僕の彼女は、男子高校生

ぱるゆう

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初詣

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『気持ちいいよ。さゆりん。
 あっ、12時過ぎてる。
 あけましておめでとう、さゆりん』

『あぁぁ、いっちゃう。いく、いく』

 母は、体を震わせた。

『さゆりん、出ちゃう。今年初めて精子出すよ』

『奥に、奥に出して』

『あっ、出る』と肉棒を突き刺しながら射精した。

『うぅ~ん。奥に当たってる。精子出てる』

『さゆりん、改めて、明けましておめでとう』

『明けましておめでとう。しながら言わないでよ。今も少しずつ精子出てるから』

『精子止まらない。絞り出される』

『私のを変なふうに言わないで。そんなに強い?』

『比べるようで悪いんだけど、由紀は単純に狭いって感じなんだ。たしかに由紀も締め付けてくるけど。
 さゆりんとは全然違う』

『はぁ~、私は普通の人とできるのかしら?』

『僕が普通じゃないみたいに言わないでよ』

『前も言ったけど、前のお父さんでさえ、たまにダメだったのよ。 
 それをあなたは突き進んでくる。

 だから、更に酷くなってない?』

『酷くって、悪いことみたいに言わなくてもいいじゃん。僕は気持ちよくて好きだよ。

 たまに早く出ちゃうけど』

『やっぱりそうか』

『やっぱりって何が?』

『別に』

『気になるじゃん』

『ゆうくんには関係ないことよ』

『なんか冷たい』

『全部話す必要ないでしょ。ゆうくんは全部話してるの?』

 美紀のことを思い出した。
『分かったよ』

『あれ?妙に素直ね。誰のことを考えたの?』

『さゆりんが言わないなら、言わない』

『あっそ』

『じゃあ、もう一回ね』

『この話の流れでするの?』

『何か問題でも?もう固くなってきてるんですけど』

『あぁ、もう!僕の気持ちを考えてくれよ。オチンチン』

『何それ?私は素直なオチンチンが好きよ』

『さゆりんを僕だけ用に改造しちゃうからな』

『もうされてるよ』と呟いた。

『何?』

『ゆうくんのオチンチンも私じゃなきゃ、いけないようにしてあげる』

『えっ、もうなってるよ』と当たり前のように言った。

『何?由紀ちやんでも出してるんでしょ』

『気持ちいい感覚が違うんだよ。さゆりんは中だけで気持ちいいけど、由紀はおっぱいとかで、総合的に気持ちいい感じ。

 中だけだったら、さゆりんがダントツで気持ちをいい』

『私をオナホみたいに言わないで』

『オナホより気持ちいいよ』

『言い方がおかしい』

『中だけじゃなくて、さゆりんの顔と、この可愛いおっぱいと、この折れそうな細い腰があるから、更に気持ちいい』

『なんかよく分かんないけど、出してるんなら変わらないでしょ』

『出ないことはないけど、さゆりん以外は、物足りなさは感じる』

『はぁ、私達の行き着くところは、どこなのかしら?矛と盾?』

『さゆりんは最強の矛』

『はぁ?普通、矛って刺す方でしょ。だからオチンチンが矛』

『いやいや、さゆりんの攻撃を防ぎながら、突き進んでるんだから、僕が盾だよ』

『くだらない話は置いといて、もう寝ましょ』

『あれ?もう一回は?』

『もう眠い。そもそも紅組勝ったから満足してるし』

『えっ、さっきしたのは?』

『赤組の勝利祝いよ。おやすみなさい。今年もよろしく』

『おやすみ···なさい。今年もよろしく』

 母は寝息を立てた。

 優斗はゆっくり腰を動かした。

『あぁぁ』と母から声が出たので、止めたが、また寝息が聞こえたので、また動かした。

『気持ちいい。早くしたいけど我慢、我慢』

 優斗はゆっくりと母の中を感じた。

『うわっ、寝てても締め付けてくる。気持ちいい』

 優斗は我慢できずに、腰を早めてしまった。

『はぁぁぁ』と母から肥が盛れる。

『うっ、出る』と中に射精した。

 母の身体が小刻みに震える。

『はぁ、気持ち良かったぁ。これで寝れそうだ』と肉棒を差したまま、眠りについた。


 優斗は夢を見た。重いものに体を押しつぶされそうになる夢だった。

 遠くから声が聞こえてくる。

『よくも寝てる間にやったわね。お仕置きよ』

 優斗はうなされた。


 朝、優斗が起きると、眼の前に母の顔があったので、ビックリした。

 母は寝ていた。

『あれ?挿れたまま寝なかったっけ?』

 シーツを触ったが、精子が垂れた形跡はない。

『僕の勘違いかな、あぁ、なんか眠いし、オチンチンも敏感になってる』

 有とは時計を見た。

『もうこんな時間か。起きるか』

 優斗はシャワーを浴びた。風呂場から出ても母は寝ていた。

『さゆりん、よく寝てるな。さっ、雑煮作るか』

 優斗は料理を始めた。

 母が起きてきた。
『ゆうくん。明けましておめでとう』

『おめでとう。随分寝てたね』

『夜ふかししたから』

『夜ふかし?』

『あっ、夢の中の話よ。シャワー浴びてくる』

 母は風呂場に消えた。

『え~っと、次は』

 母の言葉は疑問だったが、火をつけていたので、料理に集中した。

『さゆりん、餅いくつ持ち食べるかな?とりあえず、雑煮で一個、磯辺焼きで一個で、焼いとくか』

 母が出てきた。
『う~ん。いい匂い』

『もうすぐできるよ。さゆりんお酒飲む?』

『そうねぇ、確か日本酒が』と店を探した。

『あっ、あった。まだ大丈夫そうね』

『いつ買ったの?』

『お店の人にもらったの』

『ふ~ん』

『はい、できたよ』

『ありがとう』

『煮物も作ったよ』

『ゆうくん。最高』

『いただきます』

『美味しいよ。ゆうくん』

『良かった』

『今日、初詣行くんでしょ。何時頃行こうか?』

『急ぐ必要ないし、ゆっくり行こうよ』

『あっ』と母は立ち上がり、台所に行って、戻って来た。

『はい、お年玉』

『いらないよ。バイトしてるし』

『クリスマスプレゼントだってなかったでしょ。儀式よ』

『じゃあこれで電動マッサージ機を』

『買ってくれたじゃん』

『こけしみたいな形で、肩や腰や色んなところをブルブルできるヤツ』

『なんか言い方がやらしいから、却下』

『僕が買うんだから、いいじゃん』

『そういうものを家に持ち込まないで下さい』

『分かったよ。止めればいいんでしょ』

『じゃあ、1日肩もみ券』

『それならいいわって。趣旨変わってない?』

『じゃあ、これを賽銭箱に入れて、さゆりんに、いい相手が見つかるように神様に頼む』

『あのねぇ、ゆうくん、神様は金額じゃないのよ。
 それとも、そんなに出さないと、私には相手が見つからないってこと?』

『いや、そういう意味じゃないよ』

『もう、あげたものだから、好きに使いなさい』

『さゆりん、怒らないで』とテーブルの上の手を握った。

『怒ってないわよ』と手を引っ込める。内心、優斗が初めて、自分以外の私の相手について話したので、焦っていた。
『何かバレるような事を言ったかしら。神頼みってくらいだから、まだはっきりと分かっている感じではないかな』

『さゆりん、どうしたの?』

『えっ?あぁ、何着てこうかなって』

『寒いかもしれないなら、厚着していった方がいいかもね。混んでるかもしれないし』

『ボトルにこのお酒入れてこうかしら?』

『アル中じゃないんだから』

『ゆうくんのズボンの中に手を入れて握っとけば、あったかい』

『カイロにしないで下さい』

『しょうがないなぁ、手袋してくか』

『始めからそうすればいいじゃん』

『手を繋げなくなるから』

『ズボンに手を入れた時点で無理ですが。僕のコートの中に手を入れればいいだろ』

『その手があったかい。きっとあったかいね』

『うまくないから』

『じゃあ片付けようかな』

『僕がやるよ』

『ゆうくんは作ったんだから、私が片付けるわよ』

『暇だと、さゆりんの体を触りたくなる』

『一回一万円』

『お年玉が一瞬で消える額』

『もっとお年玉あげようか?』

『その顔は、あげても、全部回収するつもりだ』

『何よ。人聞きの悪い。触らなければ、いい話でしょ』

『僕がそれで、いい訳ないでしょ』

『そんなこと分かってるわよ。だから、言ってるんじゃないの』

『触りまくって、借金の形に僕の体を差し出します』

『う~ん、そこまでして欲しくないかな』

『息子の体の存在意義を否定された』

『だって何もしなくても大っきくしてくるんだもん』

『すいません。否定できません』

『希少価値が欲しいところね。今は、気づくと庭に生えてるみたいな感じじゃない』

『雑草にされた。
 確かにさゆりんといると、大っきくしてる確率は高い』

『サボテンの花みたいに』

『おじいちゃんが奇跡的に勃起してるんじゃないんだから』

『せめて何にもエロ要素ないのに、勃起するのは止めてよ』

『何でもない時に、触ろうとするのは、さゆりんでしょ』 

『大っきくなってないと、私に魅力がないみたいじゃない。今は?』

 と優斗の股間に触る。
『ほら、こんな会話だけでも大っきくなってる』

『1月ついたちって、つい勃っちゃう日じゃないの?』

『うまくないから』

『さゆりんの乳首も、つい立ってないの?』

『立ってません』

『確認する』

『止めてよ。もう。次は、挿れたいって言うんでしょ』

『流石、さゆりん。話が早い』

『おみくじ引いて、中吉以上が出たら、いいわよ』

『吉だったら?』

『どっちが上なの?』

『知らない』

『分かった。吉はOK。小吉、末吉はダメ。もちろん凶は問題外』

『よし、なんとなく得した気になったから、行けそうな気がする』

『はいはい、準備して行くわよ』

 優斗達は神社に来た。

『やっぱり混んでるね』

『急がないなら、ゆっくり並びましょ』

『さゆりん、そろそろポケットから手を出さない?』

『なんでよ』

『誰がいるか分からないし』

『大丈夫よ。私がポケットの中でオチンチン触ってるなんて分からないわ』

『いや、分かるとか分からないじゃなくて、僕が限界なんだけど』

『出していいわよ』

『いい訳ないでしょ。結局大っきくしてるのは、さゆりんじゃん』

『あっ、フランクフルト買おうかしら。あれを噛じれば、少しはおさまるんじゃない?』

『その前に触るの止めて』

『あっそうね』と母はポケットから手を出した。

『じゃあ、フランクフルトを』

『さゆりん、良からぬことを考えてるでしょ』

『なんのこと?』

『人がいるから、止めて』

『はい。止めます』

『あれ?由紀?』

『前の方に並んてるの由紀じゃない?』

『どこ?』

『あの七五三みたいな』

『あっ、そうね。七五三はひどくない?』

『着物に着られてるから』

『まぁ、確かに。でも可愛い」

『さゆりん、離れててよね』

『えぇいいじゃん。見つかってないし』

『あっ見つかった』由紀は、はっとした顔をしたが、顔を背けた。

『けど無視された』

『何かあったの?』

『全く心当たりがないけど、頭きた。こっちも無視しよう』

『子供ね』

『子供ですぅ』

『ほら、綿菓子買ってあげるから、機嫌直しなさい』

『綿菓子なんか持ってたら、後で何言われるか分かんないよ』

『それじゃ、フランクフルト?』

『フランクフルトは、一回頭から消そう』

『ダメなの?だったらチョコバナナ?』

『それも消そう』

『とうもろこし?大き過ぎて入らないけど』

『周りだけ食べて下さい。やっぱりここはたこ焼きでしょ』

『いやらしくできない』

『その基準を忘れて下さい』

『じゃあ買ってくる』

 母はたこ焼きの屋台に行った。

 そして、そのまま由紀達のところに行った。

 何か話して、戻って来た。

『たこ焼きあげたら、フランクフルトもらった』

『なぜ?』

『はい、優斗はたこ焼き食べなさい』

 母は、ガブリと噛み切った。

『なんだ普通に食べるんだ』

『当たり前じゃない。何考えてたの?
 』

『いや、別に。たこ焼き、うまい』

 そうこうしてるうちに、優斗達の番が来た。

 優斗は受験のことと、母の健康をお願いした。

 その後、社務所に行った。すると、由紀達がいた。

 由紀と玲香は、おみくじで盛り上がっていた。

 優斗は合格祈願のお守りを買い、おみくじの所に行った。

『ゆうくん、明けましておめでとう』

『玲香ちゃん、明けましておめでとう』

『由紀もおめでとう』

『あら?私はついで?』

『僕もおみくじするから』とクジを引いて、巫女さんに渡した。

 巫女さんから紙を渡された。

『嘘でしょ』

『えっ、何?』とっさに隠す。

『由紀と玲香ちゃんは?』

『大吉』と由紀。『私も大吉』と玲香。

『私達も言ったんだから、見せなさいよ』

『はい』と紙を渡した。

『マジ?笑えない』

『ゆうくん、大丈夫だよ。今が最悪で、明日から良くなってくよ』

『とうだったの。優斗、おみくじ』

 優斗は由紀から紙を奪った。

『母さん、もう一回引いてもいい?』

『いいから見せなさい』有とは紙を渡した。

『嘘でしょ。こんなの引く?逆に奇跡じゃない?』

『はぁぁぁ、僕って本当にダメだなぁ』

『朝の話は忘れてあげるから、元気だしなさい』

『ホントに?やった、ラッキー』

 由紀達と別れ、家に帰った。



 そして、優斗達は次の日も神社にやって来た。

 混雑は昨日よりかは解消されていたが、それでも混雑していた。

『あれ?なっちゃん自毛?』と優斗

『そうだよ。もうほとんど学校行かなくていいし。伸ばしてるの』と夏樹

『黒髪のはるちゃん見てるようで新鮮』と由紀。

『私もそろそろ伸ばそうかしら』と春花

『お姉ちゃんも、黒髪にしなよ』と夏樹

『黒髪で子供連れてたら、おばさんっぽくない?』と春花

『よく分からないけど、はるちゃんに限っては、おばさんという言葉は間違いなく出てこない』と優斗

『夏樹をもう少し見てから考えるわ』と春花

 並んでる最中、アキノは代わる代わる抱き手が代わった。

 それでもアキノは笑っていた。

『笑うと、なっちゃんに似てるかも』と優斗

『そう?私には、はるちゃんに見えるけど』と由紀

『お姉ちゃんは、私に似てるって』と夏樹

『私はそう思ってるわよ』と春花

『どっちに似ても美少女なんだから、私は羨ましいな』

『いやいや、玲香ちゃんも美少女だって』と優斗

『そんなこと言ってくれるの。ゆうくんだけだよ。ゆうくん。ありがと』と上目遣いで言った。

『うぅっ、可愛い』

『由紀ちゃん、これでいい?』

『いい線いってるわよ』

『もう止めようよ。玲香ちゃん』

『うん。ゆうくん。大好きだよ』

『うぅ。たまらん』

『まさか、ユウ。大っきくなってないわよね?こんな大勢いる中で』

 由紀は優斗を触ろうと手を伸ばす。
 それを避けて
『由紀、後で話があるんだ』

『別に私はないわよ』

『いいや、僕にはある』

『優斗くん、大丈夫?』と夏樹は上目遣いで言った。

『うぅ、可愛い』

『由紀ちゃん、面白いね。これ』

『玲香ちゃんが、引っ越し先でいい人を見つける方法を教えてるの。
 ユウは単純だから、いい練習台になるのよ』

『由紀さん。本当に後で話し合おうね』

『面倒くさいから嫌よ』

『ゆうくん。ありがと。私も自信が持てたわ』

『玲香ちゃんなら、誰でも秒殺できるよ』

『ユウは一秒もいらないけど』

『夏樹もやめなさい。変な病気が移るわ』

『はるちゃん、なんてことを。僕には味方はいないの?』

 由紀の腕の中でアキノが優斗に手を伸ばす。

『アキノちゃんだけだよ。僕のことを助けてくれるのは』

『あぁ。とうとう乳児にまで』と由紀

『そうね。あぁはなりたくないわね』と春花

『神様、助けて』と手を合わせた。

『ゆうくん。私は味方だから。フフフッ』

『玲香ちゃん、笑っちゃてるじゃん』

『優斗くん、私は本当に、ぷぅ、ふっふっふっ』

『なっちゃっん、言えてないし』

『ユウ、みんなに愛されてるわね』

『本当に誰か優しくして』

 そうこうしているうちに、順番が来た。

 まず、春花、夏樹、アキノが参拝した。 
 次に、優斗、由紀、玲香が参拝した。

『また、おみくじ引こう』と由紀

『もういい。昨日で心が折れた』と優斗

『じゃあ、ユウ抜きで』

 みんなで引いたら、全員大吉だった。

『ユウ、逆に当たりなんじゃない。凶って』と由紀

『えっ、優斗くん、凶引いたの?』と夏樹

『はい、昨日、凶でした』

『うまくないから』と由紀

『また引いたら、大丈夫だよ』と玲香

『また凶だったら、立ち直れない』と優斗

『こんなヘタレ置いてきましょう』

『由紀さん、彼氏にはもう少し優しくしてもいいのでは?』

『後でしようね』と由紀が囁いた。

 優斗は元気になった。

 その後、みんなで喫茶店に入り、楽しく過ごした。

 そして駅で解散した。

『由紀さん、さっきの約束』

『分かってるわよ。ホテル行きましょ』

『やった!今年初!』

『ユウ、ごめんね。玲香ちゃんいるから、あんまりベタベタするのもどうかと思って』

『あっ、そうだったの?全然分からなかった。というか違和感なかった』

『えっ、一生懸命演じたのに』

『そっ、そうなんだ。良くできてたよ』

『でしょう。でも玲香ちゃん、ホントに、ユウに未練ないみたいね』

『あぁ、学校でふざけて何度も告白したけど、全然ダメだった』

『何やってるのよ。ホントに』

『ホントに冗談だから。由紀のことしか愛してないから』

『まぁ、私はいいわよ。1回や2回くらいなら』

『また、そういこと言う。大丈夫だよ。玲香ちゃんにその気はないから』

『そうみたいね』

 2人は、ホテルの部屋に入った。

『さぁ、早く。ユウ』

『うん。由紀』

 2人はベッドに横になった。

『今年も来年も再来年もよろしくね。由紀』

『うん。ずっと一緒だよ』

 2人は舌を絡め、時間の許す限り、抱き合った。


 そして冬休みも終わり、優斗達は、入学試験の日を迎えた。

 それなりに緊張したが、結果的に2人とも無事に合格した。

何より2人ともホッとした。
家族も
『どっちか片方だけ合格なんてことにならないで良かった』と安心した。

優斗は高校卒業までの時間を使い、教習所に通って、車の免許を取得した。

そして卒業式が終わった。

夏樹は、もう制服を着なくて済むことをとても喜んでいた。

一方、玲香は、とうとう来るべき時が来たと、悲しげな顔をした。

『ゆうくん。ひとつお願いしていい?』

『何?』

『ネクタイくれる?』

『はい、どうぞ』

『ありがとう』

2人は夏樹を見た。
『なっちゃんからは何も貰えそうにないね』

夏樹は取り巻きに身ぐるみ剥がされていた。

取り巻きは、夏期から一式取り上げた戦利品を袋に入れた。

『あれ、どうするんだろう?』

『ジャンケン大会?』

『忘年会みたいだね』


夏樹は、やっと取り巻きから解放された。

『なっちゃん、この後、どうする?』

『どこか行こうよ』

『なっちゃんは着替えて来るでしょ』

『流石にこのままは無理。早く制服から解放されたい」

3人はファミレスに入り、時間の許す限り、楽しく過ごした。

その後で夏樹は女性用の服をプレゼントした。

玲香が引っ越しする日が近付いてきた。

喫茶店の閉店後に、春花や夏樹、小百合も集まり、盛大にお別れ会が開かれた。

みな涙を拭き、笑顔を作って、最後に写真を撮った。

そして引っ越しの日、玲香は店に残らなければならないマスターと美紀、小百合を除いて、みなに見送られた。

『みんな、ありがとう。私ばっかりもらってばかりで、ごめんなさい。でも、かならず恩返しするから、楽しみにしててよ』

『あぁ、離れていても、友達だからね』

『由紀ちゃん達の結婚式には必ず出るからね』

『うん。分かった』

『なっちゃん、学校では色々とありがとう。服もたくさんもらっちゃったし』

『服なんか同じくらい買ったから大丈夫だよ』

『はるちゃんとアキノちゃんとお幸せに』

『玲香ちゃんもいい人見つけてね』

『うん。じゃあ、行くね。みんな、ありがとう』

『玲香ちゃん、元気でね』

玲香は去って行った。

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