次郎と俺のハナシ

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2章 水の城にて

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 海辺の街では気にならなかったが、随分と日焼けしていたらしい。

 会った子供たちから、こんがり焼けたね、美味しくなった?といわれた。何故かパン扱いされてる。
 1ヶ月何してたの?と聞かれ、かき氷屋、というと、早速かき氷の腕を披露する羽目になった。

 もっとかき氷のせて!とクレームが多発した。

 海辺の街での生活は、次郎が好きだったかき氷を沢山作れる上に、観光客にも喜んでもらえるし、何故か夜には次郎との過去の夢を見られるしで、良いことづくめだった。

 もっと次郎との過去の夢を見たくて、ズルズルと海辺の街に居座ったところもある。次郎はやっぱり海にいるのかもしれない。

 もし、近い場所なら夢に現れてくれるんじゃないかって期待した。いつだって次郎に会いたいのだ。

 今度、海に似たところにいる次郎に会えたら、何を言おうか、もっと側に行かせてくれるだろうか、何か持って行けたら何を持って行こうか、とか考えることが沢山ある。

 けれど1番は、側で一緒に眠って、次郎が起きた時に、おはよう、と言いたい。

 おはよう、と笑ってくれたらこれ以上、幸せなことはないのに。


***

 家に帰ってから、ベットで転がってぼんやりしてたが、やっと決心がついて、机の引き出しから砂の大陸の次郎がくれた緑の冊子を取り出した。

 以前、次郎のゲームの通信相手が次郎から預かってくれてた冊子。

 緑の表紙は砂の大陸の次郎の目に似てて、愛おしくなって表紙を撫でた。どんな気持ちでこの表紙を選んでくれたのだろうか。どんな気持ちで書いてくれたのだろうか。

 次郎に話したいこともいっぱい増えたけれど、次郎に聞きたいこともいっぱい増えてきて笑ってしまった。

 幾らでも話したいことがあって、幸せな気持ちになった。次郎を好きになって、俺の一生分の愛がここにある。幸運なことだった。

 緑の冊子に書いてあることを実行するときが来たように思う。時が来たというよりも、一生来ない気がして時を自ら満たすのだ。

 この冊子の内容を全て終わらせたときどうなるんだろうとか、何処かへ行くなら次郎と行きたいなとこんな風に思ってしまって、せっかく用意してくれた冊子をまた見ることができなかったから。

 ふと、新しい冊子を作ろうと思った。

 新しい冊子を作りながら進んでいくべきなのかもしれない。自分のためでもあるけれど、俺から次郎宛にも。

 水の城の次郎と砂の大陸の次郎の目の色。水色と緑色を混ぜてお互いを消さないように、尊重できるような色。
 表紙選びで躓きそうだなと笑ってしまった。

 けれど、その時間も愛おしいものだろう。俺にとっての唯一は2人であって1人だから。

 水の城の次郎とは幼馴染で、砂の大陸の次郎とは兄弟のようなものだった。関係性が変わっても、根底にある感情は変わらず、どちらも愛おしかった。

 俺が次に次郎に会うときは、次郎にもらった冊子と俺が書いた冊子を持って会いにいこう。次郎がくれた冊子でどれだけ俺が幸せになったかと礼を伝えて、愛してると抱きしめたいから。
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