18 / 42
3章 焔の山にて
18
しおりを挟む
砂の大陸の次郎が書いた冊子の一番最初に記載されていた場所は、水の城の隣国、焔の山だった。
焔の山に住む人は気性が荒い人が多く、諸説では国の由来となった山を喧嘩の末に燃やしたらしい。怖すぎる。
燃えた山は、空気が乾燥していたのか理由は未だ定かではないが、すごい勢いで燃え広がり、1ヶ月は燃え続けたことで、この国の名の由来とまでになった。
一千年前の人達のネーミングセンスは相変わらず自分達が見たまんまである。
いきなり此処かと少しドギドキする。何かやらかして燃やされたらどうしようとか考えてしまう。焔の山に住む人は今でも良く燃やすのだ、本当に、色々と。
流石に人を燃やしたとは聞いたことがないし、報道もされてないので、大丈夫だと信じたい。きっと、大丈夫。
母に、焔の山に行くことにした、というと、燃やされない?と消火器を持ってこられた。どうしよう。抱え込んでいくべきだろうか。
水の城の人は炎を怖がっている節がある。水と炎の関係性でいえば、水の方が有利な気がするのに、神経質な太刀のせいで考え込んでしまうのだ。
近所の子どもたちにも、焔の山に行くことを伝えると、火葬されに行くの?と言われた。冗談じゃない冗談である。
気持ち的にはそんな感じ、と伝えると、お葬式は水の城でするから帰ってきてね、と言われた。焔の山で火葬されたら骨も残らないのではないだろうか。心配事が増えた。
とりあえず、焔の山まで馬車で行くことに決めた。
けれど、ここで問題が発生した。お金が無い。とてもシンプルで重大な事案である。
焔の山まで徒歩で行くか悩んだが、そこまでの体力がどう考えても無さそうだし、行く前に行き倒れになりそうな自分がいる。
これはもう仕方ないので、お金が無いなら働くしか無い。近所でバイトしてから行くことにする。
焔の山まで行く馬車代が無いのは仕方ないけれど、最近、俺は馬車代を稼ぎがちな気がしてきた。
短期のバイトを探していることを周囲に伝えたら、あれよあれよと、近所の八百屋で1ヶ月の短期のバイトに決定した。
八百屋のお婆ちゃんが腰を痛めたらしいから丁度いいと周囲に言われるがまま、流された結果である。
頭の中で流れる素麺みたいな気分ってこんな感じかなと考えていた。
八百屋に来るお客さんには、大きくなったね、とまた言う爺ちゃん婆ちゃんもいたし、ここの野菜は見た目が普通だね、という近所の人もいた。
俺は此処の野菜は作ってないからね、というと、そりゃそうだ、と納得された。不思議な会話である。
レジで値段を間違えて、千円が一千万になった時はあまりの桁の違いに怒られるどころか爆笑されたし、俺にはレジは向いていないのかもしれない。
今度、次郎にあったら、レジは次郎に担当してもらうことを伝えなきゃいけない。人には向き不向きがあるのだ。
野菜も、今日はこれが美味しいよ、というと、食べたの?と言われ、食べた、というと笑われた。
八百屋のお婆ちゃんからは少しぐらいなら食べていいと言われていたので。
野菜をモソモソ食べながら1ヶ月が過ぎた。食べ過ぎだ、と八百屋のお婆ちゃんから怒られた。
売上は良かったらしく、複雑な表情をされたが、ため息を吐いた後、ありがとうね、と言われた。
焔の山に住む人は気性が荒い人が多く、諸説では国の由来となった山を喧嘩の末に燃やしたらしい。怖すぎる。
燃えた山は、空気が乾燥していたのか理由は未だ定かではないが、すごい勢いで燃え広がり、1ヶ月は燃え続けたことで、この国の名の由来とまでになった。
一千年前の人達のネーミングセンスは相変わらず自分達が見たまんまである。
いきなり此処かと少しドギドキする。何かやらかして燃やされたらどうしようとか考えてしまう。焔の山に住む人は今でも良く燃やすのだ、本当に、色々と。
流石に人を燃やしたとは聞いたことがないし、報道もされてないので、大丈夫だと信じたい。きっと、大丈夫。
母に、焔の山に行くことにした、というと、燃やされない?と消火器を持ってこられた。どうしよう。抱え込んでいくべきだろうか。
水の城の人は炎を怖がっている節がある。水と炎の関係性でいえば、水の方が有利な気がするのに、神経質な太刀のせいで考え込んでしまうのだ。
近所の子どもたちにも、焔の山に行くことを伝えると、火葬されに行くの?と言われた。冗談じゃない冗談である。
気持ち的にはそんな感じ、と伝えると、お葬式は水の城でするから帰ってきてね、と言われた。焔の山で火葬されたら骨も残らないのではないだろうか。心配事が増えた。
とりあえず、焔の山まで馬車で行くことに決めた。
けれど、ここで問題が発生した。お金が無い。とてもシンプルで重大な事案である。
焔の山まで徒歩で行くか悩んだが、そこまでの体力がどう考えても無さそうだし、行く前に行き倒れになりそうな自分がいる。
これはもう仕方ないので、お金が無いなら働くしか無い。近所でバイトしてから行くことにする。
焔の山まで行く馬車代が無いのは仕方ないけれど、最近、俺は馬車代を稼ぎがちな気がしてきた。
短期のバイトを探していることを周囲に伝えたら、あれよあれよと、近所の八百屋で1ヶ月の短期のバイトに決定した。
八百屋のお婆ちゃんが腰を痛めたらしいから丁度いいと周囲に言われるがまま、流された結果である。
頭の中で流れる素麺みたいな気分ってこんな感じかなと考えていた。
八百屋に来るお客さんには、大きくなったね、とまた言う爺ちゃん婆ちゃんもいたし、ここの野菜は見た目が普通だね、という近所の人もいた。
俺は此処の野菜は作ってないからね、というと、そりゃそうだ、と納得された。不思議な会話である。
レジで値段を間違えて、千円が一千万になった時はあまりの桁の違いに怒られるどころか爆笑されたし、俺にはレジは向いていないのかもしれない。
今度、次郎にあったら、レジは次郎に担当してもらうことを伝えなきゃいけない。人には向き不向きがあるのだ。
野菜も、今日はこれが美味しいよ、というと、食べたの?と言われ、食べた、というと笑われた。
八百屋のお婆ちゃんからは少しぐらいなら食べていいと言われていたので。
野菜をモソモソ食べながら1ヶ月が過ぎた。食べ過ぎだ、と八百屋のお婆ちゃんから怒られた。
売上は良かったらしく、複雑な表情をされたが、ため息を吐いた後、ありがとうね、と言われた。
10
あなたにおすすめの小説
届かない手を握って
伊原 織
BL
「好きな人には、好きな人がいる」
高校生の凪(なぎ)は、幼馴染の湊人(みなと)に片想いをしている。しかし湊人には可愛くてお似合いな彼女がいる。
この気持ちを隠さなければいけないと思う凪は湊人と距離を置こうとするが、友達も彼女も大事にしたい湊人からなかなか離れることができないでいた。
そんなある日、凪は、女好きで有名な律希(りつき)に湊人への気持ち知られてしまう。黙っていてもらう代わりに律希から提案されたのは、律希と付き合うことだった───
【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。
ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。
幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。
逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。
見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。
何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。
しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。
お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。
主人公楓目線の、片思いBL。
プラトニックラブ。
いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。
2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。
最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。
(この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。)
番外編は、2人の高校時代のお話。
もしも願いが叶うなら、あの頃にかえりたい
マカリ
BL
幼馴染だった親友が、突然『サヨナラ』も言わずに、引っ越してしまった高校三年の夏。
しばらく、落ち込んでいたが、大学受験の忙しさが気を紛らわせ、いつの間にか『過去』の事になっていた。
社会人になり、そんなことがあったのも忘れていた、ある日の事。
新しい取引先の担当者が、偶然にもその幼馴染で……
あの夏の日々が蘇る。
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
双葉の恋 -crossroads of fate-
真田晃
BL
バイト先である、小さな喫茶店。
いつもの席でいつもの珈琲を注文する営業マンの彼に、僕は淡い想いを寄せていた。
しかし、恋人に酷い捨てられ方をされた過去があり、その傷が未だ癒えずにいる。
営業マンの彼、誠のと距離が縮まる中、僕を捨てた元彼、悠と突然の再会。
僕を捨てた筈なのに。変わらぬ態度と初めて見る殆さに、無下に突き放す事が出来ずにいた。
誠との関係が進展していく中、悠と過ごす内に次第に明らかになっていくあの日の『真実』。
それは余りに残酷な運命で、僕の想像を遥かに越えるものだった──
※これは、フィクションです。
想像で描かれたものであり、現実とは異なります。
**
旧概要
バイト先の喫茶店にいつも来る
スーツ姿の気になる彼。
僕をこの道に引き込んでおきながら
結婚してしまった元彼。
その間で悪戯に揺れ動く、僕の運命のお話。
僕たちの行く末は、なんと、お題次第!?
(お題次第で話が進みますので、詳細に書けなかったり、飛んだり、やきもきする所があるかと思います…ご了承を)
*ブログにて、キャライメージ画を載せております。(メーカーで作成)
もしご興味がありましたら、見てやって下さい。
あるアプリでお題小説チャレンジをしています
毎日チームリーダーが3つのお題を出し、それを全て使ってSSを作ります
その中で生まれたお話
何だか勿体ないので上げる事にしました
見切り発車で始まった為、どうなるか作者もわかりません…
毎日更新出来るように頑張ります!
注:タイトルにあるのがお題です
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる