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第一章 無知な少女の成長記
従者の修行①
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僕とラトレイアの主となったルクレツィアが魔物の森に飛ばされて数日経った。
「いい加減ラトたちもルクレツィアの所に飛ばしやれなのですクソ爺!あの森に何の説明も準備もなく放り出すなんて死ねといっているようなものなのです!」
そうあの森は高濃度の魔素が森全体に溜り並大抵の強さでは一瞬で魔物の餌食となる。また森の木々や水、岩などにまで魔素が浸透し非常に高価な素材として市場に出回っているのだ。それもそのはずで高濃度の魔素は人の負の感情が大量に交わることで瘴気に変わるため純粋な魔素のまま維持している場所は限られる。また多量の魔素に耐えられる物質は少なく人間もその例外ではない。ある程度魔力操作に長けたものでないと最悪命を落とすこともあり素材の回収は困難を極める。加えて魔素の濃いところでは魔物の出現率が高くその強さも濃度に比例するのだ。ゆえにたっぷりと魔素を含んだ素材というのは市場では滅多にお目にかかれないほど高価で珍しく、闇ルートや高ランクの冒険者を頼るしかない。
だがそれならルクレツィアには何の問題もないのだ。既にゴルバチョフとやり合えるほどの強さと知識を持っているなら、いくらこの森が生きては戻れない死の森だと言われていても生き残ることは容易だろう。しかしそれはあくまで素材採取や短期の冒険の場合だ。三か月間SSSランクも蔓延り常人であれば確実に死に至る濃度の魔素の中で生きのこるのは困難を極める。まして植物から水に至るまで全てが高濃度の魔素を含みその効果は魔物を食うのと大差ないのだ。今まで魔物の肉すら食ったことのないルクレツィアが万が一それを受け入れられなければ飢えて弱ったところを狙われてしまう。
「何度も言いますがルクレツィア集団戦はおろかそもそも魔物を見たことも戦ったこともないのです!この森はいきなり放り出していいような難易度じゃないのは分かっているのにどうしてラトたちを話したのです!?ルクレツィアはまだ刃に魔力を均等に通すことすらまともに出来ていないのです、体内にはいてくる魔素を中和するために魔力を大量消費する中魔法で戦うのはあまりにも酷いのです。」
だが僕たちはルクレツィアが強いことを知っている。だから何よりも恐れていることは一つ
「何よりもあのバカは生活力皆無ねのですぅぅぅぅ!!」
「何じゃってぇぇぇ!まぁルークならサバイバルについての方法が書かれた本を読んで…「そんな本が無かったから言ってるのです!」そうじゃそもそもワシそんな本必要ないから集めておらんわ!」
「だから言ったのです。食べるための魔物の肉の処理の仕方も水のろ過から魔力を含んだ木の扱い方まで何の準備もなく知識もなく…っこのままじゃっ」
急にわざとらしい口調で茶番が始まったがラトレイアの心配は僕にとっても一番危惧すべき問題なのだ。正直に言って魔素が濃こうが強力な魔物がいくら来ようがルクレツィアは素手で撃破するだろうから心配はない。むしろそこらの魔物の牙では魔人であるルクレツィアの肉を引き裂くなど不可能だろう。ただいくら強かろうが衣食住の知識がなければ3カ月なんて生きていけない。全て高濃度の魔素を含むしかない中で何を飲み食いする?魔物の習性は?肉の捌き方は、処理は?体を休ませる寝床は?過保護かもしれないが最低でもそれくらいの知識がなくては…
「このままじゃ野生に返っちゃうのです!!!」
そうルクレツィアは出来なければ力ずくでやる。アイツは絶対肉を獣のように生で貪り貰った短剣を使う間もなくぶっ壊しサルよりも頭を使わず行動している。雨風を防げる洞窟とかは実力で強奪し最悪森の食物連鎖の頂点に君臨し言葉すら忘れていたり…
「流石にそこまで考えておらんかったわい!じゃが…自分でいうのもなんじゃがルークはワシの弟子じゃし上手くいくんじゃ…「「そこが一番心配な要素なんだよ(なのです)!」」ぐぉぉぉ否めない!」
頭を抱えしゃがみ込んだゴルバチョフはラトレイアにポカポカ殴られながもその顔は焦っていない。まぁ流石に僕もルクレツィアが魔物の王になるなんて本気で思っちゃいない。…いや……なんかこういうの言っちゃダメなんだって言ってたな。フラグを立ててしまった感は否めないが忘れよう。考えたらあの広大な森の主全員に遭遇するなんてありえない。そう結論付け目の前の不機嫌な片割れと茶を入れ始めた老人をみる。おい僕にその不味い茶を飲ませようとするな。
「まぁルークが例え野生に帰ろうが土に還ろうがお前たちがフォローしてやればいいんじゃよ」
「野生に帰ったルクレツィアを人間に戻せる自信がないのです」
「大丈夫そのためにワシが特別講師を用意した」
「いやサラッと流したが土に還ったらダメだろ」
ゴルバチョフの入れた絶望の紅茶を拒否しながら二人の会話にツッコミを入れる。問題児ルクレツィアが居ないとラトレイアがボケに回るから結局労力は変わらないな。というかこの爺いまなんて言った?
「講師って何のです?」
「そりゃ従者としての教育に決まっておるじゃろう」
「ラトたちは家事やお茶を入れるのは得意なのですけど。髪も服も魔法でちょちょいなのですから他に何を学べばいいのです?」
「甘いのぉ、従者といえば主人を支えるために…なんか色々やるんじゃよ」
「全く説明になっていないのです」
「まあとにかくお前たちもレベルアップするために修行頑張ってくるんじゃな」
「「え”、は!?」」
ニヤリと笑い他人事をいうゴルバチョフを最後に僕たちは光に包まれ飛ばされた。
ーーーーーーーーーーーーー
時系列にそってルクレツィアのサバイバル生活も混ぜようと思います
次回 従者の修行②
「いい加減ラトたちもルクレツィアの所に飛ばしやれなのですクソ爺!あの森に何の説明も準備もなく放り出すなんて死ねといっているようなものなのです!」
そうあの森は高濃度の魔素が森全体に溜り並大抵の強さでは一瞬で魔物の餌食となる。また森の木々や水、岩などにまで魔素が浸透し非常に高価な素材として市場に出回っているのだ。それもそのはずで高濃度の魔素は人の負の感情が大量に交わることで瘴気に変わるため純粋な魔素のまま維持している場所は限られる。また多量の魔素に耐えられる物質は少なく人間もその例外ではない。ある程度魔力操作に長けたものでないと最悪命を落とすこともあり素材の回収は困難を極める。加えて魔素の濃いところでは魔物の出現率が高くその強さも濃度に比例するのだ。ゆえにたっぷりと魔素を含んだ素材というのは市場では滅多にお目にかかれないほど高価で珍しく、闇ルートや高ランクの冒険者を頼るしかない。
だがそれならルクレツィアには何の問題もないのだ。既にゴルバチョフとやり合えるほどの強さと知識を持っているなら、いくらこの森が生きては戻れない死の森だと言われていても生き残ることは容易だろう。しかしそれはあくまで素材採取や短期の冒険の場合だ。三か月間SSSランクも蔓延り常人であれば確実に死に至る濃度の魔素の中で生きのこるのは困難を極める。まして植物から水に至るまで全てが高濃度の魔素を含みその効果は魔物を食うのと大差ないのだ。今まで魔物の肉すら食ったことのないルクレツィアが万が一それを受け入れられなければ飢えて弱ったところを狙われてしまう。
「何度も言いますがルクレツィア集団戦はおろかそもそも魔物を見たことも戦ったこともないのです!この森はいきなり放り出していいような難易度じゃないのは分かっているのにどうしてラトたちを話したのです!?ルクレツィアはまだ刃に魔力を均等に通すことすらまともに出来ていないのです、体内にはいてくる魔素を中和するために魔力を大量消費する中魔法で戦うのはあまりにも酷いのです。」
だが僕たちはルクレツィアが強いことを知っている。だから何よりも恐れていることは一つ
「何よりもあのバカは生活力皆無ねのですぅぅぅぅ!!」
「何じゃってぇぇぇ!まぁルークならサバイバルについての方法が書かれた本を読んで…「そんな本が無かったから言ってるのです!」そうじゃそもそもワシそんな本必要ないから集めておらんわ!」
「だから言ったのです。食べるための魔物の肉の処理の仕方も水のろ過から魔力を含んだ木の扱い方まで何の準備もなく知識もなく…っこのままじゃっ」
急にわざとらしい口調で茶番が始まったがラトレイアの心配は僕にとっても一番危惧すべき問題なのだ。正直に言って魔素が濃こうが強力な魔物がいくら来ようがルクレツィアは素手で撃破するだろうから心配はない。むしろそこらの魔物の牙では魔人であるルクレツィアの肉を引き裂くなど不可能だろう。ただいくら強かろうが衣食住の知識がなければ3カ月なんて生きていけない。全て高濃度の魔素を含むしかない中で何を飲み食いする?魔物の習性は?肉の捌き方は、処理は?体を休ませる寝床は?過保護かもしれないが最低でもそれくらいの知識がなくては…
「このままじゃ野生に返っちゃうのです!!!」
そうルクレツィアは出来なければ力ずくでやる。アイツは絶対肉を獣のように生で貪り貰った短剣を使う間もなくぶっ壊しサルよりも頭を使わず行動している。雨風を防げる洞窟とかは実力で強奪し最悪森の食物連鎖の頂点に君臨し言葉すら忘れていたり…
「流石にそこまで考えておらんかったわい!じゃが…自分でいうのもなんじゃがルークはワシの弟子じゃし上手くいくんじゃ…「「そこが一番心配な要素なんだよ(なのです)!」」ぐぉぉぉ否めない!」
頭を抱えしゃがみ込んだゴルバチョフはラトレイアにポカポカ殴られながもその顔は焦っていない。まぁ流石に僕もルクレツィアが魔物の王になるなんて本気で思っちゃいない。…いや……なんかこういうの言っちゃダメなんだって言ってたな。フラグを立ててしまった感は否めないが忘れよう。考えたらあの広大な森の主全員に遭遇するなんてありえない。そう結論付け目の前の不機嫌な片割れと茶を入れ始めた老人をみる。おい僕にその不味い茶を飲ませようとするな。
「まぁルークが例え野生に帰ろうが土に還ろうがお前たちがフォローしてやればいいんじゃよ」
「野生に帰ったルクレツィアを人間に戻せる自信がないのです」
「大丈夫そのためにワシが特別講師を用意した」
「いやサラッと流したが土に還ったらダメだろ」
ゴルバチョフの入れた絶望の紅茶を拒否しながら二人の会話にツッコミを入れる。問題児ルクレツィアが居ないとラトレイアがボケに回るから結局労力は変わらないな。というかこの爺いまなんて言った?
「講師って何のです?」
「そりゃ従者としての教育に決まっておるじゃろう」
「ラトたちは家事やお茶を入れるのは得意なのですけど。髪も服も魔法でちょちょいなのですから他に何を学べばいいのです?」
「甘いのぉ、従者といえば主人を支えるために…なんか色々やるんじゃよ」
「全く説明になっていないのです」
「まあとにかくお前たちもレベルアップするために修行頑張ってくるんじゃな」
「「え”、は!?」」
ニヤリと笑い他人事をいうゴルバチョフを最後に僕たちは光に包まれ飛ばされた。
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時系列にそってルクレツィアのサバイバル生活も混ぜようと思います
次回 従者の修行②
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