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攻略対象者との日々―10歳―
新しい攻略対象者?(護衛の場合)
しおりを挟む「また、泣いてるのか?」
「泣いてない!!」
「そんな顔で何言ってるんだか・・・」
いつも泣いてる時、すぐ気付いてくれたね。
どんなに誤魔化しても、君だけは騙せなかった。
「お前は、笑ってる方がいいぞ!!」
「泣き虫は治せよ?」
「強がるのもいいが、余り無理するな」
そう月日は経っていない時に話した事、遊んだ事。
ユーナとは、何故かいつもコソコソ話してるし。
一度聞いたら、なんて言ったか覚えてる?
「お前は・・・マイーナはそのままでいてくれ」
そう、何処か寂しげな顔付きで言ってたわね。
私は、その顔が未だに忘れられない。
どうして・・・あの時、あんな事言ったの?
ねぇ・・・教えてよ。
「リッド・・・」
――――――――――――――――――――
「父さん、暫くココに居させてくれ」
「はぁ?! お前は、久しぶりの帰ってきてそれか・・・他に言うことあるだろ!!」
「父さんに貰った剣、昨日折れたから治しといて」
「折れた? なんで折れるんだよ!!」
「多分、微妙だったとか?」
「おい!! 俺が打った剣に文句あるなら表出ろー!!
相手してやんよ!!」
いつの間にか、リールという男の子に連れられてきた所は、鍛冶屋のようだ。
そして、目の前で喧嘩をしている。
(リールって、最近雇ったという護衛よね・・・?)
この頃、市街地に出る様になると、面白い程に誘拐に合う。なので、心配したお父様が護衛として雇ったのがリールだ。
顔合わせはしていたが、基本表に出てくる事がなく、ある意味顔合わせ以来の対面だ。
う~だけど、あの、前に感じた事のある雰囲気があるんだよねぇ。
「一度、私と会った事あります?」
初対面でそんな事を言ったのは、懐かしい記憶だ。(だけど、それは一週間前だったりする)
今日初めて傍にいて、何か引っかかるんだけど・・・何がそれを示すか解らない。
(まぁ、ユーナやリオンが私の傍に信用ならない者を許可しないしね・・・)
あの二人は、5年前よりかなりの過保護に磨きがかかっている。
「で、お前は何をしにきたんだ」
「あ~いつもの騒ぎでさぁ~。今日はお嬢も一緒だったから」
ニコッと笑顔で私に視線を向ける。
「いきなりの訪問すみません、マイーナと・・・」
「あ~お嬢様の事は知ってるから、頭下げないでください」
「お嬢はこの街では有名人だからな」
ニヤとリールが笑いながら言う。
(えっ? 私なんで有名なの? そんなに街には来たことがないのに・・・)
「ある意味、お嬢様の家はこの街では有名なんだ」
「へっ?」
「この街は、公爵家の方達のおかげで、平和に過ごせてるからな~」
そういえば、前にお父様が言ってたなぁ。
この街の近くは、魔物が多く住んでるって。
だから、色々と魔法具を開発したって。
そのおかげが、未だに街まで魔物が攻めてくるってことは一度もない。
まぁ、半分は週に五日お父様か森に赴いて、ストレス発散と言う名の魔物狩りしてるみたいだけど。
一度、血塗れの笑顔で朝方帰ってきたお父様見た時は驚いたもの。
「まぁ、お嬢の家族はある意味規格外が多いからなぁ~」
「何? リールなんて言った?」
「イヤ~楽しい職場で嬉しいなぁって」
「??」
「なんでもないさ、気にしないでください」
ニコッと人好きがしそうな笑顔で笑うリール。
その顔がどこか懐かしく感じる自分が居たのはなぜだろう。
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