遊ばれる男

ぱるゆう

文字の大きさ
3 / 43

密会

しおりを挟む
学校から帰っていると、スマホに知らない番号から電話があった。

僕は怪しがりながら通話のボタンを押し、聞こえた声にすぐに笑顔になった。

「先生!」

「先生は止めて、本当に悪いことしてる気になるから」

「分かりました。スミレさん、連絡してくれて、とても嬉しいです!」

「しつこいようだけど、私でいいの?」

「スミレさんだから、僕は嬉しいんです」

「分かったわ。次の土曜日か日曜日なら大丈夫よ」

「ちょっと待ってください」

僕はバイトのシフト表を見た。
「土曜日の昼過ぎなら、大丈夫です」

「うん、分かった。1時に〇〇駅まで来れる?」

「はい、分かりました。改札の前でいいですか?」

「それでいいわ。じゃあ、土曜日に」

「はい、楽しみにしてます」

電話を切った。
やった!スミレさんにまた会える!




そして、土曜日になった。開店前の準備、そして接客をして、午後のバイトと交代した。

僕は、自転車を飛ばし、電車に乗った。

明菜とデートを重ねていて、バイト代もあるので、ちょっと前の自分では考えられないような服装になっていた。

かなり早く着いてしまったが、改札前で待った。スミレさんのことを考えると苦ではなかった。

僕は見逃さないように、改札を出てくる人をキョロキョロ見ていた。

しかし、後ろから声をかけられた。
「待たせちゃった?」

僕は聞き覚えのある声にビックリして振り向いた。

「うわぁ!」

「何よ、変な声出して」

「スミレさんですよね?」

「何言ってるの?」

「凄い綺麗。白衣の時も綺麗だと思ったけど、また違う綺麗さだ」

「もう!いきなりそれ?それに目の前を歩いてきたのに、全然視線が合わないし」

「全然分かんなかった」

「まぁ、白衣の時はほとんど化粧できないから。そんなに違う?」

「いや、美人は美人なんですよ。それもとびっきりの。でも、雰囲気が全然違うんですよ。キリッとした白衣の時と、今の、なんて言ったらいいのか?妖精みたいな優しい雰囲気が」

「妖精?」スミレは赤くなった。でも、目の前の高校生の目には、からかっている雰囲気は微塵も感じられない。

「はぁ、重症ね。ホントに」

「えっ!僕なんか変なこと言いました?」

「もういい!早く行くわよ」

スミレは先に歩き出した。僕は走って横に並んだ。
「手をつないでもいいですか?」

「えっ!」本当に調子が狂う。こっちは少なからず罪悪感を感じている。もちろん旦那にではなくて、高校生とこれからしようとしていることに対して。

「いいわよ」と掌を出した。

「やった!」と小さく言って、自分の掌を合わせた。

こんな手を繋いで歩いたのなんて、いつ以来だろうか?

「お腹すいてない?」

「実は、バイト上がりなので、空いてます。すいません、待ってる間に食べておけば良かったんですけど、スミレさんが来ると思ったら、そんなことすっかり忘れてて」申し訳無さそうに言った。

「行く前に、どこかで食べてく?」

「そんな、時間がもったいないです。早く行きたい」

「急がなくても、私はいなくならないから」

「それは分かってるんですけど。やっぱり早く行きたいです」

「わかったわ。コンビニでいい?」

「あっ、はい!その方が良いです」満面の笑顔になった。

やだ、そんな顔しないで。濡れてきちゃうじゃない。

きっと姙娠した相手も、彼女と言っている相手も、この純粋さに、言葉は悪いけど、付け入っているのかしら?

この笑顔を快楽に溺れさせたい、歪ませたい。そう考えると、股間が熱くなってくる。

途中でコンビニに寄った。
「好きなもの買いなさい」

「これくらい自分で払えます」

「いいから。私はちゃんと働いてるのよ」

「分かりました。ありがとうございます」

買い物を終え、外に出ると、
「そこよ」

「えっ!こんな高そうなところ、僕払えない」

「フフフッ、そんなに高くないわよ。それに、さっきも言ったけど」 
 
「僕が無理に誘ったんだから、僕が払います」

「いつ無理に誘ったのよ。私は自分の意志で来たの。いやいや来たんじゃない。そんなこと言うなら、帰るわよ」

「えっ、そんな、嫌です。絶対に嫌です」

「だったら、素直に私の言うことを聞いていなさい」

「・・・分かりました」

全く、変なところで頑固なのね。それに自分で払うって、フフフッ、本当は、私がお小遣いあげなきゃならないのに。
まぁ、それだけ本気なのか・・・

えっ・・・この子は本気になってるの?そんな訳はない。今の2人に対して、この子は変な考えもなく、それぞれ本気なのだろう。

そして、私?いやいや、そんなことできるわけがない。3人を本気で愛するなんて。

「スミレさん?」

「あっ、何でもないわ。早く行きましょう」

「はい!」

「あっ!手は止めていいかしら?それと、ホテルに入ったら、先にエレベーターの前で待っててくれる?」

「どうしてですか?」

「妊娠した方の女性に言われたことない?あなたと関係を持っていることは、世間的には犯罪だって」

「言われました。でも、僕は」

「いい?あなたがどう思ってるかじゃないの。周りがどう思うのかが大切なのよ。下手したらすぐに通報されるわよ」

「分かりました。スミレさんと一緒にいれなくなるくらいなら、そうします」

はぁ、堪らない。また濡れてきちゃう。

「じゃあ、エレベーターの前で」

僕達は自動ドアを過ぎると、別々の方向に歩いて行った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ヘンタイ好きシリーズ・女子高校生ミコ

hosimure
恋愛
わたしには友達にも親にも言えない秘密があります…。 それは彼氏のこと。 3年前から付き合っている彼氏は実は、ヘンタイなんです!

処理中です...