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番外編
何もないところから育てたいのです!②
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困惑したセイディの叫びには、アルメスタ家の先鋭たちも戸惑いを見せ。
その後も流れ続けた気まずい空気には、セイディも不安を感じてしまったようである。
後にジェラルド相手に試し行動を始めてしまったくらいだったから。
こうなれば、いつもの大人たちならば、皆セイディを安心させようと頑張るところ。
しかしどうもこの日は皆の対応には切れがなくて。
「どうしてへんりはよちよちがないないですか?」
「(それは自然な老化現象……)ごほごほ。あぁ、そうです、セイディさま。大奥様が新しい絵本をご用意してくださいましたよ」
「えほん!よみます!……どうしてへんりはよちよちがないないですか?」
「……(私としたことが失敗しました。交代をっ!)」
「セイディさま、これからルースがプリンを作ると言っておりますが、ご見学なさいますか?」
「ぷりん!みましゅっ!」
一同安堵したものの、事件は厨房に辿り着いてから起きた。
「るーすもおぼうしないないで、よちよちあります。へんりはおぼうしもないないです。どうしてちがいますか?」
「はいぃぃ?!」
料理長のルースが助けを求めるように、セイディをこの場に連れて来た侍女たちを眺めるが。
一人としてルースを見ないし、目も合わせない。
ルースは焦った。
今もなお、キラキラと目を輝かせ、セイディがルースを見ている。
「るーす、ぷりんたくさんつくります。へんり、おはなたくさんつくります」
「そうですね。このルース、料理長としてこれからも、セイディさまのために沢山のプリンを作りましょう(私には無理ですよ~ヘルプ!ヘルプです!)」
「たくさん、おなじです!るーすとへんり、どうしてちがいますか?」
「どどどどど、どうしてなんでしょう。ねぇ、侍女長?」
困ったルースはついに次を指名した。
「まぁ、それは殿方の秘密だと聞いておりましてよ?わたくしたちよりも皆様の方がお詳しいのではないでしょうか?どうです、トット?」
「これはこれは。ご指名いただき恐縮ですが。お恥ずかしながら、私のような若輩の未熟者には、まだその答えに辿り着けそうにはありませんで。えぇ、これはもう、お館さまに聞かれてみてはいかがでしょうか。お館さまは何でもご存知ですからね。ねぇ、セイディさま?』
「(それはいい)」
「(そうしよう)」
その後、突如アルメスタ邸に現れた魔王が、聴こえぬ声で雄叫びを上げていたとかいないとか。
さて当然ジェラルドもその声を聴いていたが、こちらはこちらで一人思い悩むことに忙しかった。
セイディはずっと気にするときがある。
しかしそうでないときもあって、そこに一定のルールは存在せず。
そういうわけで、ジェラルドは日々振り回されっぱなしなのだけれど。
「セイディの憂い、すべて払わねば……」
と訳の分からぬ方向へと熱くなっていたジェラルドは、文献を読み漁って、己の問いへの解を求めた。
しかしながら努力虚しく。
「ないないした毛を取り戻す方法が見付からない……」
セイディが喜ぶようにと頑張った成果は見られず。
侍従には大層呆れられてしまったことは記憶に新しい。
ジェラルドからすれば、そんな呆れ顔の侍従なんてどうでも良くて。
「よちよちがないないです。よちよち……せいでぃもないないしますか?」
泣きそうな不安な顔をして、そんなことまで言われてしまった日には。
どうにかしてやろうと頑張ることは、もはやジェラルドの使命。
それでも答えは見付からず、一人迷走するばかりで……。
一方同じ時期。
この騒動の元凶となった男、庭師のヘンリーは、実は同じように酷く悩んでいた。
彼はジェラルドとはまた違った道で、解を導こうと動き出す──。
ちなみに余談になるが、この日顔色を悪くしながらルースの作ったプリンは、それはそれは見事なもので、セイディは大喜びしている。
◇◆◇◆◇◆
さて今に戻ろう。
何も気にしない男ヘンリーが、ジェラルドたちを無視し、また勝手に一言。
「よって、かつらを用意してみましてなぁ」
ごつごつとしたヘンリーの手に、突如握られていたのは、金色の髪の束だ。
やたら滑らかに見えるその毛先は、さらさらと水が流れるようにして柔らかい風に揺れていた。
「ごふっ」
遠くで誰かが倒れた。
その後も流れ続けた気まずい空気には、セイディも不安を感じてしまったようである。
後にジェラルド相手に試し行動を始めてしまったくらいだったから。
こうなれば、いつもの大人たちならば、皆セイディを安心させようと頑張るところ。
しかしどうもこの日は皆の対応には切れがなくて。
「どうしてへんりはよちよちがないないですか?」
「(それは自然な老化現象……)ごほごほ。あぁ、そうです、セイディさま。大奥様が新しい絵本をご用意してくださいましたよ」
「えほん!よみます!……どうしてへんりはよちよちがないないですか?」
「……(私としたことが失敗しました。交代をっ!)」
「セイディさま、これからルースがプリンを作ると言っておりますが、ご見学なさいますか?」
「ぷりん!みましゅっ!」
一同安堵したものの、事件は厨房に辿り着いてから起きた。
「るーすもおぼうしないないで、よちよちあります。へんりはおぼうしもないないです。どうしてちがいますか?」
「はいぃぃ?!」
料理長のルースが助けを求めるように、セイディをこの場に連れて来た侍女たちを眺めるが。
一人としてルースを見ないし、目も合わせない。
ルースは焦った。
今もなお、キラキラと目を輝かせ、セイディがルースを見ている。
「るーす、ぷりんたくさんつくります。へんり、おはなたくさんつくります」
「そうですね。このルース、料理長としてこれからも、セイディさまのために沢山のプリンを作りましょう(私には無理ですよ~ヘルプ!ヘルプです!)」
「たくさん、おなじです!るーすとへんり、どうしてちがいますか?」
「どどどどど、どうしてなんでしょう。ねぇ、侍女長?」
困ったルースはついに次を指名した。
「まぁ、それは殿方の秘密だと聞いておりましてよ?わたくしたちよりも皆様の方がお詳しいのではないでしょうか?どうです、トット?」
「これはこれは。ご指名いただき恐縮ですが。お恥ずかしながら、私のような若輩の未熟者には、まだその答えに辿り着けそうにはありませんで。えぇ、これはもう、お館さまに聞かれてみてはいかがでしょうか。お館さまは何でもご存知ですからね。ねぇ、セイディさま?』
「(それはいい)」
「(そうしよう)」
その後、突如アルメスタ邸に現れた魔王が、聴こえぬ声で雄叫びを上げていたとかいないとか。
さて当然ジェラルドもその声を聴いていたが、こちらはこちらで一人思い悩むことに忙しかった。
セイディはずっと気にするときがある。
しかしそうでないときもあって、そこに一定のルールは存在せず。
そういうわけで、ジェラルドは日々振り回されっぱなしなのだけれど。
「セイディの憂い、すべて払わねば……」
と訳の分からぬ方向へと熱くなっていたジェラルドは、文献を読み漁って、己の問いへの解を求めた。
しかしながら努力虚しく。
「ないないした毛を取り戻す方法が見付からない……」
セイディが喜ぶようにと頑張った成果は見られず。
侍従には大層呆れられてしまったことは記憶に新しい。
ジェラルドからすれば、そんな呆れ顔の侍従なんてどうでも良くて。
「よちよちがないないです。よちよち……せいでぃもないないしますか?」
泣きそうな不安な顔をして、そんなことまで言われてしまった日には。
どうにかしてやろうと頑張ることは、もはやジェラルドの使命。
それでも答えは見付からず、一人迷走するばかりで……。
一方同じ時期。
この騒動の元凶となった男、庭師のヘンリーは、実は同じように酷く悩んでいた。
彼はジェラルドとはまた違った道で、解を導こうと動き出す──。
ちなみに余談になるが、この日顔色を悪くしながらルースの作ったプリンは、それはそれは見事なもので、セイディは大喜びしている。
◇◆◇◆◇◆
さて今に戻ろう。
何も気にしない男ヘンリーが、ジェラルドたちを無視し、また勝手に一言。
「よって、かつらを用意してみましてなぁ」
ごつごつとしたヘンリーの手に、突如握られていたのは、金色の髪の束だ。
やたら滑らかに見えるその毛先は、さらさらと水が流れるようにして柔らかい風に揺れていた。
「ごふっ」
遠くで誰かが倒れた。
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