僕の彼女は、男子高校生

ぱるゆう

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夏休み

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玲香とは昼休み、屋上でお昼を食べている。

屋上には、他のカップルもたくさんいた。お互いに干渉しない暗黙のルールで、(んな好き勝手なことをしていた。

その間、優斗達の教室の机は、夏樹の取り巻きに占拠されているので、お互いにちょうど良かった。

ただ夏樹は、屋上にきたがっていたので、犠牲になってもらっている。


しかし、この幸せは長くは続かなかった。

ある日、玲香は暗い顔をして教室に現れた。

『玲香ちゃん、大丈夫?』と夏樹も心配した。

『ちょっと顔近づけて』と玲香。

優斗と夏樹は顔を見合わせて、玲香に近づいた。

『声出さないでね』

優斗達は頷いた。

『実はお父さんが早く出てこれることになったの』

『良かったじゃん』と夏樹が囁いた。優斗も頷く。

『お父さんがここには住みたくないって言ってるらしくて、田舎に引っ越すことになりそうなの』

『えっ』と優斗は大きな声が出そうになるのを両手で口を押さえて堪えた。

『高校卒業するまでは、私だけ残っていいって言ってるから、それまでは残るつもり。
この時期に転校なんて考えたくもないし』

『そりゃそうだね』と夏樹

『その後は、お金の援助は難しいから、こっちに残りたいなら、なんとかしなさいって。
私はこっちに残ってやりたいこともないし、卒業したら、お父さん達のところに行くつもり』

『そんなぁ、こっちでバイトしながら、やりたいこと探そうよ』

『私は、ゆうくんの夢の邪魔になるだけだから、いない方がいいって決めたの。
だから、悪いんだけど、別れてくれる?』

『そんな!卒業まではいいじゃん』と優斗は声を必死に抑えて言った。

『ううん。決めたことだから』

『友達としてはいいんでしょ』と夏樹

『友達として仲良くしてくれたら、嬉しいな』

『とりあえずお昼の時、もう一回話そう』

『分かったわ』

『え~私も行きたい』と夏樹

『夏樹はお仕事があるでしょ』と優斗

『じゃあ、放課後は?』

『バイトまでなら、いいわよ』

『絶対だよ』と夏樹は渋々納得した。


そして2人は屋上に行った。

『あ~食欲湧かない』

『しょうがないわね。あ~ん』

『あ~ん。くそっ!なんで美味しいんだよ』

『ゆうくん、怖い。フフフッ』

『もう、僕の身にもなってよ。夏休み、いっぱい楽しいことしようと思ったのに』

『ごめんね、私からお願いしてホテル行ったのに』

『こんなことなら、僕を忘れられなくなるまで、もっとしとけばよかった』

『何言ってるの?ゆうくんのこと忘れられる訳ないじゃない。私の初めての人だし』と顔をあからめた。

『え~、それなら一回で終わりは酷だよ』

『もう、私の中では、素敵な思い出になってるから』

『チューは?手を繋ぐのは?』

『そうねぇ、私のこと好きって100回言ったらいいわよ』

『玲香のこと好き、好き、好き·····』

『ストップ!冗談だから。もうしないわよ』

『玲香のイジワル!フフフッ、でも私は、玲香の体の弱いところは分かっている。そこを攻めれば』
と抱きついた。

『もう、怒るよ』

『だって離したくないよ。こんな幸せ』

『じゃあ、オチンチンを大っきくしないならいいわよ』

『それは無理。こうして隣りに座ってるだけで大っきくなるもん』

『もう変態過ぎ。距離開けるならね』

『嫌だ。せめて近くにいるのは許して』

『オチンチンは?』

『我慢します』

『はい、今から確認します』

『いや、今は無理』

『冗談でしょ。学校だよ』

『触ってみる?』

玲香は制服の上から触った。
『なんで別れ話してるのに、固くなってるのよ』

『それが男子高校生の七不思議』

『みんなを巻き込まないで。フフフッ』

優斗はじっと玲香を見た。

『何見てるの?』

『相変わらず笑うと可愛いなって』

『もう止めてよ。口説かないで』と耳を真っ赤にした。

『そりゃ美人がいれば口説くよ。はるちゃん以外は』

『春花ちゃんは、なんでダメなの?』

『子供の頃のトラウマが』

『もう、ゆうくん面白い』

『ねぇ、これからは玲香ちゃんって呼ぶね。僕のことは好きに呼んで』

『私は、ゆうくんがいいかな』

『これからも屋上で一緒にお昼食べよ。教室に席ないし』

『そうね。そうしよ』

『さぁ、昼休みは終わりだよ。教室行こ』と優斗は手を伸ばした。

『もう、私の話聞いてた?』と玲香はその手を掴む。

『友達としてだよ』

『じゃあ、手、離して』

『嫌だ。食後の膝枕は諦めるよ』と優斗は走り出した。

『もう引っ張らないで』と玲香も走り出す。

その手は午後の授業が始まるまで離れなかった。

ただ夏樹は不思議そうな顔をしていた。


放課後、夏樹には別れることになったと伝えた。

『それでなんで手を繋いでいるの?』

『友達としてだよ』

『優斗くんは、友達でも繋ぐの?』

『なっちゃんが、そういうこと言うんだ?じゃあ、なっちゃんとは手を繋がないからね』

夏樹は女の子になっている時に、手を繋いでいることを思い出した。

『あ~言われてみれば、繋いでるね』

『そうでしょ。だったら、いいじゃん』

『私はヤダって言ったんだけど』

『ふ~ん。嫌そうには見えないけどね~』

『そんなことないわよ。ゆうくんが無理矢理』

『そう、僕が無理矢理』

『まぁ、いいわ。私も繋いでいいってことでしょ』

『女の子の時はいいよ』

『今はダメなの?』

『今はダメっていうか、取り巻きに見られたら、めんどい』

『あ~もう!私だけ損してる』

『顔がよく生まれなかった僕は、誰にも恨まれないからね』

『ゆうくん、かっこいいのに』

『そんなこと言ってくれるのは、玲香ちゃんだけだよ、やっぱりやり直そう』

『そうね。私の分の夏休みの宿題、1日で終わらせたら、いいわよ』

『はい、諦めます』



そして夏休みになった。

玲香を何度も誘ったが、やはりダメだった。玲香はバイト漬けになるらしい。

優斗は急に暇になった夏休みを嘆いた。

『あぁ、デートもしたかったし、旅行もしたかった。高校最後の夏休み、どうすればいいんだぁ』と心のなかで叫んだ。
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