【完結】新しい我輩、はじめます。

コル

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第七章 とある天使の昔話

6 『私も一緒に……いってあげる……』

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「喝っ!! 喝っ!! かあああつっ!!」」

「くっ!!」

 くそ! 喝って叫ぶだけでこっちにダメージを受けるとは鬱陶しい!

「食らえ!!」

「はぁ!!」

「ちぃ!!」

 そして、この天使の騎士達の統率もリカルドのせいで上がってしまった。雑魚もこう集まっては鬱陶しい!

「ぜぇ……ぜぇ……」

 やはり、この状態はさすがの私でもしんどいな……。

「ふむ、もう降伏するのじゃ、貴様の分身も消えもはや一人……これ以上戦える状態でもないじゃろ。数多くの者を殺めたがお前とて同胞……せめてもの情けじゃ、苦しまずに逝かせてやろうぞ」

 ……余裕かましやがって。

「ぜぇ……ぜぇ……ふん、降伏だと? この私がそんな事しないわ!」

 それにもう準備も出来たしな。

「そうか……ならば仕方あるまい、今までの咎をその身に刻み――む?」

「……リカルド……様……」
「……ああ……」

「どうしたのじゃお前達よ。手助けは無用じゃ、けが人は後方へ……」

 フフフ、油断しているな……大天使リカルドの終わりの時だ!!

「……がぁ!!」
「……ああっ!!」

「な、なんじゃと!? ぐふっ!? ――ぐはっ!! お前達、どうした――っ!」

 クスクス、さすがのリカルドもこの状況は読めなかっただろう。

「なっリカルド様!? どうしてけが人がリカルド様に攻撃を!? 離れろ!」

「お前達、気が狂ったか!? リカルド様に何てことを!! この!!」

「……ガアア!!」
「……アア!!」

 攻撃しても無駄だ、そいつらは何度でも立ち上がる。

「……ア……アア……」
「……アア……」

 何せそいつらは――。

「な、倒れないだと!?」

「……まさか、こいつら……ゾンビになっているのか!?」

「クスクス……リカルド、確かにお前は強い……だが傷ついた者まで集めたのは間違いだったな。士気を高めようとしたのだろうがそれは致命的なミスだな」

「ぬぅ……おのれ……」

 チッ何て頑丈なジジイだ、思ったよりダメージを食らっていないみたいだな。

「私は分身を作れるだけではない、死体を操る事も出来るんだよ。それを傷ついた者として紛れ込ませればそうやってお前に近づく事が出来る訳だ!」

 まぁ、自分で言うのもなんだが派手に暴れすぎた……原型を止めてない奴や明らかに死体と分かる奴ばかりでゾンビにする奴を選別しつつ戦うのはかなり大変だった。

「……死者を……冒涜するとは……なんという……愚か者か!」

 ふん。なんとでも言うがいい、私は貴様を倒せればいいんだからな。
 さぁて……周りの雑魚を払ってリカルドの魔力をもらうとするか。

「リカルド、貴様もここでおわっ――ぐっ! 何!?」

 私とした事がリカルドを倒した安堵感で気を抜いていたか!? 接近していた奴がいたなんて気がつかなかったとは不覚!
 くそっ腹部を刺された……このままではまずい、早く止血をしなければ!

「く、そがっ! 放――なっ!?」

 な、何故……お前がここに……。

「ハァ……ハァ……捕まえたわ、エリン……!!」

「何故、貴様が……ここいるのだ!? シルバ!!」

 まさかあの状態で生きていたなんて。

「フフフ……ジェイに……エリンを……止めろって……追い返されたわ……」

 くっシルバの羽が体に覆いかぶさって身動きが取れない……!

「エリン……もう……終わりに……しましょう……私も一緒に……いってあげる……」

 シルバの奴め、自爆魔法を使う気か!? 何とか逃げ出さねば、こんな所で終わってたまるか!

「それは……遠慮するわ! いくなら一人で……どうぞ!」

「――ぐっ! いくら剣を刺しても無駄よ……この状態から……絶対に離さ……えっ? そん、な……魔力が……吸われて……? 力が……抜けていく……」

 危ない危ない……シルバの予想外の行動でアブソーヘイズの能力を忘れていた、これで自爆魔法を使われる前に魔力を、生命を吸い尽くせばいい。

「……エリンってば……往生際が悪いわね……自爆魔法を使わせるつもりはないのね……でも……自爆は自爆でもこれは私の……固有魔法……なんだから」

 ……え? シルバに固有魔法? そんなの聞いた事ないぞ!
 今までずっと隠していたというのか!?

『っ!? マスター! この天使から早く離れてください! 魔力の流れが変です!』

「魔力の流れだと? 一体、どいうことだ、何が!?」

「フフフ……エリンだから、教えてあげる……私の……固有魔法は……対象の魔力を強制的に放出させる事……よ……」

「……魔力の放出、だと……?」

 シルバにそんな固有魔法が? 魔力を強制的に放出なんてアブソーヘイズの逆の能力だが……性質は同じ様なもの、魔力を無くせば魔法は使えない所か命をも奪う、そんなものが使えるのならば魔界との戦争も早期に終わっていたはず……何故使われなかった?

「どうして……今まで使わなかった……そんな顔ね……フフ、私も使いたくても……使えなかったの……」

 使いたくても使えなかった……?

「相手に触れているのが……条件な上……魔力を放出させた……その時に魔力の爆発……が起きる……そうなると……どうしても……私の体に相当な……ダメージを受ける……そんなの繰り返してたら……さすがの私でももたないよ……」

 っ!? 魔力の爆発って……それで自爆という事か!
 まずい! ジェイやベデワル、他の天使の魔力を吸収しているこの状態――。

「……だけど、この状況じゃ……それも……関係ない……わ」

 この膨大な魔力では相当な爆発が起きてしまう! 普通の自爆よりたちが悪い!!
 それより私の魔力を放出されてしまったらどの道、命も尽きてしまう!

「くっ! 放せ!! この!」

 なんとしてでもこの束縛から抜け出さねば!!

「……私の命は……もう尽きる……仮に……貴女を倒せなくとも……」

 早く早く早く!!

「くそ! アブソーヘイズ!! 早くシルバの魔力を吸いきれ!!」

『やっていますが、この天使の固有魔法で魔力の流れが不安定で中々!』

 シルバめ! どこまで私の邪魔をするんだ!

「……その膨大な……魔力は……」

 なっ体から発光する球体が出て来た!? 魔力が抜け出ているのも分かる、この珠が私の魔力だというのか!!

「……この私が……もって行くわ……」

 おのれおのれおのれえええええええ!!

「これで……終わりよ! エリン!!」
「シルバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 ――目の前が真っ白になっていく……この私が、こんな所で終わるのか……。
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