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第2章 懇願
《前》
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翌日、私は三宅先輩に、契約を保留にしてきた事を伝えた。
「えっ……保留?」
三宅先輩は、口をあんぐり開けていた。
「どうして?何がダメだったの?」
「本田さんは、とても素敵な人です。問題は、私の気持ちで……」
「怖気づいたの?」
私は、返事をしなかった。
「まあ、あなたのようなお嬢様気質の人が、怖気づくのも分かるわ。」
「お嬢様気質だんなんて。」
私は、首を横に振った。
「悪い意味じゃないわ。いい育ち方をしたって言う意味よ。」
三宅先輩は、目の前のコーヒーをグイッと飲んだ。
「私なんかはさ。実家が貧しかったから、そう言うモノで稼がないと、高校にも行けなくてさ。」
「先輩……」
「だから、こういう世界が普通にあると、思っちゃうんだよね。」
三宅先輩は、どこか肝の座った人だった。
大抵の事では、動じないと言うか。
それが、そういう生い立ちから来ているとは、今の今まで知らなかった。
「で?どうするの?泰介君の手術費用。」
「……考えていませんでした。」
三宅先輩は、はぁっとため息をついた。
「まあ、保留って事は猶予期間があるんでしょ?」
「はい。」
「その間に、よく考えなよ。」
「そう……ですね。」
三宅先輩はそう言うと、休憩室を去って行った。
本田さんに抱かれたら、私は愛人契約以上の事を求めてしまう。
それは、望んでも叶わない夢。
だから最初から、望んじゃいけないんだ。
その為には、どうにかして、泰介の手術費用を稼がないと。
私は、残業した場合の給料を計算してみた。
毎日残業すれば、何とかお金は貯まるけれど、優良企業のうちの会社は、そんなに残業はない。
副業したって、バイト代は、たかが知れている。
この際、キャバクラに……
そんな事を言っている間に、保留期間は一日過ぎた。
翌日、私は就職情報雑誌を持って、ナイト系のお店に、面接に行った。
「いや、うちは君みたいな可愛い子、大歓迎だけどね。」
「じゃあ!」
「でも、本当にうちみたいなお店で、働きたいの?」
「えっ?」
店長さんは、私をじっと見つめた。
「たくさんの女の子を面接していると、分かるのよ。こういう仕事が、好きじゃない子。でもお金の為にって、思いつめるのよね。そういう子って、結局続かないのよ。」
「あの……」
私は、心の内を見透かされたようで、恥ずかしくなった。
「私、一生懸命働きます。」
「そうは言ってもね。向く子と向かない子がいるのよ。悪い事は言わないわ。あなた、こういう商売じゃなくて、真っ当な道を選びなさい。」
そう言って、オーナーは行ってしまった。
お店を出た私は、敗北感に蝕まれていた。
お酒を飲んで、お客さんを楽しませていればいいのだと言う安易な考えは、プロには通用しなかったみたい。
こうして猶予期間は、明日を残すのみになった。
その日は会社は休日で、泰介のところへ来ていた。
「洗濯物は、ここね。」
「あいよ、姉ちゃん。」
こうして見ると、泰介は病人には見えないけれど、いつ命を奪うかもしれない爆弾を、脳に抱えているのだ。
そんな時泰介が、俯きながら言った。
「姉ちゃん。俺、このまま死んでもいいよ。」
「なに言ってんの。人生、これからじゃない!」
「うん。でも、姉ちゃんの重荷には、なりたくないんだ。」
「泰介……」
病院の帰り道、電信柱の影に、闇金の広告が載っていた。
「もう、お金を借りるしかないか。」
私はその闇金の電話番号を控えて、電話をした。
もうその日は夜になり、猶予期間も過ぎていた。
それでいい。
本田さんとは、あの日だけの縁だったのだ。
闇金に電話をすると、『今から借りられますよ。』と言う事だった。
教えられた住所に行くと、狭い階段が待ち受けていた。
それを昇ると、シンプルなドアが待ち構えていた。
「失礼します。」
ドアを開けると、黒いスーツを着た人が迎えてくれた。
「融資のご案内ですね。」
「はい。」
カウンターの場所に座らせられ、申し込み用紙の記入を求められた。
書く内容は、一般的なローンの申込用紙と一緒だった。
「お願いします。」
記入をした用紙を、その黒いスーツの人に差し出した。
その人はチラッと私を見ると、申込用紙に目を通した。
「この年収ですと、融資できる金額は15万程になりますね。」
「それだけですか!?」
期待外れの金額に、思わず大きな声を出してしまった。
「あの……お金は必ずお返ししますから、もう少しなんとかなりませんか?」
治療費と手術費は、年末調整で帰ってくるから、今だけ乗り越えれば……
すると黒いスーツの人は、私に近づいて来て、耳元で呟いた。
「あんた、ソープの経験は?」
「ソ、ソープ?ななないです。」
「ソープで働くんだったら、倍出してもいいよ。」
「倍ですか……」
30万あれば、手術できる。
けれど、ソープって……
私はゴクンと息を飲んだ。
ソープって言っても、ただ裸になってサービスするだけよ。
愛人契約よりは、まだましよ。
「あの……週に1回でも、いいのなら。」
「週一?それで30万返せると思ってんの?」
黒いスーツの人は、私を鋭い目で見降ろした。
「あくまでね、あんたがローン契約組めるのは、15万まで。残りの15万は、来月末まで返して貰わなきゃ。」
「そんな!」
私の額に、嫌な汗が滲んだ。
「ソープで週5回働けば、返せない額じゃないでしょ。」
「私、昼間働いていますし!」
「夜だよ、夜!昼間の仕事終わってから、夜働くんだよ!」
「そうしたら、弟の面倒が……」
「面倒くせえなぁ。」
黒いスーツの人は、足を組んだ。
「やるの?やらないの?」
お金を借りに来たのに、まさかソープの話までされるなんて。
「……すみません、キャンセルします。」
「あっ、そう。」
私は傷付いたまま、立ち上がった。
「ったく。お嬢様が。使い道が弟の治療費?弟も気の毒だな。」
扉を閉める際に言われた一言が、更に追い打ちをかけた。
どうすればよかったんだろう。
やっぱり私は、世間知らずのお嬢様なんだろうか。
その時、病院から電話が入った。
『泰介君のお姉様ですか?』
「はい。」
『至急病院へ来て下さい!弟さんが……意識不明に陥って!』
「泰介が!?」
私は電話を受けて、病院へ急いだ。
「泰介!」
ベッドの上では、何人かの医師と看護師が、泰介の周りを囲んでいた。
「泰介!泰介!」
看護師さんを押しのけると、目を開けて痙攣している泰介の姿があった。
「泰介……」
「お姉さん、少し離れていてください。」
泰介の腕に注射が打たれる。
それでも痙攣は治まらなくて、泰介の目からは涙が零れた。
泰介に付き添っていた医師が、それを見て私のところへ近づいて来た。
「お姉さん。弟さんはもう限界です。早く手術をしないと命が持ちません。」
それを聞いた私は、病院を抜け出した。
もう、迷っている暇なんてない。
闇金からお金を借りて、ソープで働くなら、少しでも惹かれた本田さんに、愛が無くても抱かれる方がまし。
私は、本田さんから貰った電話番号に、急いで電話をした。
「えっ……保留?」
三宅先輩は、口をあんぐり開けていた。
「どうして?何がダメだったの?」
「本田さんは、とても素敵な人です。問題は、私の気持ちで……」
「怖気づいたの?」
私は、返事をしなかった。
「まあ、あなたのようなお嬢様気質の人が、怖気づくのも分かるわ。」
「お嬢様気質だんなんて。」
私は、首を横に振った。
「悪い意味じゃないわ。いい育ち方をしたって言う意味よ。」
三宅先輩は、目の前のコーヒーをグイッと飲んだ。
「私なんかはさ。実家が貧しかったから、そう言うモノで稼がないと、高校にも行けなくてさ。」
「先輩……」
「だから、こういう世界が普通にあると、思っちゃうんだよね。」
三宅先輩は、どこか肝の座った人だった。
大抵の事では、動じないと言うか。
それが、そういう生い立ちから来ているとは、今の今まで知らなかった。
「で?どうするの?泰介君の手術費用。」
「……考えていませんでした。」
三宅先輩は、はぁっとため息をついた。
「まあ、保留って事は猶予期間があるんでしょ?」
「はい。」
「その間に、よく考えなよ。」
「そう……ですね。」
三宅先輩はそう言うと、休憩室を去って行った。
本田さんに抱かれたら、私は愛人契約以上の事を求めてしまう。
それは、望んでも叶わない夢。
だから最初から、望んじゃいけないんだ。
その為には、どうにかして、泰介の手術費用を稼がないと。
私は、残業した場合の給料を計算してみた。
毎日残業すれば、何とかお金は貯まるけれど、優良企業のうちの会社は、そんなに残業はない。
副業したって、バイト代は、たかが知れている。
この際、キャバクラに……
そんな事を言っている間に、保留期間は一日過ぎた。
翌日、私は就職情報雑誌を持って、ナイト系のお店に、面接に行った。
「いや、うちは君みたいな可愛い子、大歓迎だけどね。」
「じゃあ!」
「でも、本当にうちみたいなお店で、働きたいの?」
「えっ?」
店長さんは、私をじっと見つめた。
「たくさんの女の子を面接していると、分かるのよ。こういう仕事が、好きじゃない子。でもお金の為にって、思いつめるのよね。そういう子って、結局続かないのよ。」
「あの……」
私は、心の内を見透かされたようで、恥ずかしくなった。
「私、一生懸命働きます。」
「そうは言ってもね。向く子と向かない子がいるのよ。悪い事は言わないわ。あなた、こういう商売じゃなくて、真っ当な道を選びなさい。」
そう言って、オーナーは行ってしまった。
お店を出た私は、敗北感に蝕まれていた。
お酒を飲んで、お客さんを楽しませていればいいのだと言う安易な考えは、プロには通用しなかったみたい。
こうして猶予期間は、明日を残すのみになった。
その日は会社は休日で、泰介のところへ来ていた。
「洗濯物は、ここね。」
「あいよ、姉ちゃん。」
こうして見ると、泰介は病人には見えないけれど、いつ命を奪うかもしれない爆弾を、脳に抱えているのだ。
そんな時泰介が、俯きながら言った。
「姉ちゃん。俺、このまま死んでもいいよ。」
「なに言ってんの。人生、これからじゃない!」
「うん。でも、姉ちゃんの重荷には、なりたくないんだ。」
「泰介……」
病院の帰り道、電信柱の影に、闇金の広告が載っていた。
「もう、お金を借りるしかないか。」
私はその闇金の電話番号を控えて、電話をした。
もうその日は夜になり、猶予期間も過ぎていた。
それでいい。
本田さんとは、あの日だけの縁だったのだ。
闇金に電話をすると、『今から借りられますよ。』と言う事だった。
教えられた住所に行くと、狭い階段が待ち受けていた。
それを昇ると、シンプルなドアが待ち構えていた。
「失礼します。」
ドアを開けると、黒いスーツを着た人が迎えてくれた。
「融資のご案内ですね。」
「はい。」
カウンターの場所に座らせられ、申し込み用紙の記入を求められた。
書く内容は、一般的なローンの申込用紙と一緒だった。
「お願いします。」
記入をした用紙を、その黒いスーツの人に差し出した。
その人はチラッと私を見ると、申込用紙に目を通した。
「この年収ですと、融資できる金額は15万程になりますね。」
「それだけですか!?」
期待外れの金額に、思わず大きな声を出してしまった。
「あの……お金は必ずお返ししますから、もう少しなんとかなりませんか?」
治療費と手術費は、年末調整で帰ってくるから、今だけ乗り越えれば……
すると黒いスーツの人は、私に近づいて来て、耳元で呟いた。
「あんた、ソープの経験は?」
「ソ、ソープ?ななないです。」
「ソープで働くんだったら、倍出してもいいよ。」
「倍ですか……」
30万あれば、手術できる。
けれど、ソープって……
私はゴクンと息を飲んだ。
ソープって言っても、ただ裸になってサービスするだけよ。
愛人契約よりは、まだましよ。
「あの……週に1回でも、いいのなら。」
「週一?それで30万返せると思ってんの?」
黒いスーツの人は、私を鋭い目で見降ろした。
「あくまでね、あんたがローン契約組めるのは、15万まで。残りの15万は、来月末まで返して貰わなきゃ。」
「そんな!」
私の額に、嫌な汗が滲んだ。
「ソープで週5回働けば、返せない額じゃないでしょ。」
「私、昼間働いていますし!」
「夜だよ、夜!昼間の仕事終わってから、夜働くんだよ!」
「そうしたら、弟の面倒が……」
「面倒くせえなぁ。」
黒いスーツの人は、足を組んだ。
「やるの?やらないの?」
お金を借りに来たのに、まさかソープの話までされるなんて。
「……すみません、キャンセルします。」
「あっ、そう。」
私は傷付いたまま、立ち上がった。
「ったく。お嬢様が。使い道が弟の治療費?弟も気の毒だな。」
扉を閉める際に言われた一言が、更に追い打ちをかけた。
どうすればよかったんだろう。
やっぱり私は、世間知らずのお嬢様なんだろうか。
その時、病院から電話が入った。
『泰介君のお姉様ですか?』
「はい。」
『至急病院へ来て下さい!弟さんが……意識不明に陥って!』
「泰介が!?」
私は電話を受けて、病院へ急いだ。
「泰介!」
ベッドの上では、何人かの医師と看護師が、泰介の周りを囲んでいた。
「泰介!泰介!」
看護師さんを押しのけると、目を開けて痙攣している泰介の姿があった。
「泰介……」
「お姉さん、少し離れていてください。」
泰介の腕に注射が打たれる。
それでも痙攣は治まらなくて、泰介の目からは涙が零れた。
泰介に付き添っていた医師が、それを見て私のところへ近づいて来た。
「お姉さん。弟さんはもう限界です。早く手術をしないと命が持ちません。」
それを聞いた私は、病院を抜け出した。
もう、迷っている暇なんてない。
闇金からお金を借りて、ソープで働くなら、少しでも惹かれた本田さんに、愛が無くても抱かれる方がまし。
私は、本田さんから貰った電話番号に、急いで電話をした。
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