自分隠しのナルシスト達は付き合いたくないようなので、告白します。

せにな

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今朝

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 ――遡ること数十分前、勇が洗濯物を取りに行き、紗夜が机を退けているときだった。

 就寝してから4時間が経ち、熟睡していた2人だったが、千咲の寝相が悪かったのか顔に腕をぶつけられた匠海は体を起こした。
 まだ寝たかった匠海は二度寝を試みようとしたが、匠海が起き上がったことによって目を覚ましてしまった千咲により、眠れなくなってしまった。

「匠海起きてんじゃんー。おは~」
「……」

 やはりまだ眠気が勝る匠海に言葉を口にする元気はなく、無言を貫きながら自分の腕を枕代わりにして寝転び直す。

「匠海~?おは~」
「…………」

 二度匠海を呼んでも返事が返ってこないことに疑問を持った千咲は体を起こし、隣に眠る匠海の体をゆっくりと揺すぶる。

「匠海~?おはよ~」
「もう少し待ってくれ」

 やっと口を開いた匠海はギュッと目を閉じながら誰も使っていない枕を取ると、唸るように顔を枕に押し当てる。
 フワッと漂う枕に染み付いた千咲の匂いが匠海の思考を目覚めさせるが、そんなのはお構いなしに顔を押し当てる。

「もう昼だよー」
「……どうせ雨降ってるだろ?」
「めっちゃ降ってるよー。多分警報出てるねー」
「ならいいだろ。寝させてくれ」
「ダメでーす」

 グイッと勢いよく枕を抜き取ると「いでっ」という腑抜けた声を出した匠海はゆっくりと千咲の顔を見上げ、機嫌が悪そうに睨みを効かせる。

「お腹すいたでしょ?勇がフレンチトーストの仕込みしてくれてるから食べよー」
「…………寝たい」
「拒否。私はお腹すいたから一緒に行くよー」

 カーペットで寝転ぶ匠海の腕を掴んで「んーっしょ。んーっしょ」という掛け声で引っ張り出す千咲。さすがの匠海もこんなことをされれば寝れるわけもなく、素直に立ち上がって目をこする。

「てか、寝相悪いくせに寝起き良すぎだろ……」
「そう?」
「うんそうだね」

 他愛のない会話をする千咲と匠海は2人揃っって部屋を出ると、リビングから紗夜の叫び声とドンッっという大きな音が聞こえてくる。

「え、なに?泥棒か?」
「こんな昼間に来るわけ無いでしょ~」

 警戒心をマックスにする匠海とは真逆に、呑気な言葉を口にする千咲はフンフンと鼻歌を歌いながらスキップ気味な足取りでリビングに向かい出す。

「……なんでそんな呑気なんだ……」
「どうせあの2人がなにかしてるんでしょ~?そう考えたら面白くってさ~」
「…………ならよかったな」

 なにが面白いのか分からない匠海は怪訝な顔を浮かべながらも愉快な千咲についていく。
 すると、またもやリビングからドンッという音が聞こえ、紗夜の女の子らしい声が更に千咲の興奮を活性化させる。

「ねね!聞いた!?今の!」
「聞いたけど」
「めっっっっっっっっっちゃいい声だったね!」
「……姉の女子らしい声を聞いてどう反応したらいいだ……」
「素直に可愛いって言ったら良いんだよー」
「……もう一度言うけど、姉だぞ?」

 やはりなにが楽しいのか理解できない匠海は更に目を細め、無言で千咲の背中を見やる。だが、歓談だと思っている千咲は匠海の視線に気がつくこともなく、更に足取りが軽くなってしまった。
 気がつくと千咲と匠海はリビングの前に到着しており、千咲はニヤニヤと笑みを浮かべならが扉に耳をくっつけ、リビング内にいる二人の会話を楽しもうとした途端、

『……んっ』

 勇が紗夜のお腹を触ったときに耳を澄ませてしまった千咲は、真顔で扉から耳を離すと、なにを考えているのか分からない表情で匠海の顔を眺める。

「え、なに?」
「匠海も聞こえたでしょ?」
「ナニモキコエテナイヨ?」

 姉の喘ぎ声を聞いてしまったことを頭が受け入れていないのか、匠海は千咲からスッと視線を逸しながらカタコトで口を開いた。

「あの2人、ヤッてるよね」
「アッハハ。チサキサン、オモシロイコトイウネ」
「いやまじでヤッてるって。てかカタコト聞き取りづらいからやめて?」
「ごめん。でも、絶対それはない。あの純粋な姉さんがそんないかがわしいことするわけ無いだろ?」
「それを言うなら勇も純粋だよ~。だけど、本能的なやつでヤッてんじゃね?」
「……とりあえず、そういう思考に持っていくのはやめよ――」

 ヤッてるヤッてるという言葉が千咲から聞こえてくることに耐えきれない匠海はなんとかやめさそうと言葉を並べようとするが、中から聞こえてくる声によって匠海の言葉は遮られてしまう。

『――み、見ないでぇ……』

 千咲の興奮に更に追い打ちをかけてくる紗夜のか細い声で、完全に思考があっちに行ってしまった千咲はバッとドアの方に顔を向け、戸を握り1つ深呼吸をする。

「ち、千咲!?まさかとは思うけど入るのか!?」
「当たり前でしょ!?まだあの子達には早いの!匠海ももう分かったでしょ!?」
「んー……も、もう少し様子見よ――」

 どうにか千咲を止めようと様子見を提案しようとする匠海の言葉なんて最後まで聞かず、深呼吸を終えた千咲は勢いよく扉を開けて大声で叫びだす。

「――まだ早いぞ!2人とも!!」

 千咲が入ってきたことによって行動が止められた勇はポカンと間抜けな顔で千咲達を見つめ、勇に手首を握られて表情が赤らんでいた紗夜も勇同様に間抜けな表情で匠海達の方を見やる。
 一瞬、自分たちがどんな状況に置かれているのか理解できなかった2人だったが、すぐに状況理解したのか、見る見るうちに耳まで真っ赤になった勇と千咲は、忍者かのように物音1つ立てず、サッとお互いから距離を離した。

「お、起きてたんだな……千咲」
「お、おはよ~……匠海」

 どうにか笑顔を浮かべる勇と紗夜だったが、その笑顔はぎごちなく、どちらかといえば苦笑に近い笑顔を浮かべていた。

「ま、まさか……正常――」

 慌てて離れる姿を見た千咲は口元を手で覆い、ありえない言葉を発しようとする。

「――千咲??ちょっと黙ろうね。姉さんたちにその言葉はまだ早いから」
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