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これまでのスペアとしてのお仕事

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 王族とその婚約者、それに準ずる者には、割り振られている仕事が多数あります。

 そのひとつが、学院に通うためにと王都に集まってくる貴族の令息令嬢たちとの交流です。
 共に学院に通うようなことはありませんけれど、ここ何年かの新入生は私と彼とで迎えてまいりました。
 そして新入生を順に少人数ずつお城に集め、必ず全員とお顔を合わせてお話をするのです。

 一方で二学年以上の学園生、特に卒業生を担当していたのは、王太子殿下とその婚約者様でした。
 未来の王様と王妃様ですからね。
 それは私たちスペアである二人と過ごす時間よりも、貴族の子女の皆様には貴重かつ光栄な機会となっていたはず。
 いくら貴族であっても、国王陛下に謁見することなく生涯を終えられる方は多くいらっしゃいますからね。
 この国に貴族が何人いるかと考えてしまえば、それも当然のこと。
 それに陛下はとてもお忙しい方ですから。

 だから学園生のうちに一度くらいは未来の王様と王妃様に会って話す機会を設けましょう、そう言い出したのは五代前の王様がまだ王太子であったときのことでした。

 当時は新入生を迎えることも、卒業生を見送ることも、どちらも王太子殿下ご夫妻のお仕事だったようです。
 それが変わったのは、その二代後から。
 王太子としてのお仕事は多く、お一人に負担が掛かり過ぎているということで、学園生への対応は王位継承権を持つ他の方でも代理を務められるようにと制度が整えられていきました。

 そこで私たちスペアにも学園でのお仕事が回ってくることになったのです。


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