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第一章 厄災の王女
12.おしゃべりな王女
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時間を作りフロスティーンと共に食事をするようになってから、ゼインが真っ先に感じたことは。
──意外とよく話すな。
これである。
それから何度も共に食事をしてきたゼインであるが、変わらず今もそのように感じていた。
それこそ食事中は口数少なく、「天に召された」だとか、「ここは天上」だとか、時折分からない言葉を呟くフロスティーンであったが。
デザートも食べ終えて落ち着けば、自らよく話したのだ。
──本当に妙な女を受け入れてしまったものだな。
それもまた最初から一貫してゼインが感じているものであった。
ただし初回に抱いた後悔の念は、徐々に薄れてきている。
こうしてゼインにもまだ理解が難しいフロスティーンから、今日出て来た話題。
「王妃の権限ね。知ってどうする気だ?我が国を好きなように動かすか?」
探るようにゼインが聞き返したところで、いつだってフロスティーンは怯えを見せない。
はじめは表情の変化が乏しいだけかと考えてきたゼインだったが、フロスティーンには一部の感情が欠落しているのではないか、今のゼインはそのように捉えている。
単純に分からない者を前にして、ゼインがそう思いたかっただけかもしれない。
「把握しておきたかっただけです。サヘラン王国での王妃の権限と業務内容につきましては存じておりますが、こちらの国のことは知りませんでしたので。今後、業務に携わる際に、越権行為を避けて義務を確実に遂行出来るようにと考えました」
知れた限りの生い立ちから想像出来る王女が、ゼインの前にはいつもいなかった。
予想外にフロスティーンは教養を身に着けた王女だったのである。
──知れば知るほど、サヘラン王家の目論見が分からなくなるな。
「もしやこちらの国の王妃とは、子をなすことだけを求められているのでしょうか?」
考察に忙しくすぐに答えなかったゼインの様子から勝手に察したフロスティーンがそう言うと。
何故か視線が集まって、ゼインは眉を顰めることになった。
──どうして俺がそのような生温い視線を受け止めねばならん?見るなら軽々と子がどうのと口にしたフロスティーンの方だろう?
子をなすことだけを求められても構わない。
フロスティーンの無表情がそう語っているように感じられたゼインは、自分だけが表情を崩したことも面白くなくて、いつもより素っ気ない言い方で答えてしまった。
「確かに子をなすことは必要だ。だがそれは権限ではなかろうな。言うならば、義務か?」
「義務ですね。かしこまりました」
──淡々と言ってくれたな?あの男たちではないが、祖国で手を出されていたということではあるまいな?
診察を受けさせた後であるのにその身の清らかさを訝しみはじめたゼインに、「陛下?」と小さいながら女性の低い声が思考を止めるよう牽制してくる。
──別に疑ったわけでは……俺はただ……報復について考えていただけでな?
と、声に出さず心の中だけで侍女には言い訳をして。
ゼインはフロスティーンに問われたことについて、ようやく真面に考え始めた。
しかし結局は自分では分からなかったので。
「王妃の権限か。特にこれまでも明言されていなかったと思うが。どうだ?」
回答は人任せにするゼインである。
──意外とよく話すな。
これである。
それから何度も共に食事をしてきたゼインであるが、変わらず今もそのように感じていた。
それこそ食事中は口数少なく、「天に召された」だとか、「ここは天上」だとか、時折分からない言葉を呟くフロスティーンであったが。
デザートも食べ終えて落ち着けば、自らよく話したのだ。
──本当に妙な女を受け入れてしまったものだな。
それもまた最初から一貫してゼインが感じているものであった。
ただし初回に抱いた後悔の念は、徐々に薄れてきている。
こうしてゼインにもまだ理解が難しいフロスティーンから、今日出て来た話題。
「王妃の権限ね。知ってどうする気だ?我が国を好きなように動かすか?」
探るようにゼインが聞き返したところで、いつだってフロスティーンは怯えを見せない。
はじめは表情の変化が乏しいだけかと考えてきたゼインだったが、フロスティーンには一部の感情が欠落しているのではないか、今のゼインはそのように捉えている。
単純に分からない者を前にして、ゼインがそう思いたかっただけかもしれない。
「把握しておきたかっただけです。サヘラン王国での王妃の権限と業務内容につきましては存じておりますが、こちらの国のことは知りませんでしたので。今後、業務に携わる際に、越権行為を避けて義務を確実に遂行出来るようにと考えました」
知れた限りの生い立ちから想像出来る王女が、ゼインの前にはいつもいなかった。
予想外にフロスティーンは教養を身に着けた王女だったのである。
──知れば知るほど、サヘラン王家の目論見が分からなくなるな。
「もしやこちらの国の王妃とは、子をなすことだけを求められているのでしょうか?」
考察に忙しくすぐに答えなかったゼインの様子から勝手に察したフロスティーンがそう言うと。
何故か視線が集まって、ゼインは眉を顰めることになった。
──どうして俺がそのような生温い視線を受け止めねばならん?見るなら軽々と子がどうのと口にしたフロスティーンの方だろう?
子をなすことだけを求められても構わない。
フロスティーンの無表情がそう語っているように感じられたゼインは、自分だけが表情を崩したことも面白くなくて、いつもより素っ気ない言い方で答えてしまった。
「確かに子をなすことは必要だ。だがそれは権限ではなかろうな。言うならば、義務か?」
「義務ですね。かしこまりました」
──淡々と言ってくれたな?あの男たちではないが、祖国で手を出されていたということではあるまいな?
診察を受けさせた後であるのにその身の清らかさを訝しみはじめたゼインに、「陛下?」と小さいながら女性の低い声が思考を止めるよう牽制してくる。
──別に疑ったわけでは……俺はただ……報復について考えていただけでな?
と、声に出さず心の中だけで侍女には言い訳をして。
ゼインはフロスティーンに問われたことについて、ようやく真面に考え始めた。
しかし結局は自分では分からなかったので。
「王妃の権限か。特にこれまでも明言されていなかったと思うが。どうだ?」
回答は人任せにするゼインである。
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