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荊棘の道
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文生を乗せた馬車が王城へ到着した。
兵士たちは荷解きをして、勇豪は文生を宮殿へ連れていこうと馬車の戸に手を伸ばす。そこでふと美琳の存在を思い出し、近くにいた兵士に指示を出す。
「そこのお前、連れてきた女を兵舎に連れていけ。あいつは軍に入れるから、俺が戻るまで軽く案内しておけ」
「え、軍に、ですか?」
兵士は戸惑いを見せる。しかし上官である勇豪の決定にそれ以上口を挟めるはずもなく、拱手すると勇豪に背を向ける。すると勇豪にもう一度呼び止められる。
「おい。一応あいつは文生様に関わりがある。まだ手荒に扱うなよ」
兵士は瞠目した。が、すぐに心得たという笑みで頷き美琳のいる方に走り去っていった。
勇豪は大きな溜息を吐きつつ、今度こそ馬車の戸を開け、手を差し出す。
「文生様。こちらへどうぞ」
文生はその手を支えにして馬車から一歩踏み出し、そして沈痛な面持ちで感謝を述べる。
「……ありがとうございます」
だがそれに勇豪は片眉を吊り上げ、地面に降り立った文生の耳に囁く。
「文生様、俺に対して敬語を使っちゃなりません。俺……いや、私含め、貴方より上の身分はもういないんです。以後気をつけてください」
その言葉に文生は、小麦色の顔を土気色にしながら頷く。
「分かりま……分かった」
勇豪は満足気に微笑み、王城の中心に振り向く。
「では、宮殿に上がりましょうか」
と言って、勇豪は上を指し示す。その指の先には青空が二つに分かたれているように錯覚する程に巨大な建造物があった。
それは平屋が三段積み重なったような形で建っていた。壁は白く塗られ、紅い屋根は神々しい輝きを放ち、それぞれの屋根を支える支柱も煌びやかな装飾が施されている。そして真ん中には一本の階段が最上階までまっすぐに伸びている。
文生はしくしくと痛む腹を押さえながら仰ぎ見る。
「あそこが……」
小さく呟く文生。だがそれ以上言葉を続けられなかった。口に出してしまうと、そのまま弱音を吐き出してしまいそうだったから。
〝あたし頑張るから。絶対文生の元に行くからね〟
「‼」
その瞬間。美琳の声が聞こえた気がした。
(そう、そうだよね。君だけに頑張らせる訳にはいかないよね)
文生は深呼吸する。そして歯を噛み締めると、袴を翻して入り口へ向かうのであった。
文生らが歩いていくと宮殿を守る護衛兵たちが武器の構えを解く。その拍子に彼らの身に付けている青銅鎧のけたたましい金属音が響いた。
その音は宮殿にも届いた。宮殿の中で働いていた官吏たちは部屋を出て階下を覗き、新しい王を見つけてざわめく。
「あれが王の忘れ形見か……」
と一人が言うと、他の官吏たちも次々に好き勝手なことを言い出す。
「あの浅黒い肌、庶人そのものではないか」
「本当に王のご子息なのか? まさか偽物では……」
「そもそも下賤な出自の夫人の子であろう? まともに王の職務が務まるのか」
「いや、王族の血が流れておればなんとかなるであろう」
官吏たちは喧々囂々と品定めをする。その姿はまるで極彩色の鳥たちが奏でる耳障りな囀りのようだった。
勇豪は顔を顰めると、鐘のような声を轟かせる。
「静粛に! 我らの次期王、文生様の御帰還だぞ!」
途端、辺りは静まり返り、必然的に文生だけに視線が集まる。
ごくり、と文生は唾を呑み込むと、注目の的になっている中、階段を登り始める。一段、一段、確かめるように、ゆっくりと。生まれて初めて使ったというのもある。けれど今は、自分の覚悟を固めるためでもあった。
最上段まで登り切った文生は、後ろを振り返って市井を一望する。その瞳はどこまでも澄んで煌めいていた。まるで宮殿の持つ輝きを一身に集めたかのように。
その横顔を見ていた官吏たちは予感する。この青年にはきっと王の素質があると。あんなにも慈しみを持って町を見られる彼なら、きっと民に寄り添った政治をするはずだ。彼らは皆同じ思いを抱き始めていた。官吏たちは先程まで噂していたのを忘れたように、新しき王に期待を寄せる。
しばらく町を眺めていた文生。ふっと宮殿の中を振り返れば、官吏たちが恭しく辞儀をしていた。
文生は目を見開く。が、その直後、表情を引き締めると、宮殿の奥へ入っていくのであった。
ところ変わって兵舎。
王城の敷地にあるその平屋は、宮殿程ではないが民家よりは遥かに立派な造りであった。屋根はくすんだ赤色であったが、太陽光の反射が本来の色より明るく輝かせていた。土壁の側面には戸口が二つあり、どちらも質素ながら拵えの良い織物の戸布が掛けられている。
美琳は兵士の後に付いて兵舎に入り、彼と共に歩きながら施設の説明を受けていた。
「このまっすぐに伸びたのが共用廊下だ。廊下の両側に続く部屋は俺たちの寝室で、何人かずつで割り振られている。けどまあ……女のおまえは一人部屋になるだろう」
と、兵士が言ったのを、美琳はつまらなそうに〝ふぅん……〟と呟いて聞き流す。
その様子に兵士の口がわずかに動いた。が、彼は何も言わずに、淡々と兵舎の奥へ進んでいく。そして廊下の行き止まりに辿り着くと、一枚の戸布を捲り、その先に入っていった。
そこには四方を壁で囲まれた、広々とした空間が広がっていた。兵士は立ち止まると、説明を再開する。
「ここが訓練場だ。普段は部隊ごとに鍛錬をし、月に一度実力を見定める試合が行われる。その試合の結果で役職が変動することになっている」
そこに来て初めて美琳が興味を示す。だが兵士はそれに気付かずに話し続ける。
「まあでも軍の上層部はあらかた身分で決まってるけどな。その試合で決めるのは俺たちみたいな下っ端を取りまとめる部隊長とかの話だ」
淡々とした兵士の口調と打って変わって、美琳は高揚した口振りで聞く。
「そんな『仕組み』なのね……。ねぇ、その試合で実力が認められ続けたら王城付きの兵士になれる?」
途端、兵士の眉間に皺が寄る。
「はぁ? そんなん、おまえみたいな庶人がなれる訳ないだろ。それに女のおまえが俺たちに勝てるはずないしな」
その言葉を聞いた瞬間、美琳の顔から笑みが消える。
「……今、なんて?」
震える声で尋ねる美琳に対し、兵士は盛大な溜息を吐きながら答える。
「王城付きは貴族の中でも殊更武功のあるもんじゃないと務められないんだよ。大尉だって堅苦しいのが苦手だから平兵士にも気楽な態度を許してるけど、本来は俺らから話しかけられないような身分だぞ」
美琳の返事を待たずに、兵士は更に言葉を重ねる。
「そんなことよりもおまえ、先輩の俺にそんな言葉づか……ッ!」
ヒュッと彼の喉が締まった。
案内役の兵士にとっては、美琳の愚問より、彼女の態度の方が問題であった。彼はただそれを注意してやろうと思ったのだ。だが彼女の顔を見た瞬間、すべて吹き飛んだ。
美琳の明眸が憤怒の焔を宿している。その美しくも恐ろしい栗色の瞳をパチパチと瞬かせながら、誰もいない訓練場を見つめている。まるでその先に恨めしい相手がいるように。
それはたかだか数秒の出来事だったはず。だのに、兵士には何時間にも感ぜられた。
美琳は一度目を閉じ、ゆっくりと開く。と、兵士に振り返って礼を述べる。
「興味深い話だったわ。教えてくれてありがとう」
そこにはただの少女のつぶらな瞳があった。
兵士は大きく息を吸い込む。そこで初めて息を止めていたことに気付き、ぶるり、と体を震わせた。
(こんな……。こんな女如きに恐怖を抱くなんて、そんなのあり得ない! 男の方が遥かに強いんだ、そんなことありえるはずが……!)
戦慄く掌を握り込んで兵士は拳を作った。その刹那。
ゴッ、と柔い肉に硬い骨がめり込む音がした。
「あッ!」
兵士は声を上げる。無意識の内に拳を少女に振るってしまっていたのだ。
(やっちまった……! 王の関係者に手を出すなんて!)
自分のしでかしたことに顔を青ざめる。と、同時に異常を察知し、少女の顔を見つめる。
か細い体躯の少女だ。普通なら男の一撃で倒れこむだろう。だのに美琳の顔は、正面から横に向けさせられただけだ。
兵士はますます混乱する。
(なんだってこいつは微動だにしないんだ⁈)
恐れ戦く兵士。慌てて少女の頬から手を離し、言い訳を取り繕う。
「こ、これは指導だからな! 先輩に敬語を使わないおまえがいけないんだ……。身分を弁えろ! 分かったな!」
美琳はしばし固まっていた。が、つと顔を上げると、ケロッとした様子で兵士に答えた。
「分かりました。『ご指導』ありがとうございました」
その言葉に兵士はほっと胸を撫で下ろす。
(とりあえず殴ったことは正当化出来た。殴られても平気だったのは、きっともう誰かに鍛えられてたんだろう)
自分の保身で頭がいっぱいだった兵士は、自然とそう結論づけた。そして彼は見落とす。赤く腫れていた美琳の頬が、普段通りの白い柔肌に戻っていることを。
兵士たちは荷解きをして、勇豪は文生を宮殿へ連れていこうと馬車の戸に手を伸ばす。そこでふと美琳の存在を思い出し、近くにいた兵士に指示を出す。
「そこのお前、連れてきた女を兵舎に連れていけ。あいつは軍に入れるから、俺が戻るまで軽く案内しておけ」
「え、軍に、ですか?」
兵士は戸惑いを見せる。しかし上官である勇豪の決定にそれ以上口を挟めるはずもなく、拱手すると勇豪に背を向ける。すると勇豪にもう一度呼び止められる。
「おい。一応あいつは文生様に関わりがある。まだ手荒に扱うなよ」
兵士は瞠目した。が、すぐに心得たという笑みで頷き美琳のいる方に走り去っていった。
勇豪は大きな溜息を吐きつつ、今度こそ馬車の戸を開け、手を差し出す。
「文生様。こちらへどうぞ」
文生はその手を支えにして馬車から一歩踏み出し、そして沈痛な面持ちで感謝を述べる。
「……ありがとうございます」
だがそれに勇豪は片眉を吊り上げ、地面に降り立った文生の耳に囁く。
「文生様、俺に対して敬語を使っちゃなりません。俺……いや、私含め、貴方より上の身分はもういないんです。以後気をつけてください」
その言葉に文生は、小麦色の顔を土気色にしながら頷く。
「分かりま……分かった」
勇豪は満足気に微笑み、王城の中心に振り向く。
「では、宮殿に上がりましょうか」
と言って、勇豪は上を指し示す。その指の先には青空が二つに分かたれているように錯覚する程に巨大な建造物があった。
それは平屋が三段積み重なったような形で建っていた。壁は白く塗られ、紅い屋根は神々しい輝きを放ち、それぞれの屋根を支える支柱も煌びやかな装飾が施されている。そして真ん中には一本の階段が最上階までまっすぐに伸びている。
文生はしくしくと痛む腹を押さえながら仰ぎ見る。
「あそこが……」
小さく呟く文生。だがそれ以上言葉を続けられなかった。口に出してしまうと、そのまま弱音を吐き出してしまいそうだったから。
〝あたし頑張るから。絶対文生の元に行くからね〟
「‼」
その瞬間。美琳の声が聞こえた気がした。
(そう、そうだよね。君だけに頑張らせる訳にはいかないよね)
文生は深呼吸する。そして歯を噛み締めると、袴を翻して入り口へ向かうのであった。
文生らが歩いていくと宮殿を守る護衛兵たちが武器の構えを解く。その拍子に彼らの身に付けている青銅鎧のけたたましい金属音が響いた。
その音は宮殿にも届いた。宮殿の中で働いていた官吏たちは部屋を出て階下を覗き、新しい王を見つけてざわめく。
「あれが王の忘れ形見か……」
と一人が言うと、他の官吏たちも次々に好き勝手なことを言い出す。
「あの浅黒い肌、庶人そのものではないか」
「本当に王のご子息なのか? まさか偽物では……」
「そもそも下賤な出自の夫人の子であろう? まともに王の職務が務まるのか」
「いや、王族の血が流れておればなんとかなるであろう」
官吏たちは喧々囂々と品定めをする。その姿はまるで極彩色の鳥たちが奏でる耳障りな囀りのようだった。
勇豪は顔を顰めると、鐘のような声を轟かせる。
「静粛に! 我らの次期王、文生様の御帰還だぞ!」
途端、辺りは静まり返り、必然的に文生だけに視線が集まる。
ごくり、と文生は唾を呑み込むと、注目の的になっている中、階段を登り始める。一段、一段、確かめるように、ゆっくりと。生まれて初めて使ったというのもある。けれど今は、自分の覚悟を固めるためでもあった。
最上段まで登り切った文生は、後ろを振り返って市井を一望する。その瞳はどこまでも澄んで煌めいていた。まるで宮殿の持つ輝きを一身に集めたかのように。
その横顔を見ていた官吏たちは予感する。この青年にはきっと王の素質があると。あんなにも慈しみを持って町を見られる彼なら、きっと民に寄り添った政治をするはずだ。彼らは皆同じ思いを抱き始めていた。官吏たちは先程まで噂していたのを忘れたように、新しき王に期待を寄せる。
しばらく町を眺めていた文生。ふっと宮殿の中を振り返れば、官吏たちが恭しく辞儀をしていた。
文生は目を見開く。が、その直後、表情を引き締めると、宮殿の奥へ入っていくのであった。
ところ変わって兵舎。
王城の敷地にあるその平屋は、宮殿程ではないが民家よりは遥かに立派な造りであった。屋根はくすんだ赤色であったが、太陽光の反射が本来の色より明るく輝かせていた。土壁の側面には戸口が二つあり、どちらも質素ながら拵えの良い織物の戸布が掛けられている。
美琳は兵士の後に付いて兵舎に入り、彼と共に歩きながら施設の説明を受けていた。
「このまっすぐに伸びたのが共用廊下だ。廊下の両側に続く部屋は俺たちの寝室で、何人かずつで割り振られている。けどまあ……女のおまえは一人部屋になるだろう」
と、兵士が言ったのを、美琳はつまらなそうに〝ふぅん……〟と呟いて聞き流す。
その様子に兵士の口がわずかに動いた。が、彼は何も言わずに、淡々と兵舎の奥へ進んでいく。そして廊下の行き止まりに辿り着くと、一枚の戸布を捲り、その先に入っていった。
そこには四方を壁で囲まれた、広々とした空間が広がっていた。兵士は立ち止まると、説明を再開する。
「ここが訓練場だ。普段は部隊ごとに鍛錬をし、月に一度実力を見定める試合が行われる。その試合の結果で役職が変動することになっている」
そこに来て初めて美琳が興味を示す。だが兵士はそれに気付かずに話し続ける。
「まあでも軍の上層部はあらかた身分で決まってるけどな。その試合で決めるのは俺たちみたいな下っ端を取りまとめる部隊長とかの話だ」
淡々とした兵士の口調と打って変わって、美琳は高揚した口振りで聞く。
「そんな『仕組み』なのね……。ねぇ、その試合で実力が認められ続けたら王城付きの兵士になれる?」
途端、兵士の眉間に皺が寄る。
「はぁ? そんなん、おまえみたいな庶人がなれる訳ないだろ。それに女のおまえが俺たちに勝てるはずないしな」
その言葉を聞いた瞬間、美琳の顔から笑みが消える。
「……今、なんて?」
震える声で尋ねる美琳に対し、兵士は盛大な溜息を吐きながら答える。
「王城付きは貴族の中でも殊更武功のあるもんじゃないと務められないんだよ。大尉だって堅苦しいのが苦手だから平兵士にも気楽な態度を許してるけど、本来は俺らから話しかけられないような身分だぞ」
美琳の返事を待たずに、兵士は更に言葉を重ねる。
「そんなことよりもおまえ、先輩の俺にそんな言葉づか……ッ!」
ヒュッと彼の喉が締まった。
案内役の兵士にとっては、美琳の愚問より、彼女の態度の方が問題であった。彼はただそれを注意してやろうと思ったのだ。だが彼女の顔を見た瞬間、すべて吹き飛んだ。
美琳の明眸が憤怒の焔を宿している。その美しくも恐ろしい栗色の瞳をパチパチと瞬かせながら、誰もいない訓練場を見つめている。まるでその先に恨めしい相手がいるように。
それはたかだか数秒の出来事だったはず。だのに、兵士には何時間にも感ぜられた。
美琳は一度目を閉じ、ゆっくりと開く。と、兵士に振り返って礼を述べる。
「興味深い話だったわ。教えてくれてありがとう」
そこにはただの少女のつぶらな瞳があった。
兵士は大きく息を吸い込む。そこで初めて息を止めていたことに気付き、ぶるり、と体を震わせた。
(こんな……。こんな女如きに恐怖を抱くなんて、そんなのあり得ない! 男の方が遥かに強いんだ、そんなことありえるはずが……!)
戦慄く掌を握り込んで兵士は拳を作った。その刹那。
ゴッ、と柔い肉に硬い骨がめり込む音がした。
「あッ!」
兵士は声を上げる。無意識の内に拳を少女に振るってしまっていたのだ。
(やっちまった……! 王の関係者に手を出すなんて!)
自分のしでかしたことに顔を青ざめる。と、同時に異常を察知し、少女の顔を見つめる。
か細い体躯の少女だ。普通なら男の一撃で倒れこむだろう。だのに美琳の顔は、正面から横に向けさせられただけだ。
兵士はますます混乱する。
(なんだってこいつは微動だにしないんだ⁈)
恐れ戦く兵士。慌てて少女の頬から手を離し、言い訳を取り繕う。
「こ、これは指導だからな! 先輩に敬語を使わないおまえがいけないんだ……。身分を弁えろ! 分かったな!」
美琳はしばし固まっていた。が、つと顔を上げると、ケロッとした様子で兵士に答えた。
「分かりました。『ご指導』ありがとうございました」
その言葉に兵士はほっと胸を撫で下ろす。
(とりあえず殴ったことは正当化出来た。殴られても平気だったのは、きっともう誰かに鍛えられてたんだろう)
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