次郎と俺のハナシ

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3章 焔の山にて

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 砂の大陸の次郎が書いた冊子の一番最初に記載されていた場所は、水の城の隣国、焔の山だった。

 焔の山に住む人は気性が荒い人が多く、諸説では国の由来となった山を喧嘩の末に燃やしたらしい。怖すぎる。

 燃えた山は、空気が乾燥していたのか理由は未だ定かではないが、すごい勢いで燃え広がり、1ヶ月は燃え続けたことで、この国の名の由来とまでになった。

 一千年前の人達のネーミングセンスは相変わらず自分達が見たまんまである。

 いきなり此処かと少しドギドキする。何かやらかして燃やされたらどうしようとか考えてしまう。焔の山に住む人は今でも良く燃やすのだ、本当に、色々と。

 流石に人を燃やしたとは聞いたことがないし、報道もされてないので、大丈夫だと信じたい。きっと、大丈夫。

 母に、焔の山に行くことにした、というと、燃やされない?と消火器を持ってこられた。どうしよう。抱え込んでいくべきだろうか。

 水の城の人は炎を怖がっている節がある。水と炎の関係性でいえば、水の方が有利な気がするのに、神経質な太刀のせいで考え込んでしまうのだ。

 近所の子どもたちにも、焔の山に行くことを伝えると、火葬されに行くの?と言われた。冗談じゃない冗談である。
 気持ち的にはそんな感じ、と伝えると、お葬式は水の城でするから帰ってきてね、と言われた。焔の山で火葬されたら骨も残らないのではないだろうか。心配事が増えた。

 とりあえず、焔の山まで馬車で行くことに決めた。

 けれど、ここで問題が発生した。お金が無い。とてもシンプルで重大な事案である。
 焔の山まで徒歩で行くか悩んだが、そこまでの体力がどう考えても無さそうだし、行く前に行き倒れになりそうな自分がいる。

 これはもう仕方ないので、お金が無いなら働くしか無い。近所でバイトしてから行くことにする。
 焔の山まで行く馬車代が無いのは仕方ないけれど、最近、俺は馬車代を稼ぎがちな気がしてきた。

 短期のバイトを探していることを周囲に伝えたら、あれよあれよと、近所の八百屋で1ヶ月の短期のバイトに決定した。

 八百屋のお婆ちゃんが腰を痛めたらしいから丁度いいと周囲に言われるがまま、流された結果である。
 頭の中で流れる素麺みたいな気分ってこんな感じかなと考えていた。

 八百屋に来るお客さんには、大きくなったね、とまた言う爺ちゃん婆ちゃんもいたし、ここの野菜は見た目が普通だね、という近所の人もいた。
 俺は此処の野菜は作ってないからね、というと、そりゃそうだ、と納得された。不思議な会話である。

 レジで値段を間違えて、千円が一千万になった時はあまりの桁の違いに怒られるどころか爆笑されたし、俺にはレジは向いていないのかもしれない。

 今度、次郎にあったら、レジは次郎に担当してもらうことを伝えなきゃいけない。人には向き不向きがあるのだ。

 野菜も、今日はこれが美味しいよ、というと、食べたの?と言われ、食べた、というと笑われた。
 八百屋のお婆ちゃんからは少しぐらいなら食べていいと言われていたので。

 野菜をモソモソ食べながら1ヶ月が過ぎた。食べ過ぎだ、と八百屋のお婆ちゃんから怒られた。
 売上は良かったらしく、複雑な表情をされたが、ため息を吐いた後、ありがとうね、と言われた。
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