剣が本体で人間が道具の世界に転生した僕は、可愛いサキュバスを恋人にして、魔王を倒します 〜剣の世界 第一部〜

ぱるゆう

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しばらくして、
『イタタタッ゙』と頭を押さえた。

『あっ、目覚めた?」

『うわっ、気持ち悪い。頭がクラクラする」なんとか上半身を起こした。

『多分、僕の意識とあなたの意識が混ざりあったから、そうなったのかも』

『君は平気なの?』

『君?僕の名前は、エクシィ』 

『僕は裕太』

『フフフッ、道具が自分の名前を言ってる』

『まぁ、この世界では、そういう反応になるよね』

『この世界?』

『あぁ、僕は違う世界から来たんだ』

『えっ、転生ってやつ?』

『転生分かるんだ』

『まぁ、絵本の話だけどね。現実に起こるなんて、ビックリ。ねぇ、本当に裕太は魔物じゃないんだよね?』

『違うよ。まぁ、何も証明できないけどね』

『あっ、そうそう。僕が平気かって質問だったね。平気だよ』

『そうなんだ』

『理由は、僕達がどうやって装備を使っているか、から話した方が良さそうだね」

「うん、聞きたい」

「僕達を装備に掴ませると、僕達の意識が装備の全身に流れ込むんだ。それで動かしてる』

『そうか、だから、エクシィの話し声が頭に聞こえたのか』

『だけど、普通は装備の意識なんかないから、僕達には流れ込まない。そのせいだと思う。いかんせん、裕太みたいな装備は聞いたことないから、想像だけど』

『なるほど』

『それにしても裕太は凄いよ。あのデビルウルフを一撃で倒したんだから』

『あぁ、デビルウルフって言うんだ。なんか僕の世界と似てるかもね』

『裕太の世界にも魔物はいるんだ』

『いいや、僕の世界では、ウルフっていう名前のこれくらいの動物がいるんだ』裕太は手を空中に浮かせて、大きさを表した。

『動物?』

『魔物みたいな形をした小さい生き物。ほとんどは人間を襲わないよ』

『人間を襲う?装備を襲うの?』

『あぁ、ごめん。始めから話すね。僕の世界では、人間が意思を持って動いていて、エクシィみたいな剣は動かないんだ』

『えっ!剣が動かない?そんな馬鹿な事あるわけないでしょ。からかわないで』

『う~ん。まぁ、僕からしたらエクシィが動いてるほうが、ビックリなんだけど』

『嘘でしょ。本気で言ってるの?』

『まぁ、僕が動いていることが証拠としか言えないかな』

『まぁ、確かに裕太は動いてるし、剣のように話してる。信じられないけど、信じるしかないか』

『あぁ、物わかりのいい剣で良かったよ。エクシィじゃなかったら、問答無用で魔物として退治されていたかもしれない』

『フフフッ、良かったわね。僕で』

『ありがとう。エクシィ』

『そんなかしこまると、照れるよ』

『それにしても、エクシィって綺麗だよね』

『ふっふ~ん、別の世界の装備でも、僕の美しさが分かるなんて、裕太は見る目あるね』

『いや、本当に綺麗だよ。僕の世界には、こんな綺麗な剣はないよ』

『もぉ~照れるじゃん。ホントの事言って』

『はははっ。そうだ!僕がエクシィを振るおうとしたら、形が変わったけど、なんで?』

『あぁ、僕は特別なんだ』

『特別?』

『普通は産まれるときに、さっきの日本刀だったり、大剣だったり、ナイフだったり、形は決まってるんだけど、ごく稀に僕ものような形が変わる剣が産まれるの』

『どうやったら、変わるの?』

『普通は装備によって変わる。素早さが特徴な装備なら、ナイフや短剣。力が特徴なら、大剣。技が特徴なら、日本刀になることが多いね』

『じゃあ、僕は技が得意ってことか』

『でも、あんな斬撃を出すなんて、初めて聞いた』

『やっぱり多少チートはあるのか』と呟いた。

『チート?』

『いや、技の名前だよ』

『ふ~ん』

『ありがとう。色々分かって助かったよ。またどこかで会えたら』

『ちょっと待った。裕太、剣を持ってないと、ホントに誰かに退治されるよ』

『あっ、そうだった。どうしよう』

『あのぉ。僕が付き合ってあげてもいいよ』

『えっ、ホントに?助かるなぁ。でも持つとさっきみたいになるんでしょ』

『あぁ、大丈夫。普通は装備を持っている剣は、装備のサヤの中にいて、そこから装備を動かしてるから』

『でも動かしてるんじゃ、変わらないんじゃないの?』

『ううん。装備に触れないと動かせないから、触れてなければ、さっきみたいにはならないよ』

『ふ~ん、鞘って?』

『裕太の左の棟に付いてるよ。そこにいさせてくれれば、動いていても不思議じゃない』

『分かった。じゃあ鞘に入ってくれるかい?』

『了解』エクシィは鞘に入った。

『ありがとう。エクシィ』

『まさか冒険初日で、ランクアップアイテムをゲットできるなんて思わなかった』

『ランクアップアイテム?』

『そう。これだよ』裕太の眼の前に、手のひらサイズくらいのオオカミの顔の形のレリーフが浮かんでいる。

『これがあると、どうなるの?』

『レベルが上げられる』

『凄いじゃん!』

『まぁ、裕太のお陰だけどね』

『ううん。エクシィの形が日本刀になってくれたお陰だよ」

『もう、ホントに、僕のおかげ?』

『そうだよ。最高の剣だよ』

『もうぉ~、ホントの事でも、照れるなぁ』

『装備にはレベルはないの?』

『う~ん。聞いたことはないなぁ。普通は買い替えるからね』

『あっ、そうだよね。僕の世界でもそうする』

『でも、何回も魔物を倒せば、熟練度っていうのが上がって、装備の隠れた力を引き出せるってことはあるけど』

『隠れた力?』

『高い装備ほど隠れた力が凄いって話。伝承では、幻の装備では竜を一撃で倒せる力が備わるっていう話もあるんだ』

『竜?竜をなんているの?』

『あぁ、そうか。この世界の話をしないとね』

「魔王とか』

「なんだ。知ってるの?』

「ごめん。魔王という名前しか分からない』

「あぁ、そうなんだ。今、魔王の恐怖に怯えながら生活してるんだ。
魔物も、魔王が現れてから、たくさん出てくるようになった。
だから、力自慢の剣たちが冒険者となって、町や村を守ってる。幼い剣たちは、みんな冒険者に憧れてる』

「それでエクシィも、初めて冒険に出たんだね』

「いや、はっ、初めてじゃないよ。さっ、3回目だよ』

「さっき言ってたよ。初めての冒険でラッキーって』

「はははは~、そうだっけ?』

「別に、僕はエクシィに出会えて良かったと思ってるだから、気にしてないよ』

「そう?裕太って優しいね』

「さて、お腹空いたんだけど、食べるものあるの?』

「あぁ、あるよ。装備を持ってる剣だけの特権。食事』

「装備がないとどうしてるの?』

「基本的には、磨刀石ってのがあって、それに触れていれば食事したことになる』

「ふ~ん。食べなくてもいいんだ』

「でもこの磨刀石も時々買い替えないと、体力が回復できなくなるからね』

「ふ~ん』

「僕も初めての食事、楽しみだなぁ』

「いや、エクシィは磨刀石だよ』

「なんで!』

「僕が握らないとダメなんでしょ』

「あぁそうだった。ガクン』

「分かったよ。少しだけだよ。僕も耐えられないから』

「やった!裕太、ありがとう』

「じゃあ、案内して』

「分かった』

裕太達は、エクシィの町に向かった
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