【完結】親がいなくても、私が私を幸せにするので大丈夫です。どうぞ、私のことはおかまいなく。

春風由実

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34.変えられない人々

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 働きぶりの確認──それは領主から神官への一方的な話では終わらない。

 領主は、神殿から派遣されてきた神官たちがきちんと働いているかを監視する一方。
 神官もまた、管轄する地域の人々が神さまの教えに従い生きているかを確認する。
 その対象者として、領主も含まれた。

 むしろ神官たちは、派遣された地域の権力者にこそ、目を光らせているとも言える。
 どの国の王侯貴族も、女神さまに特別に選ばれた人間たちの子孫だ。
 女神さまの教えを忠実に守り続け、魔力を維持出来ているかどうか、神官はそれを見張る立場にあるということ。

 これは古代において女神さまから神官らに与えられた仕事でもあった。


 つまり──。


 おっさん2は何ひとつ仕事をしていなかったということだ。

 そしておっさん1は、おっさん2を取り込むことで、魔力をすでに失っていたことを隠蔽しようと試みた。(ついでに領内を管轄するあと二人の神官さまらには会わないように徹底的に避けていたらしい。領主として領地を視察する仕事があるのに、二人の神官さまらの管轄する地域には代理人を行かせたそう)

 実際その試みはつい先日まで成功していたのだから、この世界では悪巧みもしてみるものかもしれない。

 私からすれば、こんなに簡単に人を欺き続けられるなら、それはもう制度の方に問題があると感じてしまうところだが。
 やはりそこは女神さまの教えに基づいて作られた社会なので、違反者は出ない前提で優しい制度が築かれてきたのだろう。

 そうだとしても、少しは見直した方がいいんじゃないかな?

 前の世界でも、事件や事故が起こるたびに制度を変えて、社会は発展してきたわけで。
 それでいい社会を築けていたか?と問われると、私も素直に頷くことは出来ないけれど。

 古い時代からずっと変えずにいるというのは、良くないのではないかと思う。
 問題が起きたら、それは機会だ。というのは、前世で聞いたこと。
 関係者を責めるだけ、罰するだけで終わるのは勿体ない、問題が起きないように組織や社会を変えるところまでしてやっと問題が解決したと言えるのではないか──というような話を、割とよく聞いていたので。

 私は勿体ないなと感じてしまい、神官さまにもそう言った。

 神官さまもそれは分かると言ってくれたんだけど。
 やっぱりここでも『女神さまの教え』の問題が根深くあって、かつて女神さまと約束する形で定めた制度に手を入れるなんて畏れ多いと感じる人も多いのだとか。

 だから神殿は大改革をしたことはないし、今回も対策は練られるけれど、大きな改革には着手しないだろう。そういう話で、あの町を出る前に神官さまから謝られている。

 私はただ、私のような子がもう二度と出ないといいなぁとは思っていた。
 これについては神殿側も問題視しているみたいで、何かしらの是正はされるはずだということ。
 何せ子どもを大事にせよという教えをいくつも与えた女神さまだからね。

 でも今は確実に何かするという約束は出来ず、力が及ばず申し訳ないと、それはそれは丁寧に謝られてしまったんだ。
 世界中に散らばる神官さまをまとめる神殿という大組織において、若い神官さま一人に出来ることなんてそうないだろうって思った私は、慌てて神官さまを励ましてしまったんだけど。

 そんな話を事前にしていたものだから。
 おっさん2の罪状を聞き終えた私はただただ納得。

 でもね、ひとつ引っ掛かるところがあった。
 おっさん2も早い段階で魔力を失っていたでしょうという話だ。



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