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第1章 契約の内容
《後》
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「やっと、笑ってくれたね。」
「あっ……」
自分のあまりにも、世間知らずな部分に、恥ずかしくて、愛想を振りまく事すら忘れていたのだ。
「お席は、こちらになります。」
そこは一番窓側の席だった。
「どうぞ。」
ウェイターの人に椅子を引かれ、それすらにも緊張した。
「何を飲む?」
「ああ、赤ワインを……」
「赤ワイン?」
本田さんは、私を見てまた笑っている。
「……可笑しいですか?」
「いや、そこだけ大人なんだなぁと思って。」
「えっ……」
やだ。
こういうお店に、あまり慣れていない事も、知られちゃった。
「お酒、強いの?」
「いえ。むしろ弱いんです。だから、最初にビールとか飲んでしまうと、飲みたいお酒が飲めなくなってしまって。」
「だから、最初から飲みたい物を飲むのか。」
「はい。」
そして本田さんは、手を挙げてウェイターを呼んだ。
「昼間だから、飲みやすいモノにしよう。君、キャンティを。」
「畏まりました。」
さらりと頼むところを見ると、本田さんは私とは真逆で、こういうお店には慣れているのだろう。
「さて。今のうちに少し、話ておきたい事があるんだ。」
「あっ、はい。」
私は、本題に入る前に、背筋を伸ばした。
「僕はね、会社を経営しているんだ。正直、仕事が忙しくて、今のところ恋愛する暇はない。もっと言えば、恋愛に興味がないんだ。それでも、欲求を満たす為にデリバリーも頼んでみたんだが、これが厄介な奴もいてね。それで素性がしっかりした人に、愛人契約を求めたんだ。君は?」
「ああ、私は……」
弟の手術費用とか言おうとして、止めた。
どうしてだか、この人に可哀相な女だと、思われたくない。
「私も、同じようなものです。両親がいなくなってしまって、弟の面倒を見なければならないんです。恋愛している時間もないです。」
「そうか。似た者同士、欲求を満たしたいと言う訳か。」
「はい。」
そして、赤ワインのボトルが運ばれて来た。
私達の目の前で、ワインが注がれる。
「じゃあ、契約内容を伝えておこう。一つ目は、関係を持つ事に対価を支払う。二つ目は、対価は一回事に10万。三つめ、君は誘われても断る権利を持つ。四つ目は、どちらかが関係を終了する意思表示をした時、この関係は終わりとする。そして、五つ目なんだが……」
「はい?」
「精神的なモノは求めない。いいね。」
「……はい。」
精神的なモノ……
要するに恋しちゃいけないって、事か。
なんだか、素敵な人だからこそ、がっかりしたかも。
「さあ、飲んで。契約を交わす、お祝いだ。」
「は、はい……」
私達はグラスを傾け、乾杯をした。
ワインは、思ったよりも美味しくて、昼間からお酒を飲む罪悪感を、払拭してくれるみたいだった。
「それにしても、君でよかった。」
「えっ?」
「僕はね、足が細くて長い子が好みなんだ。」
首筋の辺りが、むずがゆい。
そんな事言われたのは、初めてだ。
「どんどん、飲んで。それとも、セックスにお酒はいらない人?」
胸がドクンと鳴った。
耳元で言われたのもそうだけど、”セックス”って……
そんな言葉、昼間から口にできるなんて、この人は本当に、欲求だけなんだ。
「もう、そろそろ行こうか?」
「……どこにですか?」
「どこって、部屋にだよ。」
いつの間にか、本田さんの手の中には、鍵があった。
「あ、あの……本田さん?」
「ここで騒いだら、どんな事になるか、分かっているよね。」
ズキッと胸が痛んだ。
本田さんは、確信犯だ。
女を黙らせる事に、長けている。
私が立ち上がると、本田さんは私の手を握った。
それは、到底甘いものではなく、”逃がさない”と言わんばかりの。
クラクラする。
「行こうか。」
今まではいって言っていたのに、今だけは”はい”と言えない。
「えっと……」
「まさかここまで来て、取りやめって事はないよな。」
真っすぐな瞳。
どうしよう、このまま抱かれたら、私……
「すみません、やっぱり私……」
「できませんってか。」
重い空気が流れる。
このまま断るのは、どうしてもダメなの?
ここに来た時点で、こうなる事は、決まっていたの?
「あの……一度関係を持って、それで終わりと言う事は、ありますか?」
「あるだろうね。その際でも、今日の分は支払う。」
あくまでも、欲求を満たした代金と言う訳なのね。
「分かった。こうしよう。」
「えっ?」
顔を上げると、本田さんは手帳に自分の連絡先を書いた。
「3日間、考える猶予を与えよう。それで、愛人契約を結ぼうと思うのなら、ここに電話してくれればいい。」
「連絡が、なかったら?」
「僕は選ばれなかったと言う事だ。潔く他の人を探そう。」
私はゴクンと、息を飲んだ。
「分かりました。」
「よし。じゃあ、ここを出ようか。」
私達は立ち上がって、お店の入り口のところへ来た。
「あ、いくらですか?」
私が財布を出そうとすると、本田さんはそれを止めた。
「いいよ。ここは僕が出す。」
「いえ、そんな……期待外れな事までさせてしまったのに。」
すると本田さんは、手を差し出した。
「じゃあ、1000円。残りは僕が払う。」
「は、はい。」
私は急いで、1000円札を出した。
そんな割り勘の仕方、初めてだったから、ちょっと気が抜けた。
「本当は、いくらだったんですか?」
お店を出た後、エレベーターの中で、何気に聞いた。
「5000円。」
「えっ!?」
「嘘。3000円。」
「なーんだ。」
1本5000円もするようなワイン、昼間から頼む人がいるだなんて、びっくりした。
と言っても、1本3000円でも結構、いいワインだと思うけれど。
そしてエレベーターを降りて、私達はホテルの出口へ向かった。
「今日は本当に、すみませんでした。」
「いや、気にしなくていい。」
そして本田さんは、タクシーを呼んでくれた。
「送るよ。」
「いえ、そんな!」
「送らせて。」
そしてまた真っすぐな瞳で、私を見つめてくれた。
「君を抱く事もできない、家の近くまで送らせてもくれない。それじゃあ、今日来た甲斐がないじゃないか。」
「は、はい。分かり……ました。」
そんな情熱的な事を、この期に及んで言うなんて。
ずるい。
こんなんじゃあ、今日の夜にでも、電話してしまいそうになる。
二人でタクシーに乗って、私の家の方面へと、車を走らせた。
「……君は、どうして今日来たの?」
本田さんの問いに、息が止まった。
そう。
どうして、私はここに来てしまったんだろう。
「……興味が……あったのかもしれません。」
お金で性を買う人と、買われる人。
それを契約と呼ぶ人達に……
「じゃあどうだろう。僕は、期待外れだったのかな。」
「いいえ、そんなんじゃないです!本田さんは、とてもカッコ良くてっ!」
そんな私に、本田さんは目をキョトンとさせた。
「いえ、その……とても素敵な人で……夢のような出会いでした。」
「ははは。それじゃあ、少しは期待していいのかな。」
家の近くまで来た私は、タクシーを止めた。
「連絡待ってるよ。」
本田さんは私がタクシーを降りる時に、そう耳元で呟いた。
最後まで、ジェントルマンだった本田さん。
これでいいんだ。
私は静かに、目を閉じた。
「あっ……」
自分のあまりにも、世間知らずな部分に、恥ずかしくて、愛想を振りまく事すら忘れていたのだ。
「お席は、こちらになります。」
そこは一番窓側の席だった。
「どうぞ。」
ウェイターの人に椅子を引かれ、それすらにも緊張した。
「何を飲む?」
「ああ、赤ワインを……」
「赤ワイン?」
本田さんは、私を見てまた笑っている。
「……可笑しいですか?」
「いや、そこだけ大人なんだなぁと思って。」
「えっ……」
やだ。
こういうお店に、あまり慣れていない事も、知られちゃった。
「お酒、強いの?」
「いえ。むしろ弱いんです。だから、最初にビールとか飲んでしまうと、飲みたいお酒が飲めなくなってしまって。」
「だから、最初から飲みたい物を飲むのか。」
「はい。」
そして本田さんは、手を挙げてウェイターを呼んだ。
「昼間だから、飲みやすいモノにしよう。君、キャンティを。」
「畏まりました。」
さらりと頼むところを見ると、本田さんは私とは真逆で、こういうお店には慣れているのだろう。
「さて。今のうちに少し、話ておきたい事があるんだ。」
「あっ、はい。」
私は、本題に入る前に、背筋を伸ばした。
「僕はね、会社を経営しているんだ。正直、仕事が忙しくて、今のところ恋愛する暇はない。もっと言えば、恋愛に興味がないんだ。それでも、欲求を満たす為にデリバリーも頼んでみたんだが、これが厄介な奴もいてね。それで素性がしっかりした人に、愛人契約を求めたんだ。君は?」
「ああ、私は……」
弟の手術費用とか言おうとして、止めた。
どうしてだか、この人に可哀相な女だと、思われたくない。
「私も、同じようなものです。両親がいなくなってしまって、弟の面倒を見なければならないんです。恋愛している時間もないです。」
「そうか。似た者同士、欲求を満たしたいと言う訳か。」
「はい。」
そして、赤ワインのボトルが運ばれて来た。
私達の目の前で、ワインが注がれる。
「じゃあ、契約内容を伝えておこう。一つ目は、関係を持つ事に対価を支払う。二つ目は、対価は一回事に10万。三つめ、君は誘われても断る権利を持つ。四つ目は、どちらかが関係を終了する意思表示をした時、この関係は終わりとする。そして、五つ目なんだが……」
「はい?」
「精神的なモノは求めない。いいね。」
「……はい。」
精神的なモノ……
要するに恋しちゃいけないって、事か。
なんだか、素敵な人だからこそ、がっかりしたかも。
「さあ、飲んで。契約を交わす、お祝いだ。」
「は、はい……」
私達はグラスを傾け、乾杯をした。
ワインは、思ったよりも美味しくて、昼間からお酒を飲む罪悪感を、払拭してくれるみたいだった。
「それにしても、君でよかった。」
「えっ?」
「僕はね、足が細くて長い子が好みなんだ。」
首筋の辺りが、むずがゆい。
そんな事言われたのは、初めてだ。
「どんどん、飲んで。それとも、セックスにお酒はいらない人?」
胸がドクンと鳴った。
耳元で言われたのもそうだけど、”セックス”って……
そんな言葉、昼間から口にできるなんて、この人は本当に、欲求だけなんだ。
「もう、そろそろ行こうか?」
「……どこにですか?」
「どこって、部屋にだよ。」
いつの間にか、本田さんの手の中には、鍵があった。
「あ、あの……本田さん?」
「ここで騒いだら、どんな事になるか、分かっているよね。」
ズキッと胸が痛んだ。
本田さんは、確信犯だ。
女を黙らせる事に、長けている。
私が立ち上がると、本田さんは私の手を握った。
それは、到底甘いものではなく、”逃がさない”と言わんばかりの。
クラクラする。
「行こうか。」
今まではいって言っていたのに、今だけは”はい”と言えない。
「えっと……」
「まさかここまで来て、取りやめって事はないよな。」
真っすぐな瞳。
どうしよう、このまま抱かれたら、私……
「すみません、やっぱり私……」
「できませんってか。」
重い空気が流れる。
このまま断るのは、どうしてもダメなの?
ここに来た時点で、こうなる事は、決まっていたの?
「あの……一度関係を持って、それで終わりと言う事は、ありますか?」
「あるだろうね。その際でも、今日の分は支払う。」
あくまでも、欲求を満たした代金と言う訳なのね。
「分かった。こうしよう。」
「えっ?」
顔を上げると、本田さんは手帳に自分の連絡先を書いた。
「3日間、考える猶予を与えよう。それで、愛人契約を結ぼうと思うのなら、ここに電話してくれればいい。」
「連絡が、なかったら?」
「僕は選ばれなかったと言う事だ。潔く他の人を探そう。」
私はゴクンと、息を飲んだ。
「分かりました。」
「よし。じゃあ、ここを出ようか。」
私達は立ち上がって、お店の入り口のところへ来た。
「あ、いくらですか?」
私が財布を出そうとすると、本田さんはそれを止めた。
「いいよ。ここは僕が出す。」
「いえ、そんな……期待外れな事までさせてしまったのに。」
すると本田さんは、手を差し出した。
「じゃあ、1000円。残りは僕が払う。」
「は、はい。」
私は急いで、1000円札を出した。
そんな割り勘の仕方、初めてだったから、ちょっと気が抜けた。
「本当は、いくらだったんですか?」
お店を出た後、エレベーターの中で、何気に聞いた。
「5000円。」
「えっ!?」
「嘘。3000円。」
「なーんだ。」
1本5000円もするようなワイン、昼間から頼む人がいるだなんて、びっくりした。
と言っても、1本3000円でも結構、いいワインだと思うけれど。
そしてエレベーターを降りて、私達はホテルの出口へ向かった。
「今日は本当に、すみませんでした。」
「いや、気にしなくていい。」
そして本田さんは、タクシーを呼んでくれた。
「送るよ。」
「いえ、そんな!」
「送らせて。」
そしてまた真っすぐな瞳で、私を見つめてくれた。
「君を抱く事もできない、家の近くまで送らせてもくれない。それじゃあ、今日来た甲斐がないじゃないか。」
「は、はい。分かり……ました。」
そんな情熱的な事を、この期に及んで言うなんて。
ずるい。
こんなんじゃあ、今日の夜にでも、電話してしまいそうになる。
二人でタクシーに乗って、私の家の方面へと、車を走らせた。
「……君は、どうして今日来たの?」
本田さんの問いに、息が止まった。
そう。
どうして、私はここに来てしまったんだろう。
「……興味が……あったのかもしれません。」
お金で性を買う人と、買われる人。
それを契約と呼ぶ人達に……
「じゃあどうだろう。僕は、期待外れだったのかな。」
「いいえ、そんなんじゃないです!本田さんは、とてもカッコ良くてっ!」
そんな私に、本田さんは目をキョトンとさせた。
「いえ、その……とても素敵な人で……夢のような出会いでした。」
「ははは。それじゃあ、少しは期待していいのかな。」
家の近くまで来た私は、タクシーを止めた。
「連絡待ってるよ。」
本田さんは私がタクシーを降りる時に、そう耳元で呟いた。
最後まで、ジェントルマンだった本田さん。
これでいいんだ。
私は静かに、目を閉じた。
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