遊ばれる男

ぱるゆう

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美杉シオリ

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「少し酔っ払ったかも、寝ていい?」

「うん、いいよ」
 スミレはシートを倒した。旦那はシャツを脱いでスミレに掛け、自分もシートの位置を合わせた。

「タカシ、一人にしないでよ」

「純太くんだっけ?少しだけシオリの相手をお願いするよ」

「はい、分かりました」と棒読みした。

「何、分かってんのよ」

「僕はスミレさんと契約書を交わしてないんです。いつ会えなくなってもおかしくないんです」

「そっか、ごめんなさい」 

「いえ、気にしないでください。また飲みますか?」

「そうね」また保冷バックから取り出した。

「うん、冷えてる。ありがと」

 2人で乾杯した。
「なんでこんなことになってるんですかね?」

「ホントよね」

「本当にごめんなさい」

「何よ、いきなり」

「正直に言うと、美杉さん・・・、シオリさんのこと、男を誑かす悪女だと思ってました」

「どういうこと?」

「さっきも少し言ったんですけど、スミレさん達を別れさせて、旦那さんを奪ったら、旦那さんに興味をなくして、ポイッとするような人だと思ってました」

「フフフッ、そこまで思ってたんだ。ドラマの見過ぎよ」

「いえ、実際にいるんですよ。そういう人。仕事で何人か会いました」

「そうなの?」

「はい。離婚裁判までさせて。次は結婚すると思ったら、他の男のところに行くんです」

「こっわ」

「本当にごめんなさい」

「どうして、そう思ったのよ」

「えっ!一番の理由は、シオリさんが美人すぎること。そして、当日した質問、覚えてますか?」

「なんだっけ?」

「美人と言われて、どう思うか?」

「あぁ、あったわね。確か、意味ないこと言わないで、だったかな?」
 
「なんの関係があるの?と言ってました」

「まぁ、似たようなものね」

「僕が受けた印象は、自信があるんだなということです」

「まぁ、なくはないわね」

「だから、あえて旦那さんを選んだ理由が分からなかったんです。いくらでも選びたい放題なのに」

「そんなこともない。男が皆、美人が好きだとは思わないわよ。それに美人だって、好みが分かれるし」

「でも、幸せな家庭がある男を奪う理由にはならないですよ」

「それはその通りだけど。私にしてみれば、好きになった男が、幸せな家庭にいたというだけよ」

「その時点で諦めるという選択肢はないんですか?」

「もちろんそう思ったわよ。何もできなければ諦めたわ」

「中途半端に愛人関係になってしまったからと」

「そういうことよ。欲張りたくなるじゃん。あなたも分かるでしょ」
 
「はい、痛いほど分かります。ということで、誤解してたことを謝ります」

「もういいわ。ただの酷い女だと思ってないなら」

「今は愛情深い人だと思ってます」

「それでいいわ」




 2人が寝ているから間が持たない。余り法律の話をしてもつまらないだろう。

 容姿を褒めても、スミレさん同様に、盛り上がらない。
 
「ねぇ」

「なんですか?」

「そんなに凄いの?」近づいて小さい声で言ってきた。

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