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18.侯爵家の侍女たちもあの力をお持ちでした
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止まっていた侍女たちが動きを再開します。
理由が分からないので、少し怖いです。
あと肌にそんなに何か塗らないといけないのでしょうか。
手入れの間が長く空いていたので必要なんです。
そう聞いたのは、到着して客間に通された初日のことです。
確かに長旅の間は、これを使えと故郷の侍女たちから渡されていた道具をほとんど開かずに終わりました。
いえ、少し嘘を付きましたね。ほとんどどころか、触っていません。
けれども馬車移動です。
馬と違い、日焼けもなければ、泥汚れもない恵まれた道中のどこで、そう汚れるのでしょうか?
途中で宿に入れば、ちゃんと全身を洗っていましたし、侯爵領の手前の宿では、特に強くごしごしと磨いておきました。
それから侯爵領に入ってこのお屋敷までの道中も、侯爵様が用意してくださった立派なお宿で、そちらの女性たちが全身を磨いてくれていたのです。
だからここに到着した日も、そう酷いことにはなっていなかったはずなのですが。
もうここに来てからずっと毎日磨かれて、何か塗りたくられています。
十分綺麗になっているのではないでしょうか?
ところが侍女たちは、「まだまだ綺麗になりますからね、お任せください」と今朝も力強く言っていました。
有無を言わさぬ圧に負けて、おとなしく目を閉じます。
あぁ、扇。扇があれば、もう結構という意思を簡単に示せましたのに。
パチンと閉じた音がしたら、それは母からの終了の合図でした。
扇がないことは悔やまれてなりませんね。
こちらでもあの頑丈な扇は手に入るでしょうか?
「先ほどは失礼いたしました。あまりに旦那様がヘタレで情けなかったもので」
「まさかまだ何も説明していないとは思いませんでしたの」
ヘタレ?
説明?
まさか!
「もしかして、それは……っ!」
昨夜はお互いに想い人はいないという話でまとまりましたが。
もしかして本当はやはり存在していて、それを私に伝えたかったけれど、なかなか言い出せなかった。
そんなお話ではありませんか?
何か伝えたいのに言い出せない、そんな雰囲気を昨夜も侯爵様から感じていたのです。
まだ信頼されていないせいだと思っていたのですが。
そういうことだったのですね。
けれどもさすがに侯爵家の侍女には問いにくい内容でしたので、途中で言葉を止めました。
ほら、アル。私だって気を遣えるのですよ。
姉は遠くの地でしっかりやれていますからね。心配は要りません。
侍女が道具を持ち替えたので、開いてしまった目を閉じておきます。
すぐにパフパフと顔にお粉が振り掛けられました。
「奥様、きっとそれも違いますわよ」
「えぇ、違っておりますので、今思い付いたことはお忘れください」
「そうですよ。それに旦那様がすべて悪いので。奥様は理由なんてお探しにならないように。あのヘタレ……」
なんとっ!
侯爵家の侍女たちも優れた能力をお持ちでした。
しばらく客間に滞在していた期間を合わせても、まだ指折り数えられる日数しかこの邸では過ごしていません。
それですでに私の心を読み取る能力を持っているとは。
もしかすると侍女という仕事には、必須の能力なのでしょうか。
それは一度、私も侍女としての修業をしてみたく……。
遠くにいるはずの侍女たちのふーっと息を吐いて目を合わせる姿が浮かんできました。
彼女たちは遠くにいても、私の考えを止める特殊能力を持っていたのでしょうか。
遠隔で人を動かす……憧れます。
是非に教えて頂きたいところです。
でももう直接聞くこともお願いすることも出来ないんですね。
また寂しくなってきました。
理由が分からないので、少し怖いです。
あと肌にそんなに何か塗らないといけないのでしょうか。
手入れの間が長く空いていたので必要なんです。
そう聞いたのは、到着して客間に通された初日のことです。
確かに長旅の間は、これを使えと故郷の侍女たちから渡されていた道具をほとんど開かずに終わりました。
いえ、少し嘘を付きましたね。ほとんどどころか、触っていません。
けれども馬車移動です。
馬と違い、日焼けもなければ、泥汚れもない恵まれた道中のどこで、そう汚れるのでしょうか?
途中で宿に入れば、ちゃんと全身を洗っていましたし、侯爵領の手前の宿では、特に強くごしごしと磨いておきました。
それから侯爵領に入ってこのお屋敷までの道中も、侯爵様が用意してくださった立派なお宿で、そちらの女性たちが全身を磨いてくれていたのです。
だからここに到着した日も、そう酷いことにはなっていなかったはずなのですが。
もうここに来てからずっと毎日磨かれて、何か塗りたくられています。
十分綺麗になっているのではないでしょうか?
ところが侍女たちは、「まだまだ綺麗になりますからね、お任せください」と今朝も力強く言っていました。
有無を言わさぬ圧に負けて、おとなしく目を閉じます。
あぁ、扇。扇があれば、もう結構という意思を簡単に示せましたのに。
パチンと閉じた音がしたら、それは母からの終了の合図でした。
扇がないことは悔やまれてなりませんね。
こちらでもあの頑丈な扇は手に入るでしょうか?
「先ほどは失礼いたしました。あまりに旦那様がヘタレで情けなかったもので」
「まさかまだ何も説明していないとは思いませんでしたの」
ヘタレ?
説明?
まさか!
「もしかして、それは……っ!」
昨夜はお互いに想い人はいないという話でまとまりましたが。
もしかして本当はやはり存在していて、それを私に伝えたかったけれど、なかなか言い出せなかった。
そんなお話ではありませんか?
何か伝えたいのに言い出せない、そんな雰囲気を昨夜も侯爵様から感じていたのです。
まだ信頼されていないせいだと思っていたのですが。
そういうことだったのですね。
けれどもさすがに侯爵家の侍女には問いにくい内容でしたので、途中で言葉を止めました。
ほら、アル。私だって気を遣えるのですよ。
姉は遠くの地でしっかりやれていますからね。心配は要りません。
侍女が道具を持ち替えたので、開いてしまった目を閉じておきます。
すぐにパフパフと顔にお粉が振り掛けられました。
「奥様、きっとそれも違いますわよ」
「えぇ、違っておりますので、今思い付いたことはお忘れください」
「そうですよ。それに旦那様がすべて悪いので。奥様は理由なんてお探しにならないように。あのヘタレ……」
なんとっ!
侯爵家の侍女たちも優れた能力をお持ちでした。
しばらく客間に滞在していた期間を合わせても、まだ指折り数えられる日数しかこの邸では過ごしていません。
それですでに私の心を読み取る能力を持っているとは。
もしかすると侍女という仕事には、必須の能力なのでしょうか。
それは一度、私も侍女としての修業をしてみたく……。
遠くにいるはずの侍女たちのふーっと息を吐いて目を合わせる姿が浮かんできました。
彼女たちは遠くにいても、私の考えを止める特殊能力を持っていたのでしょうか。
遠隔で人を動かす……憧れます。
是非に教えて頂きたいところです。
でももう直接聞くこともお願いすることも出来ないんですね。
また寂しくなってきました。
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