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マメ柴のシバ
デザートにプリン
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えりかたちが帰った後、簡単に後片付けをすると、さゆりはシバの衣類を広げて確認した。
えりかが持って来てくれた、きみやの要らなくなった衣類たちである。
体格差のせいでダボダボだが、新しく買う余裕はないためありがたかった。
シバは、後3週間ほどすれば元の世界に帰るのだ。
その事実は、今となっては少し寂しいものだった。
とはいえ戸籍はないし、そもそも獣人自体この世界にいて差し障りないデザインでもないため、ずっとさゆりが面倒みるわけにもいかない。
あまり情を移さないようにしないとなぁなんて、今更かもしれないが。
作業の間中シバはさゆりの隣に座って待っていた。
足先がさゆりの脛にくっつくので、窮屈かと思い体をずらしてもまたぴとっと足をつけて来る。
態とくっつけているのだと気付いて、あーもうこれ完全に情がうつるやつだと思った。
「シバ、プリン食べる?」
衣服を適当なケースに収めて片付けたあと、
ぬいぐるみと戯れているシバに聞いた。
「プリン?」
そうか。まだ食べさせたことなかった。
キッチンに向かい冷蔵庫からプリンを出して、
プッチンと型の底にあるプラスチックの突起を折ると、ゲル状の半固体はつるりと平皿に落ちた。
食べやすいようにカレースプーンを用意する。横で鼻面を突っ込んで来るシバをいなしながらちゃぶ台に向かった。
「はいプリン。美味しいよ。」
シバを座らせてスプーンを渡すと、柄を握りこんでプリンに突き立てた。
少したどたどしいが、滑るゲルの欠片を落とさないように口に運び込む。
「おいしー!!」
まあ、やると思ったがその後は皿に顔を突っ込んで直接いった。
数口で吸い込んだあとは皿をペロペロ舐めている。
それでちゃんと味わえるのか。不安になった。
「それね、長谷川さんに貰ったの。」
長谷川という言葉に、シバはビクリと肩をすくめる。
やはりシバの中では、長谷川は恐ろしい憲兵の認識だったかと少し落胆した。
元はと言えばその誤解はさゆりにも原因の一端がある。
しかしさゆりの明日の予定のためには、シバを説得する必要があった。
「長谷川さんが、シバにってくれたんだよ。」
「…ほんと?」
「そうそう。」
まあ、嘘だが。
「長谷川さんは、もうシバのこと怒ってないよ。でもね、うるさくしちゃったのは私とシバだから、私と一緒にシバも謝りに行ってくれない?」
「シバのこと怒らない?」
「怒らないよ。」
なんとなく、昼間の様子からちゃんと謝れば長谷川は許してくれる気がしていた。
だから明日早いうちに謝ってしまおうと思ったのだ。
えりかに事情を話さなかったのは、金銭を要求された下りを話したら面倒そうだと判断したからである。
あの行動力の塊なら、知ったとたんこれからそいつを殴りに行こうかとYeahYeahYeahしかねない。
隣人である以上はなるべく穏便に済ませたかった。
シバはしばらく皿を見つめたあと、
「うん。シバ、謝る。」
そう答えた。思わず頭をくしゃくしゃと撫でる。
シバのしっぽがパタパタ揺れた。
「さゆりは?」
「ん?」
「さゆりはシバのこと、怒ってない?シバ、悪い子にしてたから。」
えりかが持って来てくれた、きみやの要らなくなった衣類たちである。
体格差のせいでダボダボだが、新しく買う余裕はないためありがたかった。
シバは、後3週間ほどすれば元の世界に帰るのだ。
その事実は、今となっては少し寂しいものだった。
とはいえ戸籍はないし、そもそも獣人自体この世界にいて差し障りないデザインでもないため、ずっとさゆりが面倒みるわけにもいかない。
あまり情を移さないようにしないとなぁなんて、今更かもしれないが。
作業の間中シバはさゆりの隣に座って待っていた。
足先がさゆりの脛にくっつくので、窮屈かと思い体をずらしてもまたぴとっと足をつけて来る。
態とくっつけているのだと気付いて、あーもうこれ完全に情がうつるやつだと思った。
「シバ、プリン食べる?」
衣服を適当なケースに収めて片付けたあと、
ぬいぐるみと戯れているシバに聞いた。
「プリン?」
そうか。まだ食べさせたことなかった。
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プッチンと型の底にあるプラスチックの突起を折ると、ゲル状の半固体はつるりと平皿に落ちた。
食べやすいようにカレースプーンを用意する。横で鼻面を突っ込んで来るシバをいなしながらちゃぶ台に向かった。
「はいプリン。美味しいよ。」
シバを座らせてスプーンを渡すと、柄を握りこんでプリンに突き立てた。
少したどたどしいが、滑るゲルの欠片を落とさないように口に運び込む。
「おいしー!!」
まあ、やると思ったがその後は皿に顔を突っ込んで直接いった。
数口で吸い込んだあとは皿をペロペロ舐めている。
それでちゃんと味わえるのか。不安になった。
「それね、長谷川さんに貰ったの。」
長谷川という言葉に、シバはビクリと肩をすくめる。
やはりシバの中では、長谷川は恐ろしい憲兵の認識だったかと少し落胆した。
元はと言えばその誤解はさゆりにも原因の一端がある。
しかしさゆりの明日の予定のためには、シバを説得する必要があった。
「長谷川さんが、シバにってくれたんだよ。」
「…ほんと?」
「そうそう。」
まあ、嘘だが。
「長谷川さんは、もうシバのこと怒ってないよ。でもね、うるさくしちゃったのは私とシバだから、私と一緒にシバも謝りに行ってくれない?」
「シバのこと怒らない?」
「怒らないよ。」
なんとなく、昼間の様子からちゃんと謝れば長谷川は許してくれる気がしていた。
だから明日早いうちに謝ってしまおうと思ったのだ。
えりかに事情を話さなかったのは、金銭を要求された下りを話したら面倒そうだと判断したからである。
あの行動力の塊なら、知ったとたんこれからそいつを殴りに行こうかとYeahYeahYeahしかねない。
隣人である以上はなるべく穏便に済ませたかった。
シバはしばらく皿を見つめたあと、
「うん。シバ、謝る。」
そう答えた。思わず頭をくしゃくしゃと撫でる。
シバのしっぽがパタパタ揺れた。
「さゆりは?」
「ん?」
「さゆりはシバのこと、怒ってない?シバ、悪い子にしてたから。」
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