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その2

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「あれっ!? あんなところに扉があるぞ」

  俺がそう言って指を差すと二人もそれに気づいたようだ。

「えっ? あっ本当だ」

「こんな所にも扉があったんですね、行ってみましょうか」

 アルフィーがさっと起き上がり寝室の奥へ歩いていく。

 あぁ、俺のおっぱいが行ってしまう。

 隣のシルフィーを捕まえようとするが、するっと起き上がり逃げられた。

(逃げたわけではない) 

 寝室の奥に扉が見える。飾りのオブジェが置いてあるため今まで気がつかなかったのだ。

 オブジェを収納すると、ハッキリと扉が現れた。

「こんな所にまだ扉があったのか、シル気配はどうだ」

「うん、大丈夫よ、危険な感じはしないわね」

「よし、じゃあ行くぞ」

 3人で扉に触れると一瞬で通路に出た。扉2つ分くらいの横幅がある通路だ。魔道具の照明も付いているため暗くは無い。

 20m位まっすぐ進むと突き当たり、先が直角に右に曲がっている。曲がると上がる階段がある。

 階段を登りきるとまた通路になり左側に階段と、まっすぐ進む道の二手に分かれている。

 左側がやや明るい。

 左の階段を上ると擦りガラスのような扉があった。触れると一瞬でバルコニーに出た。

 これも転移扉か。急に外の景色が見えた。

「ここは外か!」

「外に出られるんですね」

「いいじゃない」

 バルコニーから外を確認したところ、城門の上の2階部分のバルコニーの斜め上に居るようだ。

「ここが3階レベルか」

「そうですね、もう一つバルコニーがあるな、とは思ってたんですよ……それがここだったんですね」

 新たな発見に三人で喜んだ。

 外から見たエアシル城には確かにバルコニーが見えていた。どこからいけるか分からないのでいずれ探そうとは思っていたのだ。

 この城は本当に謎が多い。

「じゃあ、さっきの道をまっすぐ行くと一番上に行くんじゃない」

 一つ謎が解けてシルフィーのテンションも跳ねあがる。俺もなんだかワクワクしてきたぞ。

「そうだな、行ってみよう」

 階段を下りて別れたまっすぐの道を進むと長い登りの階段だった。緩やかに曲がりながら登っていく。螺旋階段のような造りだ。

「やっぱりそうね、多分上までいけるのよ」

「いい運動になるな」

「大分上ってますよね」

 上がりきった所の左側に擦りガラスの扉がある。

 触ると一瞬でバルコニーに出た。

 やっぱり外だ。

 城の正面、南向きの頂上付近だ。周りの景色が一望できる。

「うわー高いな、これは良く見えるぞ」

 下を見るとキン○マが縮んだ気がした。ゾクっとする。落ちたら死ぬな……慎重に手すりを掴む。

「本当ね! これはいいわね、高いわぁ」

「ええ! すごいです。展望台みたいですね、晴れたらいい景色でしょうね」

 二人は高くても平気なようだ。テンションがあがりまくって大騒ぎしている。

 お願いだから飛び跳ねるのはやめてくれ。

 しばらく景色を見ていたが、通路に戻ると南側だけでなく反対側にも通路があった。

 北側にも同様にバルコニーがある。通路が真ん中で広がってクロスしており、西側と東側にもバルコニーがある。つまり四方が見渡せるのだ。すごい城だな。

「これはいいな、周りが全部見えるぞ。俺は下を見るとゾクゾクするけどな」

 へっぴり腰で外を見る。

「いいですね、私は大丈夫ですけど、これなら町と周りが一望できますね」

「ほら、ダムに水が溜まってきてるのも見えるわ」

 シルフィーが身を乗り出して指をさす。

 二人は怖く無いらしい、まだまだ水は2分目あたりか。観察するにはいい場所だな。

「ここに見張りを置いてもいいかもな」

「でも寝室からしか来れないじゃない」

 シルフィーがすぐに突っ込む。確かにそうだ。

「そっか、まあいいか」

「そうよ、私達がたまに見ればいいじゃない。敵が来るわけでもないんだし」

「そうだな、いい景色は俺達だけで一人締めだな」

「三人ですけどね」

 3人で笑いあって雨の景色を楽しんだ。バルコニーでも天井があるので強い風が吹かなければ濡れることもないだろう。

 しばらく景色を楽しんで、部屋に戻るともう昼だった。

 昼食の時間だ。

 食事部屋へ行くとすでに皆集まっていた。雨のせいで暇なのだろう。

 ゆっくり話し合い楽しく会食を終えると、俺はオフ氏の研究部屋へ様子見に行った。

 何枚もの設計図が張ってあり、飛行船の乗船部が一部出来ている。今までも自分の部屋で少しずつ進めていたようだ。

「おお、結構出来てるじゃないかオフ氏」

「いや、まだまだ全然でござるよエフ氏」

「何か困ってる物はあるか」

「今の所は無いでござるが、何人乗りにするか迷っているでござるよ」

「そうか、できれば3人乗りにしてもらえないか」

「3人でいいでござるか。もっと大きなのを想像していたでござる」

「俺とアルとシルが乗れればいい。まずは小さいのを作ってみたらどうだ」

「そうでござるな、なるほど……うん、そうすると……」

 急に閃いたように夢中になって絵を書き始めた。こうなると何を言っても聞こえないのだ。物凄い集中力だ。頼もしい。よろしくなオフ氏。

 隣のスペースでゴーゴンが衣装を作っている。こちらもかなり出来ているようだ。これは……狼か。

「ゴーゴン、調子はどうかな」

「ああ、エルさん。だいぶ、できてきたところだあ。これはあウルブリンだあ」

 ウルブリンか、やっぱりすごいな。リアルで非常に精巧だ、本物のように出来てきている。

「すごいじゃないか、さすがゴーゴンだ。遠慮せずにどんどん作ってくれよ」

「まかせてくんろ、ここはいい所だなあ、おら、しあわせだあ」

 本当に嬉しそうな顔をする。自由に作れるのが嬉しくてたまらないのだろう。彼も一流の職人なのだ。

「そうか、それは良かった。何か必要な物があれば何でも用意するからな」

「ありがとうだ。また、おねがいするだ」

「ああ、よろしくな」

 ルーレットが衣装の材料も用意しているようで、沢山用意されていた。順調のようだな。

 隣の大部屋ではメルケルン師匠による。気の訓練が行われている。従士達が皆座禅を組み気を練っているようだ。武道の基本となるらしい。ウエスタンとオスマン、マルセイユも参加していた。

 見つかるとやらされる恐れがあるので、忙しい振りをしてスルーした。

 給仕室では三時のおやつを作っていた。いい匂いが漂っている。これはクッキーだろうか。もうすぐ振舞われるだろう。

 従士やメイド達は地下階の奥にある大食堂で朝昼晩の食事をしている。10時と3時のおやつもそこで食べている。

 ……食べてばっかりだな。

 おかげでうちは皆血色がいい。

 体もしっかり動かしているので健康的でガタイがいいのだ。


 今日も平和だな。


 ぐるっと見回り安心して王の部屋に戻った。

 ここなら絶対安心だ。なんせ俺達しか入れないからな。

 まだ、おやつ前だがアルフィーとシルフィーとイチャイチャしてお風呂に入った。

 天国に行って愛乳を飲んだらいつのまにか寝てしまった。
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