのようなものが見えます。でもリリーには心臓部分にあるはずの輝く球体やそれからにじみ出て体を纏うオーラが全くないのです。
「『人造人間は生きていて死んでいる存在で異分子だ。完全な『生命』は神にしか生み出すことは許されない。そしてそれに近づき神の領域に踏み入れることは禁忌であり排除する』」
「なにそれ…」
「ある宗教の聖書の一節なのです。だからリリーが人造人間だってことは内緒なのです」
「でも…リリーの自由は?魂がないってだけでリリーは何も悪いことはしてないじゃない、思考も感情もあるんでしょう?それは人と何も変わりないじゃない」
「そうですよ。リリーは生み出されただけ。リリーは何も罪を犯していませんし命を狙わることも自由を奪われるようなこともしていません。ですがダメなのです。この世界のバランスを崩すことはできないのです」
「どうして?それにバランスって何?」
私は立ち止まり後ろを歩く二人を正面から見つめます。二人は言いにくい事なのでしょうか、少しだけ眉を寄せ下を向いています。
「今この世界に神が…管理者がいないのです。調節者はいますがあくまで流れや異分子を排除するだけ。それゆえに人造人間の存在が万が一広がり彼らが大量に生み出されでもすれば…世界の倫理が崩壊します。奴隷でも兵器でもなんにでもでき、死ねばまた生み出せばいいのです。そうして人造人間から出た感情が自然を魔素を穢し、いずれこの世界は魂の淀んだ者たちが堕ちる地獄と化すのです」
「それをリリーも理解し、だがマスターの意思も尊重し生きたいためにあそこで司書をしているんだ」
「そう…」
私はそれ以上何も言えませんでした。スケールの大きすぎる話に何も言えなかったのです。リリーは自分を作り出したお婆様を恨んでいないのでしょうか。意思を尊重したいなんて思えるようなことをされたのかわかりません。ただ私は二人の間にあったことについて何も知りませんし、リリーの現状はリリーの意思で決めることで勝手に私が酷いなんて言うことはしてはいけません。
もやもやすることは確かですがなら私がリリーにしてあげられることをすればいいのです。口先ばかりで行動の伴わない批判はしてはいけません。そして大分知識が付いた今でも知らないことが多すぎて正しい判断が出来ません。『裏の書庫』をすべて読むためにこれから忙しくなりそうです!
私たちは師匠の待つ部屋へと歩みを再開させたのでした。
ーーーーーーーーーー
詳しい人造人間については何章か後のゴルバチョフとメリルの過去話の時に描く予定です。
次回 口は禍の元
キョロキョロと部屋の様子を伺っていると突然声を掛けられ驚きます。
「ようこそ『裏の書庫』へ。私はここの全てを管理する司書のリリーと申します。お探し物や軽食の用意などこの部屋の中でのことなら何なりとお申し付けください」
「え、あ、はい。ありがとうございますリリーさん、私はルクレツィアと申します。今日は錬金術関係の本を探していて…」
声を掛けてきたのはここの司書さんでした。リリーさんは…私に、というよりお婆様によく似ています。艶やかな金色の髪に空色の瞳絵画にはない目元のホクロが同一人物ではないことを表しています。十歳くらいでしょうかあまりピスティスやラトレイアと変わらない年ごろで、真っ白な可愛らしいスカートに淡い緑のドレスを着たユリのような美しい少女でした。ですが…私は師匠以外にこの屋敷に人がいたなんて聞いていません。使用人もいない師匠の魔法で全て住むこの屋敷に人が、しかも書庫にいるなんて…
「『ルクレツィア』様ですね登録いたしました。どうぞリリーと、それと敬語も必要ありません、私はここの管理を任されている人造人間ですのでそちらの方がこちらとしても有難いのです。
それと名前と魔力の登録を済ませたので次回からは鍵を使わず、魔力を入り口の扉に流しユリが現れた時に開けていただければここに入ることが出来ます。それでは錬金術関係の本をお持ちしますね」
「え、あ、はい。い、いえ!わざわざ持ってこなくても教えていただければ、いや教えてもらえればそれで十分だよ!」
リリーの困ったような顔に折れ、話し方を変えます。まさかの人造人間という答えに動揺しつつ答えます。ですがそれよりもわざわざ本を持ってきてもらうようなことは申し訳ないです!それにこれだけ本があれば錬金術関係だけでもとてつもない量になってしまいます。
そんなことを言っていた私はまさかの展開に開いた口が開きません。リリーが手を叩くと書庫の全ての本棚が動き出し私たちの目の前にやってきました。派手な音も揺れもない様子から、本棚は初めから浮いていてそれがリリーの指示により自在に動くようになっているようです。
「どうぞこの棚が錬金術関連の本になります」
目の前には巨大な本棚が立ちリリーはピスティスの指示で錬金術の基礎の本を取り出すと、いくつか候補を机に置いていきます。え、これが普通なんですか?この世界の司書ってそんな事求められる職業なんです?なんで三人とも当たり前に本を選んでるんです、私大混乱なんですが…
「よしこれでいいだろう。助かった」
「いえこれが私の仕事ですから、次からは皆さんこちらにいらしてくださいお茶をお出ししますので」
「ルクレツィアはどうせ集中すると何も飲まないので私と兄とリリーのだけでいいのです」
おいラトレイア一応主人なんだからどうせだなんて言わないでください。リリーは何というか純粋無垢というイメージを受け、淑女の鏡のようにふふっと穏やかに笑っています。本当に人に作られた人間だとは思えない表情や受け答えが前世のAIとは異なる《人間》だと思わされます。
「それじゃあ借りるね。リリーのお陰でスムーズに見つけることが出来たよありがとう!」
「いえお役に立ててよかったです。是非またいらしてください、私は『表の書庫』も管理しているので申していただければお渡しすることが出来ますので」
「おぉーそれは凄く助かるよ、じゃあまたね!」
書庫を出て師匠の待つ薬剤室兼、錬金術工房に向かいます。本は私の亜空間に収納しているため手には何もありません。私の後ろに並んでついて来ている二人に声を掛けます。
「二人はリリーとは仲がいいの?」
「まぁ主は違うが同じ屋敷で仕えているし、用があれば話すってくらいだな。リリーはあの書庫から出られないから、書庫に行った時だけって感じ」
「ラトもそんな感じなのです。元々リリーはメリル様に作られた生命体でそれを爺があの書庫の番人にしたので、よくメリル様について兄とリリーに会いに行ったのです」
「やっぱりリリーはお婆様によって生み出されたのね…でもどうして師匠は書庫の番人したの?二人のように侍女でも良かったのに」
私は歩きながら二人を振り返ります。4歳の私と13歳くらいの二人では身長差があり上を見上げる形になります。ピスティスは不機嫌な顔や照れて怒る顔などもしますが二人は基本無表情で、今も人形のような顔立ちで私を見下ろしています。全く愛想のないツンデレな可愛い従者ですね!若干目元が緩んでいることなんて私にかかれば直ぐにバレちゃうんですから。そんなことを考えているとは知らず、二人は私を見ながら口を開きます。
「それはリリーの存在そのものが禁忌だからだ。だからアイツは外から一切干渉されないあの書庫にリリーの身を隠し仕事を与えたんだ。あそこの本も貴重なものばかりだから下手な奴に任せられないものだし調度よかったんだ」
「人造人間は禁忌なの?」
「それはそうだろう、ルクレツィアは見たんだろうリリーに魂がない事を」
そう私は最初から精霊を見ることが出来たことから【精霊眼】を持っているのです。だから【魔眼】を発動することなく人の魂のようなものやオーラが見えるのです。しかしリリーはそれがありません。精霊たちは魂はなくてもオーラや体からあふれるエネルギーのようなものが見えます。でもリリーには心臓部分にあるはずの輝く球体やそれからにじみ出て体を纏うオーラが全くないのです。
「『人造人間は生きていて死んでいる存在で異分子だ。完全な『生命』は神にしか生み出すことは許されない。そしてそれに近づき神の領域に踏み入れることは禁忌であり排除する』」
「なにそれ…」
「ある宗教の聖書の一節なのです。だからリリーが人造人間だってことは内緒なのです」
「でも…リリーの自由は?魂がないってだけでリリーは何も悪いことはしてないじゃない、思考も感情もあるんでしょう?それは人と何も変わりないじゃない」
「そうですよ。リリーは生み出されただけ。リリーは何も罪を犯していませんし命を狙わることも自由を奪われるようなこともしていません。ですがダメなのです。この世界のバランスを崩すことはできないのです」
「どうして?それにバランスって何?」
私は立ち止まり後ろを歩く二人を正面から見つめます。二人は言いにくい事なのでしょうか、少しだけ眉を寄せ下を向いています。
「今この世界に神が…管理者がいないのです。調節者はいますがあくまで流れや異分子を排除するだけ。それゆえに人造人間の存在が万が一広がり彼らが大量に生み出されでもすれば…世界の倫理が崩壊します。奴隷でも兵器でもなんにでもでき、死ねばまた生み出せばいいのです。そうして人造人間から出た感情が自然を魔素を穢し、いずれこの世界は魂の淀んだ者たちが堕ちる地獄と化すのです」
「それをリリーも理解し、だがマスターの意思も尊重し生きたいためにあそこで司書をしているんだ」
「そう…」
私はそれ以上何も言えませんでした。スケールの大きすぎる話に何も言えなかったのです。リリーは自分を作り出したお婆様を恨んでいないのでしょうか。意思を尊重したいなんて思えるようなことをされたのかわかりません。ただ私は二人の間にあったことについて何も知りませんし、リリーの現状はリリーの意思で決めることで勝手に私が酷いなんて言うことはしてはいけません。
もやもやすることは確かですがなら私がリリーにしてあげられることをすればいいのです。口先ばかりで行動の伴わない批判はしてはいけません。そして大分知識が付いた今でも知らないことが多すぎて正しい判断が出来ません。『裏の書庫』をすべて読むためにこれから忙しくなりそうです!
私たちは師匠の待つ部屋へと歩みを再開させたのでした。
ーーーーーーーーーー
詳しい人造人間については何章か後のゴルバチョフとメリルの過去話の時に描く予定です。
次回 口は禍の元
0
あなたにおすすめの小説
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
悪役令息の婚約者になりまして
どくりんご
恋愛
婚約者に出逢って一秒。
前世の記憶を思い出した。それと同時にこの世界が小説の中だということに気づいた。
その中で、目の前のこの人は悪役、つまり悪役令息だということも同時にわかった。
彼がヒロインに恋をしてしまうことを知っていても思いは止められない。
この思い、どうすれば良いの?
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました
ララ
恋愛
3話完結です。
大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。
それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。
そこで見たのはまさにゲームの世界。
主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。
そしてゲームは終盤へ。
最後のイベントといえば断罪。
悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。
でもおかしいじゃない?
このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。
ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。
納得いかない。
それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる