12 / 15
攻略対象者との日々―10歳―
第一王子の場合(腹黒王子)
しおりを挟む「やぁ、マイーナ嬢。今日も忙しいかい?」
「こんにちは、レオ様。そして、お帰りはあちらですわ」
笑顔で、手振りを付けて淑女らしく振る舞う。
3日に一度のペースでやってくる第一王子のレオ様。
初めのうちは、王族だし、お父様に迷惑かけるわけにはいかないから丁寧に対応してた。
けど、この人、それを逆手に取り…初めて会った時から毎日家に押し掛けるようになったのよ!!
「今日は、この間話していた茶葉を手に入れたんだ」
王子は私の言葉など聞こえてない風にスルーする。
「レオ様、本当にこんな頻度で来られては困ります!!」
一度、会いたくないとお父様にタダを捏ねたら、訪問は3日に一度になった。
そのまま、フェードアウトしてくれればいいのに。
何故か3日に一度の訪問にする条件が辛かった。
だけど、困るのだ。
私は、『婚約者』ではなく、『婚約者候補』なのだから。
王子を独り占めしていると、他の令嬢に言われているのに…!!
(むしろ、私はその令嬢達に熨斗付けて渡したいわ!!)
「んー、けど…私はさ…」
「レオ様、確か今日は男爵家の令嬢にお茶…」
ダンッ!!
ビクッ!!
テーブルに置かれた?、叩きつけられた茶葉の缶。
「レオ様っ…?」
「マイーナ嬢は、俺が嫌いかい?」
「…っ!?」
レオ様はテーブルを見ながら呟く。
(嫌い!!…になれてたらよかったけど)
本当は、心の何処かでレオ様が訪問してくださるのが楽しみになりつつある自分もいる。
「俺は…」
「レオ様…」
シュンとされると弱いのもあるのよね。
「…俺は絶対に誰にも渡さないっ…」
「レオ様、何か?」
小さな声で言われた言葉では聞き取れず。
魔力が私の周りに風の様に舞う。
「きゃっ!!」
「マイーナは、必ず私の后にする。それは変わらない!!」
レオ様の魔力で引きつけられ、抱きしめられる。
(この契約、ほんとイヤ…)
「マイーナ?余裕なんだね…そろそろ攻めようかなぁ」
「レオ様、どこを見てその様なっ…」
チュッ!!
「その顔、可愛い…マイーナ」
「ちょっと…レオ様っ…放してっ…ンっ」
レオ様は、いつもと変わらずキスをする。
それも、最近は深い方を…
「…ンっ、レオっさまっ…」
チュッ、ッ…
「マイーナ、可愛い。もっとッ…」
初めて会った時、レオ様は言った。
「私は君の半身だ!! それも深い処で繋がっている」
そんな事初対面で言われて、ある意味恐怖じゃない?
何をもってそんな事言ってるのか…
「マイーナ、だいぶ馴染んだようだね?」
「ハァ…ッ…」
レオ様は、私の胸…左側の紋章に触れる。
私の左胸、鎖骨には王族のみが使用できる魔法が施されている。
その魔法は、身体の中から全てを相手と繋げられる。
簡単にいえば、片方に何かあればもう片方にも伝わる。
身体版GPSの様なモノ。
毎日の訪問を断ったら、いつの間にか入れられてたモノだ。
(多分…9歳の誕生日の時に施されたんだろう…)
あの日、身体中痛く、熱発してたし。
「マイーナは俺のモノ。そして、俺はマイーナのモノだよ?」
「ンっ…」
レオ様に紋章をキスされると、恥ずかしいやらなんだで…。
「レオ様ッ…」
やっぱり、絆されてしまうんだよなぁ。
0
あなたにおすすめの小説
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
所(世界)変われば品(常識)変わる
章槻雅希
恋愛
前世の記憶を持って転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢。王太子の婚約者であり、ヒロインが彼のルートでハッピーエンドを迎えれば身の破滅が待っている。修道院送りという名の道中での襲撃暗殺END。
それを避けるために周囲の環境を整え家族と婚約者とその家族という理解者も得ていよいよゲームスタート。
予想通り、ヒロインも転生者だった。しかもお花畑乙女ゲーム脳。でも地頭は悪くなさそう?
ならば、ヒロインに現実を突きつけましょう。思い込みを矯正すれば多分有能な女官になれそうですし。
完結まで予約投稿済み。
全21話。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる