僕の彼女は、男子高校生

ぱるゆう

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由紀 1

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30代半ばに差し掛かった頃、ある日、居酒屋のカウンター席で、由紀から妊娠したと告げられた。もちろん、僕の子ではない。

「えっ?結婚は?」

由紀はお腹を触りながら
「この子のパパは彼で、ママは私。それだけはっきりしてれば、他に必要なことなんてあるの?」

ダメだ。このモードの由紀は、何を言っても無駄だが、

「でも」

「じゃあ、あなたは、どうなのよ。結婚して良かったって言えるの?」

僕は絶句した。とてもじゃないが、言えるわけがない。相手を見誤っただけなのだが、確かに、結婚してなかったら、茜も僕も今より幸せを感じていたかもしれない。

「それを言われると。僕のせいってこと?」

「はぁ?なんで、あなたなんかに、私の人生を左右されなくちゃならないのよ」

「おっしゃる通りです」早々に白旗を上げる。

「でも、歩美が産まれたから」

「それだったら、今の私と何が違うのよ」

「おっしゃる通りです」
由紀に勝てることは一生なさそうだと改めて思う。

「マスター、喜んでるでしょ」

「まだ半年も先なのに、もう産まれた気でいるわよ」

「そうだろうね」


由紀とは、お互いに店が終わった後、数ヶ月に一回程度、飲みに行っている。今日は、由紀は烏龍茶だ。

「今日も彼に、元カレと会うなと言われたから、元カレじゃない、幼馴染と会いに行くの。気持ち悪いこと言わないでって言ったのよ」

気持ち悪いって・・・、それを世間では逆ギレと言うのでは?


「あっ、そうそう。夏ちゃん、原宿に店出したんだって」

「えっ!嘘!」

「凄い順調みたいでさ。やっぱり夏ちゃん目当ての小中高生が来るんだって」

「そうだろうね。あの中性加減は反則よ。女性だけの中でもトップクラスに入れちゃうんだから」

「そうだね。それで、女の子ばっかりかと言うと、違うらしいんだ」

「夏ちゃんのこと恋愛対象としてるってこと?」

「まぁ、そういう人もいるだろうけど。小中高生の男の子が、店前でモジモジしてるから、声を掛けるんだって。あぁ、後でまた話すけど、アキノちゃんがバイトしてるから、アキノちゃん目当てかなって」

「そうなんだ」

「でも、なんとか話を聞き出すと、夏ちゃんみたいに可愛い服が着たいって言うんだって」

「へぇ~、それは、夏ちゃん、喜ぶでしょ」

「うん、買わなくてもいいからって、店の中に入れて、試着させてあげるんだって。写真も撮ってあげたりして」

「流石に買うのは躊躇しちゃうよね。親に見つかったらって思うと」

「まぁ、子供にしてみれば安くないからね。もし、一生懸命貯金して買って、親に捨てられたら家出するだろうね」

「間違いないわね。大喧嘩よ」

「夏ちゃんは、生活するのは、春ちゃんがいて困らないから、赤字にならないギリギリまで下げたいんだけど、春ちゃんが許してくれないんだって。それで喧嘩するって言ってた」

「確かに店やってると、価格って安くすればいいってもんじゃないわよね。先ずは続けていくことが大切。春ちゃんは、店が閉店になったら、夏ちゃんが悲しむから、厳しいこと言ってるんじゃないかな?」

「僕もそう思うよ。本人にもそう言ったんだけど、別に前の通販に戻るだけだよって。夏ちゃんは、みんなに可愛い服を着てもらいたいとしか考えてない」

「難しいところね。それで、アキノちゃんは?相変わらず美少女まっしぐら?」

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