30年に一度しか大人になれないのに~愛しい人との逢瀬が遠のく~(白羽の矢編)

朋 美緒(とも みお)

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宿屋の主人は自分に言い聞かせていた

(結界がある、妖魔は入って来れないはずだ、誰かのイタズラじゃ無いのか?
外から矢が飛んで来た?そんな訳が無い、我が宿屋は街の中心近くにあるんだし期限は2週間後、それを過ぎればぬしが帰還されるそれまでだ)

脳内で逃げ口実を繰り広げる主人だった。

口止めしても噂は広がるものである。

「さよさんに連絡がつかないと思ったらそういう訳か、本当なら一大事だぞ、何をしてるんださよの親父さんは!」

さよは家から一歩も出してもらえなくなっていた。
雅也が白羽の矢の話を聞いた時もう街中の噂になっていた
警備隊や軍隊も動き出している


「旦那様はどうなさるおつもりでしょうかね?」

相変わらずでん!と座り込んで、
お雪の部屋でお茶を入れながら言うすず、
きっと噂はこの中居が広めたのだと確信しているお雪だった。

「結界があるから安心してるみたいだけど、大丈夫かしらねぇ」
「白羽の矢の話を知り合いから聞いたことあります、
森の主(ぬし)の祠の奥に毎年矢の放たれた家の若い娘を生贄に捧げていたとか、怖いわ~
妖魔って人を食うって言いますもんね」 
「期限は明日だったかしら?」
「どうなりますかねぇ」

あまり非痛感の無いすずだった
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