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荊棘の道
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都城の朝は太鼓の音から始まる。
陽が昇り始める頃に、トーン、トーン、と王城からよく通る乾いた音が鳴り響く。それを合図に町は眠りから覚め、庶人は田畑へ向かい、商人は店を開ける。
もちろん兵舎も例外ではない。
雑魚寝をしていた兵士たちも目を覚まし、簡単な身支度を始める。寝ている間に乱れた髪を結い直し、着崩れていた着物を整えると、食堂で朝餉を食べる。食べ終えれば、当番がある者は兵舎を出て、非番の者は訓練場へ集まる。訓練場に集まった者たちは、体を鍛えたり、武器の確認をしたり、もしくは組み手で為合う者に分かれて、好きなように鍛錬をするのであった。
そんなむさくるしい男たちの熱気で満ちる訓練場の中の隅の方。そこに巨躯の男と華奢な少女が向かい合って立っていた。
手に二本の武器を持っている男、勇豪は目の前にいる少女に語りかける。
「非番のときは俺が直々に鍛えてやる。他の奴らはお前が女だから舐めてかかるだろうが、俺は一切手を抜かないからな」
男物の着物を着ている少女、美琳は背筋を伸ばして返事を返す。
「はい。よろしくお願いします、勇豪さん」
すると勇豪は眉間に皺を寄せる。
「今日からは〝大尉〟と呼べ。もうお前は文生様の連れじゃなく、一兵士となるんだ。軍の序列は守ってもらおう」
美琳は嫌そうな顔をした。が、尚も勇豪は言い募る。
「あとその女臭い喋り方はやめろ。お前のことは〝男〟として登録してあるんだ。顔はどうしようもないんだから、それくらいはしてもらうぞ。せめて〝あたし〟じゃなくて〝俺〟くらい使え」
「え……」
眉間に皺を寄せる美琳。勇豪の眉間にも深く溝が刻まれる。
「一応男物を着ちゃいるが、それのせいで台無しだ。軍の中でも外向きではお前を男として扱うように通達しておいたし、世間には女だってことはバレないようにしろ。万が一貴族連中にバレたら面倒なことになる。……ああ、それから」
ふと勇豪は顎に手を当てて、考える素振りをする。
「お前の〝美琳〟って名前だが……。もし聞かれたら、親に女の名前を付けられてしまって不服に思ってる、ってことにしておけ」
美琳の眉間の皺が深くなる。
「……まぁ、男として過ごすなら、そうなりますよね」
「出身地によっては逆の名前を付けるらしいからな。そんなに疑われないだろ。いや、疑われてもそれで押し通せ」
一理も二里もある勇豪の言い分に、美琳は大人しく首肯するしかない。
「……分かりました。気を付けます」
美琳が納得したのを確認すると、勇豪は一つ鼻息を鳴らして、美琳に一本の武器を渡した。
「こいつがお前の武器だ。大事に使えよ」
その武器の全長は美琳の身長と同程度で、彼女の小さな手には不釣り合いな長さである。上部には青銅の刃が付いており、まるで鎌のような形状の刃は、柄に対して垂直に括られている。更には柄の先端に細くて鋭く尖った刃も伸びていた。
勇豪は美琳が武器を受け取ると同時に説明を始め、少女は真剣な眼差しで耳を傾けた。
「戦では五人一組で隊を組んで動き、五人はそれぞれ役割が違う。まず一人目が手戟で敵に突っ込み、二人目が矛で一人目を援護する。三、四人目が弓で前線の敵の数を減らして、五人目が隊長として戟と盾で殿を務める」
美琳は頭の中で想像しながら、自分に手渡された武器を見やる。勇豪もその武器を見ながら淡々と話す。
「で、もう分かってるだろうが……。お前に渡したのは手戟だ」
「……そうでしょうね」
「最前線は戦闘が激しく死ぬ奴が多い。だがお前なら……」
「死なずに道を切り開ける」
「そういうこった」
合点がいった、と美琳が頷けば、勇豪はそのまま説明を続ける。
「手戟は、相手の首に引っかけて手前に引くのが基本の動きだ」
軽く手振りを加えながら勇豪が言うと、美琳は手にしている手戟を軽く弄る。
「ふぅん。見た目通り、鎌と同じ要領なんだ」
「そんなもんだな。だが人間の首は稲と違って簡単には斬れん。手戟を引っかけてる間に他の奴に狙われる、なんてのが当たり前だ。そういうときに矛を持った奴が兵の隙間を縫って援護すンのさ」
勇豪は手に持っている武器を見せる。
一見それは手戟に似ていた。が、長さが決定的に違う。その武器の全長は、大柄な勇豪の頭上を越える程だったのだ。
「こいつが戟だ。さっき話した通り殿の奴が盾と併せて使う。だがそれ以外は手戟とほぼ同じだ。だから俺は慣れたこっちを使ってお前に教える。……つーか、手戟は俺には小さくてな。弓でも剣でも教えられる自信はあるが、それだけはどうにもよ」
「はあ」
美琳は一寸も興味がない、といった相槌を打つと、続きを促した。
「そんなことより早く使い方を教えてください」
「おッ前……!」
彼女の態度に、勇豪のこめかみがひくりと動く。
「本当、文生様がいないと一気に、こう……雑になるな」
「あなただって雑じゃ……あ、なんでもないです」
ふい、と視線を逸らす美琳に、勇豪の眉尻が吊り上がる。
「ぜってぇしごき倒してやる」
そう言った勇豪が武器を構えたので、美琳も同じように構えるのであった。
――当然ながら、訓練初日の美琳が手戟を上手く扱える訳がなかった。
身の丈程ある手戟は、ただでさえ少女の細腕で扱うのには難しい。だのに、手捌きだけでなく、足捌きにも気を使わねばならないのは、なかなか堪えるものがあった。対して勇豪は戟を軽々と扱って見せた。美琳より頭二つ分も大きなその得物を、訓練場にいるどの兵よりも素早く、力強く、そして楽しそうに振るい続ける。だがただ自分が楽しむだけではない。戦場でどう立ち回れば良いのかというのを実践も交えながら話す。そして美琳がよろけて手戟を取り落とした瞬間、すかさず檄を飛ばす。
「もっとちゃんと見ろ! お前の目玉はどこに付いてんだ!」
「くッ……!」
美琳は勇豪に顔を叩かれ、地面に転がされる。だがすぐに立ち上がり、がむしゃらに勇豪に立ち向かう。
勇豪は思った以上にやる気を見せる美琳に関心し、指導に熱が入る。やがて時間を忘れて教え始めた。が、次第に違和感を感じていく。
(こいつ……全然息が乱れてなくないか? それに汗も掻いてない……。ただでさえやばい体なのに、これじゃ本当に……)
「勇豪さ……大尉? どうかしましたか?」
その声に勇豪は美琳に意識を戻す。すると彼女が不思議そうに小首を傾げていた。
どうやら手が止まっていたらしい。勇豪は荒くなった呼吸を整えつつ汗を拭って構えを解く。
「一旦休憩にするぞ」
「え? もうです、か……。あぁ、もうこんな時間なのね」
先程まで東寄りにあったはずの陽の光が、いつの間にか真上にまで昇っていた。周りにいた兵士たちも、休憩をしたり、当番を交代するために移動したりし始めていた。
美琳は得心し、武器を置いてぺたんと地面に座り込んだ。勇豪も武器を置くと水を飲みに井戸へ向かおうと動きかけ、つと美琳に振り返る。
「おい、お前も水分摂っておけ。井戸まで案内してやるから」
「や、あた、俺は別に……あ」
美琳は途中で言葉を止め、ちらちらと周囲を見回して逡巡しているようだった。
勇豪は訝しく思って見つめる。と、美琳が勢いよく立ち上がった。
「『ちょうど喉が乾いていた』ので助かります。昨日は井戸までは教わってなかったんです」
「おう……? そうか。食堂の裏手にあるから付いて来い」
美琳の煮え切らない態度を勇豪は妙に感じた。が、疲れ切った自分の喉を潤す方を優先したかった。勇豪はそのままずかずかと食堂に向かって歩き始める。すると自分の後ろから慌てて追ってくる気配がするのであった。
午前の疲れが和らいだ頃。勇豪は仕事に戻らなければいけない刻限になっていた。
勇豪は美琳に自主鍛錬の方法を簡潔に教え、怠けずにやるよう言いつけると、訓練場を離れて宮殿に向かっていった。
美琳はその後ろ姿をじっと見送っていると、これ幸いとばかりに若い兵士が二、三人近付いて来た。
「なぁ、メイリン、だっけか? 良かったらおれらが教えてやろうか? 大尉は厳しいだろ、おれらならやさし~く手解きしてやれるぜ?」
兵士らは下卑た笑いを浮かべ、少女に手を伸ばした。しかしその手が少女の腕を掴むことはなかった。瞬間的に美琳が大きく一歩下がっていたからだ。
一瞬、美琳は煩わしそうな顔をする。しかしすぐに優しく微笑んで彼らを見つめる。
「大丈夫です。大尉に言われたことをこなさないと、何を言われるか分からないので」
けれど兵士たちは諦めない。
「そんなこと言わずに、まだ始めたばかりで変な癖ついたら困るだろ? だからさ……」
そう追い縋ろうとした瞬間。兵士たちは美琳の顔を見て言葉を呑み込んだ。
パッと見は可憐で従順そうな佇まいの少女。なのに、その目は兵士たちを害獣のようにしか思っていないようだった。全身からは拒絶の意思が放たれ、兵士たちを黙らせるのには充分な迫力があった。
「い、いや~、確かに大丈夫そうだな、うん。なんか困ったらいつでも聞いてくれよ」
完全に怯え切った兵士らはそそくさと逃げていき、美琳は何事もなかったように訓練を再開するのであった。
夕陽が西に傾いていく。都城は茜色を身に纏い、太鼓の音が夜の到来を告げる。田畑にいた庶人たちは帰路に就き、商人は店仕舞いをする。月が昇る切る前には門が閉まり、星が瞬く頃には都城は寝静まる。
男たちの血気盛んな声で溢れていた兵舎も、いびきばかりが聞こえるようになっていた。
そんな中美琳は、こっそりと部屋を抜け出し訓練場に向かう。月明かりを頼りに武器庫に辿り着くと、手戟を取り出し昼間教わったことをさらう。
――早く文生の傍に行きたい。
ただその一心で、何度も何度も、ただひたすらに武器を振り続ける。だが、その心中は到底穏やかなものとは言えなかった。
美琳の頭の中では、昼間勇豪に言われた言葉がぐるぐると巡り続けていた。
〝親に女の名前を付けられてしまって不服に思ってる〟
……そんなこと、たとえ嘘でも言いたくなかった。
美琳にとって『美琳』は一番の宝物であった。『美琳』という名は文生からもらったものの中で何よりも尊いものであるからだ。この名があるからこそ少女は『美琳』としての人生を歩め、文生に存在を認識してもらえるのだ。そんな大切なものを……。
「これは文生の元に行くためなんだから。堪えるのよ、美琳」
〝仕方ない、仕方ないことなのよ〟と、呪文のようにぼそぼそと繰り返しながら、美琳は一歩前に足を踏み出し、武器を振った。が、その拍子に小石を踏んでしまい、体勢が崩れる。カラン、と武器は放り出され、美琳も転がり倒れた。
美琳は一瞬何が起きたのか分からなかった。しかし、些か惨めな今の状況に気付くと、起き上がる気力が消え失せた。そのまま手足を投げ出すと、美琳はぼうっと空を見上げるのであった。
しばらくして不意に、頭上の星が一つ光った。
その黄金色の光は徐々に輝きを増していき、段々と地上へと近付いてくる。
美琳はふと瞬く。その一瞬後、小さくも力強い光の玉が空中を漂っていた。
それを見た瞬間、美琳は破顔し、がばりと立ち上がって光に近寄る。
「こんなとこまで来てくれたの?」
すると光も嬉しそうに点滅し、美琳の顔の周りを一周する。その姿に美琳は笑みを浮かべる。
「ああ、あなたにまた会えるなんて。嬉しいわ」
その直後、心配そうに光を覗き込む。
「でもあなた、森からこんなに離れて大丈夫なの?」
その言葉に光は頭を振るように動く。
「そうよね、あんまり長くはいられないよね。あ、良かったらここに乗る?」
そう言って美琳はお椀のようにして両手を差し出す。その掌に光はひょいと飛び乗る。
美琳はくすぐったそうに笑いながら光に語りかける。
「うふふ、あなたをこんな風に包めたのは初めてね。『なんだか不思議な気分』ってこういうときに言うのかしら」
光は優しく点滅する。頷いたような、微笑んだような、そんな慈愛に満ちた輝きで。
その輝きをじっと見つめていたら、美琳はある人物を思い出す。
「あぁ、婆様。いたわね、そんな人」
すると光が少女の掌の上でぴょんぴょんと跳ね、何事かを訴える。それに美琳は無垢な微笑みで礼を述べる。
「森に埋葬してくれたのね。ありがとう。そのままにしてたら文生が悲しむものね」
その言葉を聞くと、光は大人しくなる。そして今度は美琳が浮き立つ声で光に話しかける。
「そうそう、今日ね、また一つ覚えたことがあるの。あれくらい体を動かしたら『喉が渇く』んだって。いつもは文生がくれたのを飲むだけだったから、いつ言うのか加減が分からなかったわ」
母が子の話に耳を傾けるように、光は静かに揺らめく。
「文生といるためにはまだまだ新しいことを覚えなきゃね。……それに、嫌なことも我慢して、早く戦で活躍出来るようにならなくっちゃ……。ねぇ、あなたは何があっても私のこと応援してくれるでしょ?」
光は少女の掌を温かく照らすと、ふわりと浮いて少女の顔にすり寄る。美琳はくすぐったそうに笑う。
「ふふ、慰めてくれるの? ……でも大丈夫。これからはあたし一人で……。いいえ、文生と一緒にやっていけるわ。だからあなたも無理してこっちまで来なくていいのよ」
少女は先程よりも弱まった光を再び手で包むと、そっと夜空に掲げる。
「じゃあね」
その言葉に光は名残惜しそうに点滅する。と、光の真ん中に一筋の線が現れる。
線はゆっくりと開き、黒い三日月状に形作る。三日月はわずかに開閉し、音を発する。
「◼◼◼◼◼」
美琳は目をまん丸にさせた。が、すぐに光と同じように目を三日月へと変える。
「うん。ありがとう」
光は満足気に瞬くと、夜空へと戻って行くのであった。
美琳が光の向かった黒い夜空を眺めていると、空の下から薄く朱色が昇ってくる。
「え、もうそんな時間? 急いで部屋に戻らなくちゃ」
瞠目する美琳。バタバタと手戟を片付けると、自分の部屋へ駆けていく。
――『寝る』ことが当たり前なのだから、『寝ていない』ことを悟られてはいけない。それだけは村でもここでも変わらないと悟っていた。
美琳は〝面倒だなぁ〟と独りごちながら、一人戻った自室で朝を知らせる太鼓の音を息を潜めて待つのであった。
陽が昇り始める頃に、トーン、トーン、と王城からよく通る乾いた音が鳴り響く。それを合図に町は眠りから覚め、庶人は田畑へ向かい、商人は店を開ける。
もちろん兵舎も例外ではない。
雑魚寝をしていた兵士たちも目を覚まし、簡単な身支度を始める。寝ている間に乱れた髪を結い直し、着崩れていた着物を整えると、食堂で朝餉を食べる。食べ終えれば、当番がある者は兵舎を出て、非番の者は訓練場へ集まる。訓練場に集まった者たちは、体を鍛えたり、武器の確認をしたり、もしくは組み手で為合う者に分かれて、好きなように鍛錬をするのであった。
そんなむさくるしい男たちの熱気で満ちる訓練場の中の隅の方。そこに巨躯の男と華奢な少女が向かい合って立っていた。
手に二本の武器を持っている男、勇豪は目の前にいる少女に語りかける。
「非番のときは俺が直々に鍛えてやる。他の奴らはお前が女だから舐めてかかるだろうが、俺は一切手を抜かないからな」
男物の着物を着ている少女、美琳は背筋を伸ばして返事を返す。
「はい。よろしくお願いします、勇豪さん」
すると勇豪は眉間に皺を寄せる。
「今日からは〝大尉〟と呼べ。もうお前は文生様の連れじゃなく、一兵士となるんだ。軍の序列は守ってもらおう」
美琳は嫌そうな顔をした。が、尚も勇豪は言い募る。
「あとその女臭い喋り方はやめろ。お前のことは〝男〟として登録してあるんだ。顔はどうしようもないんだから、それくらいはしてもらうぞ。せめて〝あたし〟じゃなくて〝俺〟くらい使え」
「え……」
眉間に皺を寄せる美琳。勇豪の眉間にも深く溝が刻まれる。
「一応男物を着ちゃいるが、それのせいで台無しだ。軍の中でも外向きではお前を男として扱うように通達しておいたし、世間には女だってことはバレないようにしろ。万が一貴族連中にバレたら面倒なことになる。……ああ、それから」
ふと勇豪は顎に手を当てて、考える素振りをする。
「お前の〝美琳〟って名前だが……。もし聞かれたら、親に女の名前を付けられてしまって不服に思ってる、ってことにしておけ」
美琳の眉間の皺が深くなる。
「……まぁ、男として過ごすなら、そうなりますよね」
「出身地によっては逆の名前を付けるらしいからな。そんなに疑われないだろ。いや、疑われてもそれで押し通せ」
一理も二里もある勇豪の言い分に、美琳は大人しく首肯するしかない。
「……分かりました。気を付けます」
美琳が納得したのを確認すると、勇豪は一つ鼻息を鳴らして、美琳に一本の武器を渡した。
「こいつがお前の武器だ。大事に使えよ」
その武器の全長は美琳の身長と同程度で、彼女の小さな手には不釣り合いな長さである。上部には青銅の刃が付いており、まるで鎌のような形状の刃は、柄に対して垂直に括られている。更には柄の先端に細くて鋭く尖った刃も伸びていた。
勇豪は美琳が武器を受け取ると同時に説明を始め、少女は真剣な眼差しで耳を傾けた。
「戦では五人一組で隊を組んで動き、五人はそれぞれ役割が違う。まず一人目が手戟で敵に突っ込み、二人目が矛で一人目を援護する。三、四人目が弓で前線の敵の数を減らして、五人目が隊長として戟と盾で殿を務める」
美琳は頭の中で想像しながら、自分に手渡された武器を見やる。勇豪もその武器を見ながら淡々と話す。
「で、もう分かってるだろうが……。お前に渡したのは手戟だ」
「……そうでしょうね」
「最前線は戦闘が激しく死ぬ奴が多い。だがお前なら……」
「死なずに道を切り開ける」
「そういうこった」
合点がいった、と美琳が頷けば、勇豪はそのまま説明を続ける。
「手戟は、相手の首に引っかけて手前に引くのが基本の動きだ」
軽く手振りを加えながら勇豪が言うと、美琳は手にしている手戟を軽く弄る。
「ふぅん。見た目通り、鎌と同じ要領なんだ」
「そんなもんだな。だが人間の首は稲と違って簡単には斬れん。手戟を引っかけてる間に他の奴に狙われる、なんてのが当たり前だ。そういうときに矛を持った奴が兵の隙間を縫って援護すンのさ」
勇豪は手に持っている武器を見せる。
一見それは手戟に似ていた。が、長さが決定的に違う。その武器の全長は、大柄な勇豪の頭上を越える程だったのだ。
「こいつが戟だ。さっき話した通り殿の奴が盾と併せて使う。だがそれ以外は手戟とほぼ同じだ。だから俺は慣れたこっちを使ってお前に教える。……つーか、手戟は俺には小さくてな。弓でも剣でも教えられる自信はあるが、それだけはどうにもよ」
「はあ」
美琳は一寸も興味がない、といった相槌を打つと、続きを促した。
「そんなことより早く使い方を教えてください」
「おッ前……!」
彼女の態度に、勇豪のこめかみがひくりと動く。
「本当、文生様がいないと一気に、こう……雑になるな」
「あなただって雑じゃ……あ、なんでもないです」
ふい、と視線を逸らす美琳に、勇豪の眉尻が吊り上がる。
「ぜってぇしごき倒してやる」
そう言った勇豪が武器を構えたので、美琳も同じように構えるのであった。
――当然ながら、訓練初日の美琳が手戟を上手く扱える訳がなかった。
身の丈程ある手戟は、ただでさえ少女の細腕で扱うのには難しい。だのに、手捌きだけでなく、足捌きにも気を使わねばならないのは、なかなか堪えるものがあった。対して勇豪は戟を軽々と扱って見せた。美琳より頭二つ分も大きなその得物を、訓練場にいるどの兵よりも素早く、力強く、そして楽しそうに振るい続ける。だがただ自分が楽しむだけではない。戦場でどう立ち回れば良いのかというのを実践も交えながら話す。そして美琳がよろけて手戟を取り落とした瞬間、すかさず檄を飛ばす。
「もっとちゃんと見ろ! お前の目玉はどこに付いてんだ!」
「くッ……!」
美琳は勇豪に顔を叩かれ、地面に転がされる。だがすぐに立ち上がり、がむしゃらに勇豪に立ち向かう。
勇豪は思った以上にやる気を見せる美琳に関心し、指導に熱が入る。やがて時間を忘れて教え始めた。が、次第に違和感を感じていく。
(こいつ……全然息が乱れてなくないか? それに汗も掻いてない……。ただでさえやばい体なのに、これじゃ本当に……)
「勇豪さ……大尉? どうかしましたか?」
その声に勇豪は美琳に意識を戻す。すると彼女が不思議そうに小首を傾げていた。
どうやら手が止まっていたらしい。勇豪は荒くなった呼吸を整えつつ汗を拭って構えを解く。
「一旦休憩にするぞ」
「え? もうです、か……。あぁ、もうこんな時間なのね」
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美琳は得心し、武器を置いてぺたんと地面に座り込んだ。勇豪も武器を置くと水を飲みに井戸へ向かおうと動きかけ、つと美琳に振り返る。
「おい、お前も水分摂っておけ。井戸まで案内してやるから」
「や、あた、俺は別に……あ」
美琳は途中で言葉を止め、ちらちらと周囲を見回して逡巡しているようだった。
勇豪は訝しく思って見つめる。と、美琳が勢いよく立ち上がった。
「『ちょうど喉が乾いていた』ので助かります。昨日は井戸までは教わってなかったんです」
「おう……? そうか。食堂の裏手にあるから付いて来い」
美琳の煮え切らない態度を勇豪は妙に感じた。が、疲れ切った自分の喉を潤す方を優先したかった。勇豪はそのままずかずかと食堂に向かって歩き始める。すると自分の後ろから慌てて追ってくる気配がするのであった。
午前の疲れが和らいだ頃。勇豪は仕事に戻らなければいけない刻限になっていた。
勇豪は美琳に自主鍛錬の方法を簡潔に教え、怠けずにやるよう言いつけると、訓練場を離れて宮殿に向かっていった。
美琳はその後ろ姿をじっと見送っていると、これ幸いとばかりに若い兵士が二、三人近付いて来た。
「なぁ、メイリン、だっけか? 良かったらおれらが教えてやろうか? 大尉は厳しいだろ、おれらならやさし~く手解きしてやれるぜ?」
兵士らは下卑た笑いを浮かべ、少女に手を伸ばした。しかしその手が少女の腕を掴むことはなかった。瞬間的に美琳が大きく一歩下がっていたからだ。
一瞬、美琳は煩わしそうな顔をする。しかしすぐに優しく微笑んで彼らを見つめる。
「大丈夫です。大尉に言われたことをこなさないと、何を言われるか分からないので」
けれど兵士たちは諦めない。
「そんなこと言わずに、まだ始めたばかりで変な癖ついたら困るだろ? だからさ……」
そう追い縋ろうとした瞬間。兵士たちは美琳の顔を見て言葉を呑み込んだ。
パッと見は可憐で従順そうな佇まいの少女。なのに、その目は兵士たちを害獣のようにしか思っていないようだった。全身からは拒絶の意思が放たれ、兵士たちを黙らせるのには充分な迫力があった。
「い、いや~、確かに大丈夫そうだな、うん。なんか困ったらいつでも聞いてくれよ」
完全に怯え切った兵士らはそそくさと逃げていき、美琳は何事もなかったように訓練を再開するのであった。
夕陽が西に傾いていく。都城は茜色を身に纏い、太鼓の音が夜の到来を告げる。田畑にいた庶人たちは帰路に就き、商人は店仕舞いをする。月が昇る切る前には門が閉まり、星が瞬く頃には都城は寝静まる。
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そんな中美琳は、こっそりと部屋を抜け出し訓練場に向かう。月明かりを頼りに武器庫に辿り着くと、手戟を取り出し昼間教わったことをさらう。
――早く文生の傍に行きたい。
ただその一心で、何度も何度も、ただひたすらに武器を振り続ける。だが、その心中は到底穏やかなものとは言えなかった。
美琳の頭の中では、昼間勇豪に言われた言葉がぐるぐると巡り続けていた。
〝親に女の名前を付けられてしまって不服に思ってる〟
……そんなこと、たとえ嘘でも言いたくなかった。
美琳にとって『美琳』は一番の宝物であった。『美琳』という名は文生からもらったものの中で何よりも尊いものであるからだ。この名があるからこそ少女は『美琳』としての人生を歩め、文生に存在を認識してもらえるのだ。そんな大切なものを……。
「これは文生の元に行くためなんだから。堪えるのよ、美琳」
〝仕方ない、仕方ないことなのよ〟と、呪文のようにぼそぼそと繰り返しながら、美琳は一歩前に足を踏み出し、武器を振った。が、その拍子に小石を踏んでしまい、体勢が崩れる。カラン、と武器は放り出され、美琳も転がり倒れた。
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美琳はふと瞬く。その一瞬後、小さくも力強い光の玉が空中を漂っていた。
それを見た瞬間、美琳は破顔し、がばりと立ち上がって光に近寄る。
「こんなとこまで来てくれたの?」
すると光も嬉しそうに点滅し、美琳の顔の周りを一周する。その姿に美琳は笑みを浮かべる。
「ああ、あなたにまた会えるなんて。嬉しいわ」
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「でもあなた、森からこんなに離れて大丈夫なの?」
その言葉に光は頭を振るように動く。
「そうよね、あんまり長くはいられないよね。あ、良かったらここに乗る?」
そう言って美琳はお椀のようにして両手を差し出す。その掌に光はひょいと飛び乗る。
美琳はくすぐったそうに笑いながら光に語りかける。
「うふふ、あなたをこんな風に包めたのは初めてね。『なんだか不思議な気分』ってこういうときに言うのかしら」
光は優しく点滅する。頷いたような、微笑んだような、そんな慈愛に満ちた輝きで。
その輝きをじっと見つめていたら、美琳はある人物を思い出す。
「あぁ、婆様。いたわね、そんな人」
すると光が少女の掌の上でぴょんぴょんと跳ね、何事かを訴える。それに美琳は無垢な微笑みで礼を述べる。
「森に埋葬してくれたのね。ありがとう。そのままにしてたら文生が悲しむものね」
その言葉を聞くと、光は大人しくなる。そして今度は美琳が浮き立つ声で光に話しかける。
「そうそう、今日ね、また一つ覚えたことがあるの。あれくらい体を動かしたら『喉が渇く』んだって。いつもは文生がくれたのを飲むだけだったから、いつ言うのか加減が分からなかったわ」
母が子の話に耳を傾けるように、光は静かに揺らめく。
「文生といるためにはまだまだ新しいことを覚えなきゃね。……それに、嫌なことも我慢して、早く戦で活躍出来るようにならなくっちゃ……。ねぇ、あなたは何があっても私のこと応援してくれるでしょ?」
光は少女の掌を温かく照らすと、ふわりと浮いて少女の顔にすり寄る。美琳はくすぐったそうに笑う。
「ふふ、慰めてくれるの? ……でも大丈夫。これからはあたし一人で……。いいえ、文生と一緒にやっていけるわ。だからあなたも無理してこっちまで来なくていいのよ」
少女は先程よりも弱まった光を再び手で包むと、そっと夜空に掲げる。
「じゃあね」
その言葉に光は名残惜しそうに点滅する。と、光の真ん中に一筋の線が現れる。
線はゆっくりと開き、黒い三日月状に形作る。三日月はわずかに開閉し、音を発する。
「◼◼◼◼◼」
美琳は目をまん丸にさせた。が、すぐに光と同じように目を三日月へと変える。
「うん。ありがとう」
光は満足気に瞬くと、夜空へと戻って行くのであった。
美琳が光の向かった黒い夜空を眺めていると、空の下から薄く朱色が昇ってくる。
「え、もうそんな時間? 急いで部屋に戻らなくちゃ」
瞠目する美琳。バタバタと手戟を片付けると、自分の部屋へ駆けていく。
――『寝る』ことが当たり前なのだから、『寝ていない』ことを悟られてはいけない。それだけは村でもここでも変わらないと悟っていた。
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「たそかれ」という言葉は『万葉集』に
誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」
— 『万葉集』第10巻2240番
と登場するが、これは文字通り「誰ですかあなたは」という意味である。
「平安時代には『うつほ物語』に「たそかれどき」の用例が現れ、さらに『源氏物語』に
「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 夕顔の花」
— 『源氏物語』「夕顔」光源氏
と、現在のように「たそかれ」で時間帯を表す用例が現れる。
なおこの歌は、帖と登場人物の名「夕顔」の由来になった夕顔の歌への返歌である。
またこの言葉の比喩として、「最盛期は過ぎたが、多少は余力があり、滅亡するにはまだ早い状態」をという語句の用い方をする。
漢語「|黄昏《コウコン》」は日没後のまだ完全に暗くなっていない時刻を指す。「初昏」とも呼んでいた。十二時辰では「戌時」(午後7時から9時)に相当する。
「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
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