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マメ柴のシバ
レンタルペット
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さゆりは呆然と部屋に戻り、室内のローテーブルに残されたメモを発見した。
『シバくんを週末だけ借ります。
勝手に連れ出してごめんなさい。
日曜の夜にはまた連れて来ます。
さゆりちゃんはよかったら2日間好きに過ごしてリフレッシュしてね。
えりか
連絡先:erica-naito(LINE)』
最後の連絡先を見て、さゆりはすぐにえりかのIDを登録して電話を掛けたが、彼女は出なかった。
一体何なんだ。頭が混乱する。えりかはなぜこんなことをしたのか。
メモを見るまでは、さゆりが未成年に虐待を加えている可能性を考えてシバを救出したのかと思った。
しかし、メモの様子だとそんな感じではない。
まあ、犯罪者を油断させるための演出の可能性もあるが。
次に考えたのは、えりかが本当に気を遣ってシバの子守を引き受けてくれた可能性だ。
確かにさゆりはこの1週間、シバに振り回されて疲弊していたし、それをえりかに吐露した。
えりかがさゆりに声を掛けたのも、食事に誘ったのも、家まで来たのも、態度から推測すると全てさゆりへの気遣いと親切心である。
しかし、何故そこまでしてくれるのかという疑問が残る。
さゆりとえりかは、今だってほぼ他人の関係だ。
あとは、非現実的な存在への好奇心とか。…まさかね。そんな短絡的な。
ぐるぐると考えていると、LINEの着信音がした。
画面には先ほど初めて見たえりかのアイコン画像が表示されている。慌てて通話ボタンを押した。
「もしもしさゆりちゃん?ごめんなさい急に帰っちゃって。」
「シバと一緒なんですよね?勝手に何で連れて行ったんですか?」
つい語気が荒くなる。
「その方が週末さゆりちゃんがくつろげると思って…。疲れてそうだし。何も言わずに連れ出しちゃったのは良くなかったけど、さゆりちゃんがいたらシバくんが離れないかと思って。」
どうやら、心配しくれてのことみたいだ。
「そうだとしても、えりかさんにそこまでして頂く理由がありません。」
「でも、裸のまま部屋に閉じ込めておいて相手はしないなんてシバくんに良いことにも思えないし…。」
虐待も疑われていたらしい。
「服は本人が着ないのだし、あの耳と尻尾のまま外には出せないし、問題行動があるから躾をしているんです。」
「躾ってそんな。犬じゃないんだし。」
「犬です。」
「犬じゃないでしょ。異世界の生物なんだから。少なくとも、私には犬に見えないよ。正直、この子がどんな生き物なのか興味があるんだよね。
せめて1日だけでも預かって観察したい。」
短絡的な好奇心もあったみたいだ。
「…じゃあ、1日ですよ。あと、暴れて迷惑かけるようなら教えてください。よろしくお願いします。」
さゆりは折れた。面倒になったというのもあるし、元来流されやすく事勿れ主義なのだ。
悪意で連れ去ったとしたら、こうして連絡先を教えることはないだろう。
仮にそうだとしてもえりかの所在が分からないので、強制的に連れ戻す術もない。
返すと言っているなら、まずは履行されるか様子を見るしかないと思った。
「はーい。さゆりちゃん、ありがとうね。今のところシバくん大人しくしてるし元気だよ。言葉は何言ってるか分からないけど、ハチに懐いてるみたいでよく話しかけてる。」
「え?」
『シバくんを週末だけ借ります。
勝手に連れ出してごめんなさい。
日曜の夜にはまた連れて来ます。
さゆりちゃんはよかったら2日間好きに過ごしてリフレッシュしてね。
えりか
連絡先:erica-naito(LINE)』
最後の連絡先を見て、さゆりはすぐにえりかのIDを登録して電話を掛けたが、彼女は出なかった。
一体何なんだ。頭が混乱する。えりかはなぜこんなことをしたのか。
メモを見るまでは、さゆりが未成年に虐待を加えている可能性を考えてシバを救出したのかと思った。
しかし、メモの様子だとそんな感じではない。
まあ、犯罪者を油断させるための演出の可能性もあるが。
次に考えたのは、えりかが本当に気を遣ってシバの子守を引き受けてくれた可能性だ。
確かにさゆりはこの1週間、シバに振り回されて疲弊していたし、それをえりかに吐露した。
えりかがさゆりに声を掛けたのも、食事に誘ったのも、家まで来たのも、態度から推測すると全てさゆりへの気遣いと親切心である。
しかし、何故そこまでしてくれるのかという疑問が残る。
さゆりとえりかは、今だってほぼ他人の関係だ。
あとは、非現実的な存在への好奇心とか。…まさかね。そんな短絡的な。
ぐるぐると考えていると、LINEの着信音がした。
画面には先ほど初めて見たえりかのアイコン画像が表示されている。慌てて通話ボタンを押した。
「もしもしさゆりちゃん?ごめんなさい急に帰っちゃって。」
「シバと一緒なんですよね?勝手に何で連れて行ったんですか?」
つい語気が荒くなる。
「その方が週末さゆりちゃんがくつろげると思って…。疲れてそうだし。何も言わずに連れ出しちゃったのは良くなかったけど、さゆりちゃんがいたらシバくんが離れないかと思って。」
どうやら、心配しくれてのことみたいだ。
「そうだとしても、えりかさんにそこまでして頂く理由がありません。」
「でも、裸のまま部屋に閉じ込めておいて相手はしないなんてシバくんに良いことにも思えないし…。」
虐待も疑われていたらしい。
「服は本人が着ないのだし、あの耳と尻尾のまま外には出せないし、問題行動があるから躾をしているんです。」
「躾ってそんな。犬じゃないんだし。」
「犬です。」
「犬じゃないでしょ。異世界の生物なんだから。少なくとも、私には犬に見えないよ。正直、この子がどんな生き物なのか興味があるんだよね。
せめて1日だけでも預かって観察したい。」
短絡的な好奇心もあったみたいだ。
「…じゃあ、1日ですよ。あと、暴れて迷惑かけるようなら教えてください。よろしくお願いします。」
さゆりは折れた。面倒になったというのもあるし、元来流されやすく事勿れ主義なのだ。
悪意で連れ去ったとしたら、こうして連絡先を教えることはないだろう。
仮にそうだとしてもえりかの所在が分からないので、強制的に連れ戻す術もない。
返すと言っているなら、まずは履行されるか様子を見るしかないと思った。
「はーい。さゆりちゃん、ありがとうね。今のところシバくん大人しくしてるし元気だよ。言葉は何言ってるか分からないけど、ハチに懐いてるみたいでよく話しかけてる。」
「え?」
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