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5章 二人の巡り合い
アースの書~巡り合い・3~
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ガタゴトと音を立てながら馬車がアカニ村に向けて進む。
俺の叫びで即戻って来たラティアに頭を回収され、なんとか馬車に乗る事が出来た。
あのまま忘れられしまったらと思うと恐ろしすぎるぞ。
「本当の本当にすみませン……アース様……」
俺の中に入っているラティアが、しょんぼりとした声を出して俺に何度も謝って来ている。
確かに宿屋のベッドに置いて行かれた事はショックだったが……俺も別に怒ってはいないんだがな。
『もう謝らなくてもいいって……あの後、すぐに戻って来てくれたじゃないか』
それにしても頭だけになると、何も出来ないのはどうにかしたいな。
頭の部分に小さなガントレットとブーツをつけるか?
……それで動けるかもわからないし、何より見た目が気持ち悪すぎるからやめておこう。
ただ最終手段としての候補に頭の片隅にでも置いておいてはおくか。
「でモ……でモ……ああ、私とした事がアース様を忘れるなんテ……うう……」
これは駄目だな。
落ち着くまで、そっとしておこう。
「ねぇねぇ~ちょっと気になっていた事があるんだけどさ」
姿が見えないエイラが耳元で話しかけてきた。
今馬車に乗っている人が少ないから、俺達の隣にいたのか。
『気になっていた事ってなんだ?』
「アースはあの時、体を動かせたのになんでラティアを止めないで声を出していたの?」
『……あっ』
そうだった、エイラの言う通りじゃないか。
ラティアと同時に動作とか歩調を合わすのは至難のわざ。
だから俺は体の力を抜き、体の主導権をラティアに任せていた。
そのせいでそれが出来る事をすっかり忘れていた。
馬鹿だ……自分自身の体なのにそんな事も気付かないだなんて……。
『……』
「…………まさかとは思うけど、自分の体なのに動かせるのを忘れていた………とかぢゃあない……よね?」
『……』
そのまさかなんです。
なんかもう、恥ずかしすぎて肯定の言葉も否定の言葉も何も言えない。
「……あ~……えと……あっ外はすごくいい天気だ、だからあ~しは天井の上で一眠りしてくるね!」
俺の沈黙に耐えられなかったのか、エイラはそそくさと外に逃げ出してしまったようだ。
「……あっそうだ、注意事を言わないといけなかったんだった。皆さま、ちょっと私の話を聞いてくださいませ」
そんな俺の気持ちなんて知る由もない御者さんが、馬車内に居る俺達に話しかけてきた。
その言葉に他のお客も、何だろうと御者さんを見ている。
馬車を止めないで話しかけてくるという事は、何かしらのトラブルって事ではない感じだが……。
「……? 何でしょうネ」
『またこの先に盗賊が……とかじゃないといいけどな』
急ぐ旅でもないが、その度に足止めっていうのも困る。
常に帝国兵や旅の剣士達が居るわけでもないし。
「この盗賊のいた森林を抜けて少し行くと湿地帯があるんですよ。そこにはポイズンフロッグが生息していますので、不要に湿地帯に近づいたり、ポイズンフロッグを刺激しない様に気を付けて下さいね」
御者さんの話は注意喚起の事だったのか。
ポイズンフロッグ、全身紫色で大人の拳くらいの大きさがあり、体内に毒袋を持っているカエル。
その毒を口から霧状に吐き出して獲物を捕らえたり外敵に攻撃をしたりする。
人の場合その毒を吸い込んでしまうと喉を傷めてしまうし、その毒の量が多ければ最悪死に至ってしまう事もある。
ジャイアントスネーク同様に危険な生き物として駆除の対象なんだが……行動範囲が狭い事と、こちらから手を出さなければ攻撃はしてこないという事もあり優先度は低い。
とはいえ、気を付ける事に越したことはない。
「ポイズンフロッグですカ。それは気を付けないといけませんネ」
『そうだな。俺は吸い込んだ事はないけど、親父がポイズンフロッグの毒を吸い込んでしまった事があるんだよ』
「え! 大丈夫だったんですカ?」
『ああ、喉の痛み程度で済んだよ。でも相当痛かっただったみたいで、2~3日はまともに声が出せなかったし出せてもガラガラ声だったな』
……どうして毒を吸い込んでしまったのかは黙っていよう。
転んでしまった目の前にポイズンフロッグが居て、それに驚いた親父が悲鳴を上げ、更にその悲鳴に驚いたポイズンフロッグが親父に向かって毒をぶっかけて来たって事を……。
「そうだったんですカ……お父様も災難でしたネ」
『本当にな……』
その時、その場に俺もいて一部始終を見ていた。
まさかあの威厳な親父がポイズンフロッグを見た瞬間、女性の様な悲鳴を上げるとは思いもしなかったな。
まぁどんな人でも苦手なものはあると学んだ日でもあったが……。
※
日も傾きかけたころ、俺達はアカニ村に到着。
盗賊やポイズンフロッグも出ることなく、無事にアカニ村に着けた事は喜ばしい事だ。
『ここがアカニ村か……』
アルガムとは違い、畑が多く人家が少ない。
俺の故郷と同じ感じで懐かしさを感じるな。
「あのアース様、オリバー様の情報はやはり村長さんに聞いた方がいいですかネ」
『そうだな。その方が確実だと思う』
「わかりましタ。御者さんに村長さんのお宅を聞いてみますネ」
んーこの言葉の壁も問題だよな。
一々ラティアに通訳を頼んでいるのは申しわけが無いんだよな。
「すみませン。村長さんのお宅はどこですカ?」
「村長の家? それならあの紅い屋根の家だよ」
御者さんが指をさした先に1件だけ赤い屋根の家がある。
目立つからすぐわかるな。
『ん?』
その奥には他の家とは違い、一回り大きい立派な建物が建っている。
見た感じ教会っぽいな。
「あのお宅ですね、わかりましタ。教えて頂きありがとうございまス」
「いえいえ。それでは良い旅を……ハッ!」
御者さんが握っていた手綱を上から下に叩き、馬車を発車させた。
そちらも良い旅を……。
「では、村長さんのお宅に伺いましょウ」
『そうだな』
オリバーの情報が得られると良いな。
不安と期待を胸に村長の家へ向かおうとした。
「2人共ストップ! その前に、あ~しは姿を出したいんだけど……」
と思ったら、声と同時に見えない何かに肩を引かれた。
「あっごめン! そうだったわネ」
忘れていた。
エイラには村に着いたら、エイラは姿を出していい約束をしていたんだった。
『あー……じゃあ、あの茂みの中に入ろうか』
日も傾き人通りが無いとはいえ、こんな見晴らしいい所でエイラの姿を出させるわけにもいかない。
俺達は茂みの中に入り、エイラにローブを着せてから村長の家に向かった。
この時1つの小さな事件が起こっていた。
アース達の入った茂みの中には1人の男が茂みの中で寝ていたのだ。
その男は、物音で起きエイラの姿を見てしまっていた。
そして、アース達が去った後大慌てで家に帰り妻に報告をした。
だが、男性は酔っ払っていたので妻に相手をされなかった。
それでも食い下がる男に妻は激怒し、男は物置の中に入れられてしまった。
かくして村は一部を除き混乱も起きず、一部を除き静かに1日が終わるのだった……。
俺の叫びで即戻って来たラティアに頭を回収され、なんとか馬車に乗る事が出来た。
あのまま忘れられしまったらと思うと恐ろしすぎるぞ。
「本当の本当にすみませン……アース様……」
俺の中に入っているラティアが、しょんぼりとした声を出して俺に何度も謝って来ている。
確かに宿屋のベッドに置いて行かれた事はショックだったが……俺も別に怒ってはいないんだがな。
『もう謝らなくてもいいって……あの後、すぐに戻って来てくれたじゃないか』
それにしても頭だけになると、何も出来ないのはどうにかしたいな。
頭の部分に小さなガントレットとブーツをつけるか?
……それで動けるかもわからないし、何より見た目が気持ち悪すぎるからやめておこう。
ただ最終手段としての候補に頭の片隅にでも置いておいてはおくか。
「でモ……でモ……ああ、私とした事がアース様を忘れるなんテ……うう……」
これは駄目だな。
落ち着くまで、そっとしておこう。
「ねぇねぇ~ちょっと気になっていた事があるんだけどさ」
姿が見えないエイラが耳元で話しかけてきた。
今馬車に乗っている人が少ないから、俺達の隣にいたのか。
『気になっていた事ってなんだ?』
「アースはあの時、体を動かせたのになんでラティアを止めないで声を出していたの?」
『……あっ』
そうだった、エイラの言う通りじゃないか。
ラティアと同時に動作とか歩調を合わすのは至難のわざ。
だから俺は体の力を抜き、体の主導権をラティアに任せていた。
そのせいでそれが出来る事をすっかり忘れていた。
馬鹿だ……自分自身の体なのにそんな事も気付かないだなんて……。
『……』
「…………まさかとは思うけど、自分の体なのに動かせるのを忘れていた………とかぢゃあない……よね?」
『……』
そのまさかなんです。
なんかもう、恥ずかしすぎて肯定の言葉も否定の言葉も何も言えない。
「……あ~……えと……あっ外はすごくいい天気だ、だからあ~しは天井の上で一眠りしてくるね!」
俺の沈黙に耐えられなかったのか、エイラはそそくさと外に逃げ出してしまったようだ。
「……あっそうだ、注意事を言わないといけなかったんだった。皆さま、ちょっと私の話を聞いてくださいませ」
そんな俺の気持ちなんて知る由もない御者さんが、馬車内に居る俺達に話しかけてきた。
その言葉に他のお客も、何だろうと御者さんを見ている。
馬車を止めないで話しかけてくるという事は、何かしらのトラブルって事ではない感じだが……。
「……? 何でしょうネ」
『またこの先に盗賊が……とかじゃないといいけどな』
急ぐ旅でもないが、その度に足止めっていうのも困る。
常に帝国兵や旅の剣士達が居るわけでもないし。
「この盗賊のいた森林を抜けて少し行くと湿地帯があるんですよ。そこにはポイズンフロッグが生息していますので、不要に湿地帯に近づいたり、ポイズンフロッグを刺激しない様に気を付けて下さいね」
御者さんの話は注意喚起の事だったのか。
ポイズンフロッグ、全身紫色で大人の拳くらいの大きさがあり、体内に毒袋を持っているカエル。
その毒を口から霧状に吐き出して獲物を捕らえたり外敵に攻撃をしたりする。
人の場合その毒を吸い込んでしまうと喉を傷めてしまうし、その毒の量が多ければ最悪死に至ってしまう事もある。
ジャイアントスネーク同様に危険な生き物として駆除の対象なんだが……行動範囲が狭い事と、こちらから手を出さなければ攻撃はしてこないという事もあり優先度は低い。
とはいえ、気を付ける事に越したことはない。
「ポイズンフロッグですカ。それは気を付けないといけませんネ」
『そうだな。俺は吸い込んだ事はないけど、親父がポイズンフロッグの毒を吸い込んでしまった事があるんだよ』
「え! 大丈夫だったんですカ?」
『ああ、喉の痛み程度で済んだよ。でも相当痛かっただったみたいで、2~3日はまともに声が出せなかったし出せてもガラガラ声だったな』
……どうして毒を吸い込んでしまったのかは黙っていよう。
転んでしまった目の前にポイズンフロッグが居て、それに驚いた親父が悲鳴を上げ、更にその悲鳴に驚いたポイズンフロッグが親父に向かって毒をぶっかけて来たって事を……。
「そうだったんですカ……お父様も災難でしたネ」
『本当にな……』
その時、その場に俺もいて一部始終を見ていた。
まさかあの威厳な親父がポイズンフロッグを見た瞬間、女性の様な悲鳴を上げるとは思いもしなかったな。
まぁどんな人でも苦手なものはあると学んだ日でもあったが……。
※
日も傾きかけたころ、俺達はアカニ村に到着。
盗賊やポイズンフロッグも出ることなく、無事にアカニ村に着けた事は喜ばしい事だ。
『ここがアカニ村か……』
アルガムとは違い、畑が多く人家が少ない。
俺の故郷と同じ感じで懐かしさを感じるな。
「あのアース様、オリバー様の情報はやはり村長さんに聞いた方がいいですかネ」
『そうだな。その方が確実だと思う』
「わかりましタ。御者さんに村長さんのお宅を聞いてみますネ」
んーこの言葉の壁も問題だよな。
一々ラティアに通訳を頼んでいるのは申しわけが無いんだよな。
「すみませン。村長さんのお宅はどこですカ?」
「村長の家? それならあの紅い屋根の家だよ」
御者さんが指をさした先に1件だけ赤い屋根の家がある。
目立つからすぐわかるな。
『ん?』
その奥には他の家とは違い、一回り大きい立派な建物が建っている。
見た感じ教会っぽいな。
「あのお宅ですね、わかりましタ。教えて頂きありがとうございまス」
「いえいえ。それでは良い旅を……ハッ!」
御者さんが握っていた手綱を上から下に叩き、馬車を発車させた。
そちらも良い旅を……。
「では、村長さんのお宅に伺いましょウ」
『そうだな』
オリバーの情報が得られると良いな。
不安と期待を胸に村長の家へ向かおうとした。
「2人共ストップ! その前に、あ~しは姿を出したいんだけど……」
と思ったら、声と同時に見えない何かに肩を引かれた。
「あっごめン! そうだったわネ」
忘れていた。
エイラには村に着いたら、エイラは姿を出していい約束をしていたんだった。
『あー……じゃあ、あの茂みの中に入ろうか』
日も傾き人通りが無いとはいえ、こんな見晴らしいい所でエイラの姿を出させるわけにもいかない。
俺達は茂みの中に入り、エイラにローブを着せてから村長の家に向かった。
この時1つの小さな事件が起こっていた。
アース達の入った茂みの中には1人の男が茂みの中で寝ていたのだ。
その男は、物音で起きエイラの姿を見てしまっていた。
そして、アース達が去った後大慌てで家に帰り妻に報告をした。
だが、男性は酔っ払っていたので妻に相手をされなかった。
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