12 / 36
会議
しおりを挟む
そして会議当日になった。
ハルカが会場のドアを開くと、ツクシとシノビが席についていた。
ツクシが席を立ち、ハルカに近づいてきた。
「ハルちゃん、お久しぶり。元気そうね」
「ツクシさんもお元気そうで」
「さっきモンちゃんに聞いたんだけど、彼氏できたんだって?羨ましいなぁ」
「あぁ、まぁ」モンドめ、余計なことを、と思ったが、
「ツクシさんは?」と話をはぐらかした。
「私には、神様がいるから」
「まだ教会には出てるんですか?」
「なんか偉くされちゃってぇ。やんなくていいって言われてるんだけど、私はみんなの治療をしたいからぁ、まだ毎日、医術院にいるわよ」
「ホントに元気ですね」
「だって、まだまだ若いしぃ」
「そっ、そうですよね」
ツクシさん、王国の教会のシスターだ。本人は若い気でいるらしいが、前回の魔王討伐の時に、医術院でマスターという最高のクラスだった。その時、確か50歳は過ぎていたはずだが・・・。
まぁ、ほんわかした性格だが、パーティでは、私達の回復が主で、その他ギミックの解除も行っていた。ポーション等のアイテムの知識もかなりあり、作ることもできる。
「シノビは相変わらず無口みたいですね」
「そうなのよぉ。シノちゃん、話しかけても全然返事してくれないよぉ」
「ちょっと待て!人聞きの悪いことを言うな」
「だって、最近どこ行った?とか、最近何かあった?とか答えてくれないじゃない」
ハルカは、あぁ、それは答えられないな、と思った。
シノビとは、王国内の情報収集をする組織のことで、目の前にいる男の名前ではない。場合によっては潜入捜査も行うので、名前と顔は極秘とされている。今話している相手も覆面をしている。
しかし、左手の甲に特徴のある紋様が描かれており、それは一人ひとり違い、同じものはないと言われている。
だから、この男が以前のパーティメンバーだと私達は信じる事ができる。
パーティでは、短剣による接近戦も得意であるが、魔弾と呼ばれる魔法と火薬を混ぜたものを扱う中・遠距離攻撃もできる。
その他、魔物や戦術の知識が豊富で、作戦会議では中心となり、戦闘中も指示を出す役目だ。そういう時は、非常に饒舌になる。
「シノビ、最近じゃなくてもいいから、美味しいもの、何か知らない?」
「あぁ、それなら、カノンの町で近くの森の木の実を使ったパイが美味かったよ」
「えっ!ホント?次の視察は、そこにしようかしら?」ツクシさんは楽しそうな顔になった。
「視察ですか?」
「定期的に地方の教会を回って、人員や資材の不足がないか確認してるのよ。まぁ、形式的なものだけどね」
いや、それって、とても重要なんじゃ、とハルカは思ったが、口には出さなかった。
すると、モンド、ハナエ、ギンノジョウが部屋に入ってきた。
ハナエは10年前と変わらない姿なので、私よりも年下に見えてしまうんじゃないかと思えた。
ギンノジョウは、昔からおじいちゃん過ぎて、変わっていても全く分からない。
3人は特に何も言わずに席に着いた。
それから少し遅れて、王が現れた。
私達は立ち上がったが、ハナエとギンノジョウは座ったままだった。
「あぁ、気を使わないでくれ。国を守ったのはそなた達じゃ、律しなければならないのは私の方じゃ」
王は席に着く前に
「本日は集まってくれたこと、大変感謝いたす。改めて、国民を代表して、魔王から国民を守ってくれたことにお礼申し上げる」と深く頭を下げた。
ハルカは、この王の謙虚なところ、国民を第一に考えるところが大好きだった。
だからこそ、力になってあげたい、と思っている。生まれつき、人間にはできることとできないことがあり、それぞれ役目があるのだ。
「国民を代表した王のお気持ち、有り難く受け入れます」とモンドが言った。
王は頭を上げ、席に着いた。
「それで、本日集まってもらった理由なのじゃが」王はモンドを見た。
モンドは王に対して頷いてから、パーティメンバーに向き直った。
「既に知っているメンバーもいると思うが、立て続けにこの近辺で、ウォルターデーモン、アークデーモンが現れるという事件が起きた。幸いハルカのお陰で特に被害はなかったのだが、この魔族の動き、尋常なことではない。
そこで、俺は仮説を立てた。
10年前、魔王を完全に討伐できなかったのではないかと。
間違いなく俺たちの前で、魔王は消滅した。しかし、俺にも分からないが、それはごく一部で、消滅する前に大部分が逃げおおせたのではないかと。
それで10年経った今、魔王を復活させる目処が立ったので、表立って魔族が動き出したのではないかと考えている」
特にメンバー達に動揺はなかった。ハナエとギンノジョウ以外は知っていても不思議ではない。
ハナエは、
「この近くで黒い闇を感じたから、私とギンノジョウは来たの。そうじゃなかったら、わざわざこんなところ来ないわよ」とギンノジョウを見た。
ギンノジョウは
「この王国の近くの町に、黒い闇の力がある。間違いない」
ハルカは立ち上がった。
「それって?」
「そうよ、あなたのいるモルガンの町よ。何も感じなかったの?」ハナエは嫌味を込めて言った。
ハルカを始め、会議室にいる全ての人が動揺した。
「そんな・・・」ハルカは絶句した。
「おい、ハナエ、からかうな。普通の人間には無理なことだ」
「まぁ、そうね。ハルカ、ごめんなさい。あなたを困らせるために言ったんじゃないのよ。でも、あなた、心当たりはないの?」
「えっ!」ハルカは下を向いて考えた。
黒い闇・・・、闇の力・・・、呪い・・・
「まさか!」ハルカは顔を上げた。
「心当たりあるみたいね」ハナエは微笑んだ。
ハルカが会場のドアを開くと、ツクシとシノビが席についていた。
ツクシが席を立ち、ハルカに近づいてきた。
「ハルちゃん、お久しぶり。元気そうね」
「ツクシさんもお元気そうで」
「さっきモンちゃんに聞いたんだけど、彼氏できたんだって?羨ましいなぁ」
「あぁ、まぁ」モンドめ、余計なことを、と思ったが、
「ツクシさんは?」と話をはぐらかした。
「私には、神様がいるから」
「まだ教会には出てるんですか?」
「なんか偉くされちゃってぇ。やんなくていいって言われてるんだけど、私はみんなの治療をしたいからぁ、まだ毎日、医術院にいるわよ」
「ホントに元気ですね」
「だって、まだまだ若いしぃ」
「そっ、そうですよね」
ツクシさん、王国の教会のシスターだ。本人は若い気でいるらしいが、前回の魔王討伐の時に、医術院でマスターという最高のクラスだった。その時、確か50歳は過ぎていたはずだが・・・。
まぁ、ほんわかした性格だが、パーティでは、私達の回復が主で、その他ギミックの解除も行っていた。ポーション等のアイテムの知識もかなりあり、作ることもできる。
「シノビは相変わらず無口みたいですね」
「そうなのよぉ。シノちゃん、話しかけても全然返事してくれないよぉ」
「ちょっと待て!人聞きの悪いことを言うな」
「だって、最近どこ行った?とか、最近何かあった?とか答えてくれないじゃない」
ハルカは、あぁ、それは答えられないな、と思った。
シノビとは、王国内の情報収集をする組織のことで、目の前にいる男の名前ではない。場合によっては潜入捜査も行うので、名前と顔は極秘とされている。今話している相手も覆面をしている。
しかし、左手の甲に特徴のある紋様が描かれており、それは一人ひとり違い、同じものはないと言われている。
だから、この男が以前のパーティメンバーだと私達は信じる事ができる。
パーティでは、短剣による接近戦も得意であるが、魔弾と呼ばれる魔法と火薬を混ぜたものを扱う中・遠距離攻撃もできる。
その他、魔物や戦術の知識が豊富で、作戦会議では中心となり、戦闘中も指示を出す役目だ。そういう時は、非常に饒舌になる。
「シノビ、最近じゃなくてもいいから、美味しいもの、何か知らない?」
「あぁ、それなら、カノンの町で近くの森の木の実を使ったパイが美味かったよ」
「えっ!ホント?次の視察は、そこにしようかしら?」ツクシさんは楽しそうな顔になった。
「視察ですか?」
「定期的に地方の教会を回って、人員や資材の不足がないか確認してるのよ。まぁ、形式的なものだけどね」
いや、それって、とても重要なんじゃ、とハルカは思ったが、口には出さなかった。
すると、モンド、ハナエ、ギンノジョウが部屋に入ってきた。
ハナエは10年前と変わらない姿なので、私よりも年下に見えてしまうんじゃないかと思えた。
ギンノジョウは、昔からおじいちゃん過ぎて、変わっていても全く分からない。
3人は特に何も言わずに席に着いた。
それから少し遅れて、王が現れた。
私達は立ち上がったが、ハナエとギンノジョウは座ったままだった。
「あぁ、気を使わないでくれ。国を守ったのはそなた達じゃ、律しなければならないのは私の方じゃ」
王は席に着く前に
「本日は集まってくれたこと、大変感謝いたす。改めて、国民を代表して、魔王から国民を守ってくれたことにお礼申し上げる」と深く頭を下げた。
ハルカは、この王の謙虚なところ、国民を第一に考えるところが大好きだった。
だからこそ、力になってあげたい、と思っている。生まれつき、人間にはできることとできないことがあり、それぞれ役目があるのだ。
「国民を代表した王のお気持ち、有り難く受け入れます」とモンドが言った。
王は頭を上げ、席に着いた。
「それで、本日集まってもらった理由なのじゃが」王はモンドを見た。
モンドは王に対して頷いてから、パーティメンバーに向き直った。
「既に知っているメンバーもいると思うが、立て続けにこの近辺で、ウォルターデーモン、アークデーモンが現れるという事件が起きた。幸いハルカのお陰で特に被害はなかったのだが、この魔族の動き、尋常なことではない。
そこで、俺は仮説を立てた。
10年前、魔王を完全に討伐できなかったのではないかと。
間違いなく俺たちの前で、魔王は消滅した。しかし、俺にも分からないが、それはごく一部で、消滅する前に大部分が逃げおおせたのではないかと。
それで10年経った今、魔王を復活させる目処が立ったので、表立って魔族が動き出したのではないかと考えている」
特にメンバー達に動揺はなかった。ハナエとギンノジョウ以外は知っていても不思議ではない。
ハナエは、
「この近くで黒い闇を感じたから、私とギンノジョウは来たの。そうじゃなかったら、わざわざこんなところ来ないわよ」とギンノジョウを見た。
ギンノジョウは
「この王国の近くの町に、黒い闇の力がある。間違いない」
ハルカは立ち上がった。
「それって?」
「そうよ、あなたのいるモルガンの町よ。何も感じなかったの?」ハナエは嫌味を込めて言った。
ハルカを始め、会議室にいる全ての人が動揺した。
「そんな・・・」ハルカは絶句した。
「おい、ハナエ、からかうな。普通の人間には無理なことだ」
「まぁ、そうね。ハルカ、ごめんなさい。あなたを困らせるために言ったんじゃないのよ。でも、あなた、心当たりはないの?」
「えっ!」ハルカは下を向いて考えた。
黒い闇・・・、闇の力・・・、呪い・・・
「まさか!」ハルカは顔を上げた。
「心当たりあるみたいね」ハナエは微笑んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに
千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。
ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。
グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、
「・・・知ったからには黙っていられないよな」
と何とかしようと行動を開始する。
そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。
他の投稿サイトでも掲載してます。
※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。
チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます――
金さえあれば人生はどうにでもなる――
そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。
交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。
しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。
だがその力は、本来存在してはいけないものだった。
知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。
その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在――
「世界を束ねる管理者」
神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。
巻き込まれたくない。
戦いたくもない。
知里が望むのはただ一つ。
金を稼いで楽して生きること。
しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。
守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。
金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる
巻き込まれ系異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる