遊ばれる男

ぱるゆう

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本来の目的は?

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僕と美杉は、ホッとした顔になった。何気なくお互いを見つめ、頷きあった。今だけは協力関係だ。 

「スミレも日帰りなのか?」  

「この子、結婚してるのよ。子供もいるのに、初めは泊まるとか言ってて。そんなのバレるに決まってるじゃない。あなたが離婚しても、私は旦那の方がいいから絶対に離婚しないって言ったの」

旦那は満足げな笑みを浮かべた。

「あなたは?」

「同じだよ。日帰り。シオリとの休みが合わなくて」 

「ふ~ん、そんな理由なんだ」

「いや、あぁ、シオリには離婚とか、結婚とか言ったら別れると言ってある」

「あら?そうなの」スミレは棒読みのように言った。

「勘弁してくれ。僕は絶対にスミレと離婚しないからな。彼の方が身体はいいかもしれないけど、僕は僕なりに」

「分かってる。もう何年続いてると思ってるの。身体だけで選ぶなら、とっくにあなたと別れてるわよ」

「そっ、そうだよな」旦那はホッとしている。

「ふ~ん、凄いんだ、君は」美杉はニヤリとした。 

「どっ、どうなんですかね」

「凄いわよ。止めてって言わないと何回もしようとするの」どういうつもりなのか分からないが、スミレは言った。 

「何回もって、どれくらいですか?」
美杉が興味が湧いたようだ。

「そうねぇ、3回は当たり前ね。この子が欲情してると5回とか。本当に凄い時は、抜かすに固いまま3回連続でしてくるの。こっちは代わる代わる何人もの男に犯されてる気分になるわよ」

「うそ!そんなに?スミレさんで?」

「ちょっと」スミレは前に体を出そうとした。

「僕だって、若い頃は、それくらい」
旦那が張り合ってきた。

スミレも状況を把握できたようだ。
「あぁ、そうね。それくらいしたわね」 

しかし、
「さっきの話、泊まりでってわけじゃないんですよね?」
美杉が畳み掛け、それに釣られてしまう。
「そうなの。2時間や3時間で」

「それは私も経験ないかも」

「そんなこと、どうでもいいじゃないですか!」僕はスミレさんの腕を叩いた。旦那がまた爆発しそうだ。

「あぁ、でもこの子はがっついてくるから、私は嫌だから、そんなにさせないわよ。それくらいできるかなぁってこと。落ち着いてできるあなたの方がいいわ」

「そうね、私もその方が好きだよ。タカシ」美杉までフォローに入る。

「すいません。次いつ会えるか分からないから、そうなってしまうこともあります。でも奥さんはそんなこと望んでないので拒否されます」

「そうか」とひと言だけ言った。

ふぅ~とみんな息をこっそりと吐く。

しかし、
「見てみたい」とボソッと言った。

「はぁ?あなた、何言ってるのよ」
僕達も慌てたが、一番はスミレだ。

「スミレに何をすれば今以上に喜んでくれるのか、僕は知りたい」

「そんな、10以上も離れてるのよ。同じことができるわけないじゃない」

「そんなこともしてるのか?」

「まぁ、それは、自分だけ気持ちよくなるわけにもいかないし、彼のしたいことも受け入れてあげないと。でも常識の範囲よ。変態みたいなことはしてないわ」

「それなら、僕にもできるかもしれない」

「あなた、無理して体壊して、仕事どうするのよ。患者さん達は、あなたを頼りにしてるのよ。妻と激しくやってたら、体壊して、だから待っててくださいって言うつもりなの?」

「そういうことを言ってるんじゃ」

「私は、どうなるかを言ってるの。どうしたいかじゃなくて」

「怒るなよ。分かったから。前言は撤回する」

「もう!ビックリさせないでよ。ビール頂戴」

僕は保冷バッグにしまった方を出した。うん、冷えている。フタを開けて渡した。
「はい」

「ホントに、もう!」スミレは、ぐいっと飲む。

僕は出しっぱなしになっていた方をしまおうと思ったが、バッグの中にある方を旦那と美杉に渡した。

「ありがとう」

「うっ、悪いな」

最後の一本を出して、脇に置き、前に出した2本の缶をしまった。

そして、窓の下にある台を持ち上げて固定した。

「慣れてるね」

「色々調べてきました」

スミレは席の脇に置いた摘みをその上に出した。

「こんなに買ったのか?」

「なんか選べなくて」

「全然旅行もしてなかったな。休みを合わせて、お母さんも連れて行こうな」
 
「はい、あなた」

僕も明菜達と行こうかなと思った。

しばらく過ぎて、僕はトイレに立った。戻ってくると、案の定、席は旦那にとられていた。

仕方なく美杉の隣に座る。
「酷いと思わない?私がいるのに」と言ってきた。 

「はい、同意します。なんか2人の旅行をお膳立てしたみたいになっちゃいましたね」

「ホントよ、もう!」

しかし、見た目は、もちろん僕の顔のことは忘れて欲しいが、年齢的には、この方が自然だ。

「一つだけお聞きしてもいいですか?」

「いいわよ」 

「妊娠は本当だったんですか?」

「何も聞いてないの?」

「はい」

「あの後、タカシにも問い詰められたんだけど、あれって君が指示したんじゃないんだ」

「可能性の話はしましたよ。そうかもしれないって」

「じゃあ、私と会った時には嘘だって思ってたんだ」

「してない可能性があると思ってただけです。嘘だと決めつけていたわけじゃないです」 
 
「何が違うの?」

「最近は詐欺の仕事も多いんです。
あなたは一億円に当選しました。おめでとうございます。つきましては、あなたにお支払いしたいのですが、現金で直接は、最近、強盗も多いので、心配です。だからあなたの口座に振り込みます。つきましては振込手数料が必要となります。一億円ですから、手数料は50万円となりまして、先に、指定の口座へお振込みいただけませんか?こちらがないと、一億円が振り込めません。
どうですか?」

「一億円がもらえるなら、50万くらいしょうがないんじゃない」

「美杉さん、絶対にダメですよ。知らない人の言葉、特に、あなただけ、とか、特別に、とか言う人は絶対に信用したら、ダメです。もし迷ったら、僕に電話してください。友達、いや、知り合いの弁護士に確認するって言ってください。100%逃げます。まぁ、稀に脅しだと思う人もいるので、本当に電話してください。親が警察官なんでって言ってもいいです」

「う~ん、でも、よく声かけられるのよね」

「今すぐ、とか、これを逃すと二度とこの幸運には、とか、その場で決断を迫るようなら、間違いなく詐欺です。連絡先も教えてはダメです。電話番号を教えると、相手のグループの人から、代わる代わる電話が来ます。芸能事務所とか、カメラマンだとか、お笑い芸人だと自称する者からてす。
好きな芸能人いるって聞かれて、そいつなら、友達だから、会わせてあげるよと必ず言ってきます。
もし聞かれたら、テキトーな外国人の名前を言うんです。中には、今日本に来てるよ、とか言ってきます。そういう時は、あれ?昨日、イギリスでコンサートやったはずだけど、とか言ってください」

「ちょっと待って。一人で楽しまないでよ。フフフッ。この前も思ったけど、面白いね。君」

「とにかく、こっちから連絡すると言い張ってくださいね。分かりましたか?」

「分かったわよ」

「今、美杉さんが言った通り、冷静に聞くと、バカバカしい話なんです。だけど、みんな騙されてしまう。自分にそんな電話や話があると思ってないからなんです。だから、本当にあった時に、頭にあったはずの話と一致させることができない。これが詐欺が無くならない理由です。あっ、話が逸れちゃいましたね。それで?」

「してないわよ。妊娠」

「やっぱりそうでしたか」

「だってホントに離婚して欲しかったんだもん。そして私と結婚して、本当に子供作って」

「旦那さんへの思いは本当だったんですね」

「そうよ。何?それも疑ってたの?あんなに優しくしてくれたのに」

「違います、違います。あの時は、そう思ってました。ただ長くは続かないかもしれないと思ってただけてす」

「長くはって、どうして?」

「結婚している旦那さんのことが好きなのかもしれないと思ってたからです」

「もしタカシが結婚してなかったら、すぐに結婚したよ」

「そうなんですね。僕の見込み違いでした」

「なんかよく分かんないけど、酷いよ。もう!」

「だから、素直に間違いを認めたじゃないですか!」

「それでも酷いよ!」




そんな白石と美杉のやり取りをスミレ夫婦は見ていた。

「なんか彼、憎めないね」

「そう?けっこう大変よ。ワガママで」

「そうなの?」

「妊娠したとき、しばらく会えないって言ったら、嫌だ、嫌だ、ばっかり」

「そっか、まだ子供なのか」

「あんなエラソーに話してても、中身は駄々っ子よ。あなたもね」

「それは否定できないな。スミレが魅力的だから、みんな離れたくないんだよ」

「もう、あなたったら」

旦那は顔を近づける。
「ダメよ。今日は相手が違うでしょ」

「本当は抵抗したいけど、それも許されないんだよね」

「そうね。スパッと全部止める?」

「今は彼女だけだよ」

「私はずっとあの子だけ」

「えっ!そうなの?」

「そうよ。やっぱり面倒くさいじゃない変なのがいたら」

「それはそうだけど」

「まぁ、あの子以上の相手は無理そうだったし」

「そんなに凄いの?」

「その話はしないわよ」

「分かった」

「私は数ヶ月に一回ってところね」

「続けたいの?」

「分かんない。いつも決めてるわけじゃないんだ。次会う予定とか」

「えっ?どうしてるの?」

「私が会いたくなったたら、連絡してる」

「彼はそれを待ってるんだ」

「そうね。飽きもせずに電話すると大喜びよ」

「そうなんだ」

「あの子にも家庭があるし、子供もいる。それをちゃんとした上で、私と会う。まぁ、オマケみたいなものよ」

「彼はそう思ってないんだろ?」

「そう思い込みたいだけ。私がいるから、自分の人生は辛くないって」 

「そんなに大変なのかい?」

「ある意味、羨まし過ぎる環境で、ある意味、奴隷みたいな環境かな」

「奴隷なのに、羨ましい?」

「これ以上は守秘義務よ。ただ普通の人間の精神なら耐えられないと思うわ」

「ふ~ん」

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