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3章 二人の遭遇
レインの書~遭遇・1~
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アイリスさんが白の神殿から出て行った。
ん~絶対にデュラハンだと思ったのにな。
「もうーボクまで恥をかいたじゃないか」
膨れ面をしたジョシュアがぼやいている。
だってあのおじさんの言っていた事は本当だと思ったし、アタシの勘もこの神殿にデュラハンいるって自信があったんだもん……。
◇◆数刻前◇◆
さてリリクスの街に戻ったし、さっそくデュラハンが行きそうな魔力のが集まる場所の情報収集といきますか。
その辺に居る人に片っ端から話しかけるのもいいけど、それだと時間が掛かるわよね。
となると、人が集まっていて情報が聞きやすい場所といったら……酒場か。
「ねぇジョシュア、リリクスに酒場ってあったかしら?」
「酒場? ……えーと、確かリリクスの街の西際辺りにあったはずだよ」
あるのなら行く場所は決まりね。
「それじゃあ、その酒場に行ってみましょう」
「了解。人が居ればいいけど……」
そこは別に気にする事はないのに。
仮に人が居なくても、営業さえしていれば問題は無し。
酒場のマスターなら客から聞いたとかで情報を持っている可能性はあるし、マスターは色んな人とも出会っている。
だから、そういった事に詳しい人を紹介してもらえばいいだけの話。
「そんな事は気にしなくていいわよ。ほら、行くよ」
「はーい」
ただ、問題があるとすればこの時間に営業しているかどうかなんだけどね……まぁ営業していなかったらその時はその時で、また別の方法を考えればいいか。
※
良かった、この時間でも酒場はやっていた。
しかも思ったより人がいるわね。
とはいえ、まずはマスターに話を聞いてみましょう。
「ちょっといいかしら?」
「ん? なんだい?」
これまた屈強な体をしたマスターね。
コップを磨くより、剣を磨いている方がしっくりきそう。
「この辺りで魔力が集まる場所とか魔力に関わる場所ってないかしら?」
「魔力の集まる場所だ? んな事を聞いてどうするんだい」
「ちょっと色々あってね」
流石にデュラハンがこの街の傍にいたなんて言えないよね。
余計な混乱は避けるべきだし。
「色々ねぇ……まぁいいや、何か事情があるみたいだしこれ以上は聞かねぇよ」
「助かるわ」
空気を読んでくれるマスターで良かった。
たまにいるのよね、言いたくないのにしつっこく聞いてくる人が。
「んー魔力の集まる場所か。それなら俺に聞くより、あの親父に聞いた方がいいぜ」
マスターが顎をしゃくった。
その先にはテーブルに座ってお酒を飲んでいる、アフロヘアーでまん丸メガネをかけたちっこいおじさんがいた。
「……えっ? ええっ!? あの人に!?」
ジョシュアが怪訝な顔をして驚いている。
正直、アタシも同じ顔をしているかもしれない。
「ああ、あの親父はこの辺りでは有名な変じ……物知りなんだ」
今変人って言いかけたよね。
絶対に言いかけたよね。
「だから詳しく聞けると思うぜ」
「わっわかったわ……ありがとう」
う~ん……情報を得るためとはいえ、なんか話し掛け辛いな。
なんか怪しい人なんだよね。
見た目で判断しちゃいけないけど……よし、こうなったら。
「さっジョシュア、あの人に声を掛けて」
ジョシュアに押し付けよう。
「……へっ! ボクが!? なんで!?」
「ほら、早く」
ジョシュアの脇腹を肘でツンツンする。
ジョシュアって脇腹が弱いんだよね。
「ちょっ! やめてよ! もーしょうがないなー……はぁーこういう事はいっつもボクにやらせるんだから……」
「何か言った?」
「いいえ……何も……」
ジョシュアがアフロのおじさんに近づいて行った。
アタシは少し離れて後ろについて行く。
「あのーすみません。ちょっといいですか?」
「む、あなたは誰ですかな?」
アフロのおじさんがジョシュアの方を向いた。
う~ん……やっぱり怪しい人にしか見えない。
「あっボクはジョシュアと言います。で、彼女はレインです」
こいつ、道連れにしやがった!
おじさんもこっちを見ているし。
これは何かしらアクションしないと駄目だよね。
「えと、どうも」
「どうもですな、私はジェイゴローと言いますな。で、私に何か用ですかな?」
「マスターに、この辺りで魔力が集まる場所とか魔力に関わる場所はジェイゴローさんに聞けばわかるとお聞きしまして」
「なるほどですな。ふむ、この周辺ですとアカニ村の近くに枯れた魔樹の跡地があるですな」
「アカニ村……ですか」
枯れた魔樹の跡地か。
魔樹は魔力を生み出しているからデュラハンが狙う可能性は十分あり得るわね。
これからはそこも視野に入れる様にしよう。
「あと私の仮説が正しければ、白の神殿も怪しいですな」
「白の神殿? そこはどういう所なの?」
「この街の近くにある神殿ですな。今は誰も住んでいない上に、中にはモンスターも潜んでいるので誰も寄り付かない場所ですな」
なにそれ。
聞く限りだとただの廃墟の感じじゃない。
「どうして、そこが怪しいと?」
「歴史を調べて見ると非常におかしいのですな!」
何やらジェイゴローさんが声を荒らげ始めた。
なに? 急にどうしたの?
「ふむふむ、歴史に何かあったんですか?」
ジョシュアはそんな事を気にせずにジェイゴローさんに質問をしている。
何故だろう、アタシはこれ以上この人の話を聞いてはいけない気がする。
「逆ですな! 何もなかったのですな!」
「「はい?」」
何も無かった?
この人は一体何を言っているんだろう。
「あの様な神殿なのに何一つ資料が残っていないのですな! いつ建てられたのかも謎ですな! 伝承も無いですな! 昔話でも伝わっていないですな! ここまで何も残っていないのは明らかに不自然ですな! あのにあの神殿の中には罠がいっぱいですな! まるで何かを守るか隠そうとしている様ですな! そう考えるときっと奥には何かがあると思うのですな!」
急にジェイゴローさんがテーブルの上に立ち熱弁をし始めた!
なに? なんなの!? なんか鬼気迫る感じで怖いんですけど!
「はあ……こいつのスイッチを入れてしまったようだな」
酒場のマスターが呆れ顔でアタシたちの傍にやって来た。
「嬢ちゃん達、一度話し出すと一晩この親父は止まらんぞ。用事があるならさっさと行った方がいいぜ、このまま聞くなら話は別だがな」
アタシの嫌な予感がしたのはこれだったのか!
「しかしですな! そこから推測するに私の考えでは、私の先祖が――」
マスターが間に入ったのに止まる気配がない。
そして何故か自分の先祖話になって来ているし。
「……いえ、遠慮します」
「ボクも……」
この感じだと本当にしゃべり続けそう。
情報をくれたのはありがたいけど、流石に一晩も話を聞いていられないわ。
「だろうな。おーい、ムタ! すまんがジェイゴローの親父の家に行ってカミさんを連れて来てくれないか!」
「はあ? またなの? わかったわ、ちょっと待ってて!」
店の奥から女性が出て来て、走って出て行った。
何かすごく申しわけない気分になって来た。
「あの、すみません。ご迷惑を……」
自然と謝罪の言葉が口から出て来た。
「何を言ってんだ、嬢ちゃん達のせいじゃないさ。ここは気にしないで、行った行った」
「はい……失礼します……」
アタシ達はマスターに頭を下げ、酒場を静かに出て行った。
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その辺に居る人に片っ端から話しかけるのもいいけど、それだと時間が掛かるわよね。
となると、人が集まっていて情報が聞きやすい場所といったら……酒場か。
「ねぇジョシュア、リリクスに酒場ってあったかしら?」
「酒場? ……えーと、確かリリクスの街の西際辺りにあったはずだよ」
あるのなら行く場所は決まりね。
「それじゃあ、その酒場に行ってみましょう」
「了解。人が居ればいいけど……」
そこは別に気にする事はないのに。
仮に人が居なくても、営業さえしていれば問題は無し。
酒場のマスターなら客から聞いたとかで情報を持っている可能性はあるし、マスターは色んな人とも出会っている。
だから、そういった事に詳しい人を紹介してもらえばいいだけの話。
「そんな事は気にしなくていいわよ。ほら、行くよ」
「はーい」
ただ、問題があるとすればこの時間に営業しているかどうかなんだけどね……まぁ営業していなかったらその時はその時で、また別の方法を考えればいいか。
※
良かった、この時間でも酒場はやっていた。
しかも思ったより人がいるわね。
とはいえ、まずはマスターに話を聞いてみましょう。
「ちょっといいかしら?」
「ん? なんだい?」
これまた屈強な体をしたマスターね。
コップを磨くより、剣を磨いている方がしっくりきそう。
「この辺りで魔力が集まる場所とか魔力に関わる場所ってないかしら?」
「魔力の集まる場所だ? んな事を聞いてどうするんだい」
「ちょっと色々あってね」
流石にデュラハンがこの街の傍にいたなんて言えないよね。
余計な混乱は避けるべきだし。
「色々ねぇ……まぁいいや、何か事情があるみたいだしこれ以上は聞かねぇよ」
「助かるわ」
空気を読んでくれるマスターで良かった。
たまにいるのよね、言いたくないのにしつっこく聞いてくる人が。
「んー魔力の集まる場所か。それなら俺に聞くより、あの親父に聞いた方がいいぜ」
マスターが顎をしゃくった。
その先にはテーブルに座ってお酒を飲んでいる、アフロヘアーでまん丸メガネをかけたちっこいおじさんがいた。
「……えっ? ええっ!? あの人に!?」
ジョシュアが怪訝な顔をして驚いている。
正直、アタシも同じ顔をしているかもしれない。
「ああ、あの親父はこの辺りでは有名な変じ……物知りなんだ」
今変人って言いかけたよね。
絶対に言いかけたよね。
「だから詳しく聞けると思うぜ」
「わっわかったわ……ありがとう」
う~ん……情報を得るためとはいえ、なんか話し掛け辛いな。
なんか怪しい人なんだよね。
見た目で判断しちゃいけないけど……よし、こうなったら。
「さっジョシュア、あの人に声を掛けて」
ジョシュアに押し付けよう。
「……へっ! ボクが!? なんで!?」
「ほら、早く」
ジョシュアの脇腹を肘でツンツンする。
ジョシュアって脇腹が弱いんだよね。
「ちょっ! やめてよ! もーしょうがないなー……はぁーこういう事はいっつもボクにやらせるんだから……」
「何か言った?」
「いいえ……何も……」
ジョシュアがアフロのおじさんに近づいて行った。
アタシは少し離れて後ろについて行く。
「あのーすみません。ちょっといいですか?」
「む、あなたは誰ですかな?」
アフロのおじさんがジョシュアの方を向いた。
う~ん……やっぱり怪しい人にしか見えない。
「あっボクはジョシュアと言います。で、彼女はレインです」
こいつ、道連れにしやがった!
おじさんもこっちを見ているし。
これは何かしらアクションしないと駄目だよね。
「えと、どうも」
「どうもですな、私はジェイゴローと言いますな。で、私に何か用ですかな?」
「マスターに、この辺りで魔力が集まる場所とか魔力に関わる場所はジェイゴローさんに聞けばわかるとお聞きしまして」
「なるほどですな。ふむ、この周辺ですとアカニ村の近くに枯れた魔樹の跡地があるですな」
「アカニ村……ですか」
枯れた魔樹の跡地か。
魔樹は魔力を生み出しているからデュラハンが狙う可能性は十分あり得るわね。
これからはそこも視野に入れる様にしよう。
「あと私の仮説が正しければ、白の神殿も怪しいですな」
「白の神殿? そこはどういう所なの?」
「この街の近くにある神殿ですな。今は誰も住んでいない上に、中にはモンスターも潜んでいるので誰も寄り付かない場所ですな」
なにそれ。
聞く限りだとただの廃墟の感じじゃない。
「どうして、そこが怪しいと?」
「歴史を調べて見ると非常におかしいのですな!」
何やらジェイゴローさんが声を荒らげ始めた。
なに? 急にどうしたの?
「ふむふむ、歴史に何かあったんですか?」
ジョシュアはそんな事を気にせずにジェイゴローさんに質問をしている。
何故だろう、アタシはこれ以上この人の話を聞いてはいけない気がする。
「逆ですな! 何もなかったのですな!」
「「はい?」」
何も無かった?
この人は一体何を言っているんだろう。
「あの様な神殿なのに何一つ資料が残っていないのですな! いつ建てられたのかも謎ですな! 伝承も無いですな! 昔話でも伝わっていないですな! ここまで何も残っていないのは明らかに不自然ですな! あのにあの神殿の中には罠がいっぱいですな! まるで何かを守るか隠そうとしている様ですな! そう考えるときっと奥には何かがあると思うのですな!」
急にジェイゴローさんがテーブルの上に立ち熱弁をし始めた!
なに? なんなの!? なんか鬼気迫る感じで怖いんですけど!
「はあ……こいつのスイッチを入れてしまったようだな」
酒場のマスターが呆れ顔でアタシたちの傍にやって来た。
「嬢ちゃん達、一度話し出すと一晩この親父は止まらんぞ。用事があるならさっさと行った方がいいぜ、このまま聞くなら話は別だがな」
アタシの嫌な予感がしたのはこれだったのか!
「しかしですな! そこから推測するに私の考えでは、私の先祖が――」
マスターが間に入ったのに止まる気配がない。
そして何故か自分の先祖話になって来ているし。
「……いえ、遠慮します」
「ボクも……」
この感じだと本当にしゃべり続けそう。
情報をくれたのはありがたいけど、流石に一晩も話を聞いていられないわ。
「だろうな。おーい、ムタ! すまんがジェイゴローの親父の家に行ってカミさんを連れて来てくれないか!」
「はあ? またなの? わかったわ、ちょっと待ってて!」
店の奥から女性が出て来て、走って出て行った。
何かすごく申しわけない気分になって来た。
「あの、すみません。ご迷惑を……」
自然と謝罪の言葉が口から出て来た。
「何を言ってんだ、嬢ちゃん達のせいじゃないさ。ここは気にしないで、行った行った」
「はい……失礼します……」
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