【R18】愛人契約

日下奈緒

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第3章 パーティー

《後》

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「ほ、本田さん。」

「静かに。動かないで。」

そう言って本田さんは、私の足を摩ってくれた。


「すまない。あの人は、前に愛人契約を結んでいた人で……」

「……本人から聞きました。」

「そうだったか。何か言ってたか?」

「……何も。」

そう答えると本田さんは、摩る手を止めた。

「何も言ってなかった相手が、君にこんな事をする訳ないだろう。」

「いえ……」


彼女だけが悪いんじゃない。

私だって、彼女を煽るような事を言った。

お互い様なのだ。


「言ってくれ。彼女が君に何を言ったのか。」

私は、正直に言えなかった。

「言えば、私の醜いところも、曝す事になります。」

「それでもいい。」

「そうなったら、本田さんに嫌われます。」

「僕は、君を嫌いになったりしないから。」

私は涙目で、本田さんを見た。


「本当の事を、教えてほしいんだ。」

その言葉に、私の目に涙が零れた。

「日満理さん?」

「彼女、私が愛人契約を結んでいた事、知っていました。」

「それで?」

「だから、特定の人を作らないって。私、悔しくて……つい言ってしまったんです。あなたの恋人だって。」

「日満理さん……」

「だから、彼女だけ悪いんじゃないんです。私も悪いんです。」

すると本田さんは、私を抱きしめてくれた。


「……何が悔しかったの?」

「私じゃあ、恋人になれないって言われているみたいで。」

そう言うと本田さんはゆっくり、私をベッドに押し倒した。

「僕が、君をずっと側に置きたいと言ったら?」

胸がキュンと締め付けられた。

「嬉しすぎます。でも……夢みたいで……」

「夢じゃないよ。僕は本当に君の事が……」


本田さんは私の服を無造作に脱がせた。

「初めて会った時から、君を気に入っていた。」

「本田さん……」

「今日は、激しく君を抱くよ。」

そう言って本田さんは、いつも以上に胸を激しく揉んだ。

「ああ……本田さん……」

「勇介と言ってくれ……」

首元も舌で激しく、舐め回される。


「勇介さん……」

私が彼の名前を呼んだ時に、一つになった。

「ああ……」

「中が熱いよ。こんなに熱いのは初めてだ。」

勇介さんこそ、熱い熱が伝わってくる。

「これからも一緒にいてくれないか?」

「私で、よければ……」

「ああ……」

勇介さんの動きが、いつもよりも激しくなる。

「あっ、ああ……」

「綺麗だよ……日満理……」

名前を呼ばれ……もう意識が飛びそうになった。


「もう……ダメ……」

「いいよ、イって……一緒にイキたい……」

その言葉に、体が高ぶって来る。

「ああ、イク……イク……ああっ!」

「ああっ!」


久々に体が絶頂を迎えた。

好きな人と一緒に。


どのくらい眠っただろうか。

気が付くと、隣に勇介さんはいなかった。


「勇介さん?」

起き上がると、勇介さんは一人でお酒を飲んでいた。

「ああ、起きたか。」

私が起きた事に気づいて、バスローブのまま、財布に手を掛けた。

「これでいいかな。」

テーブルには、10万円の札束が二つ、置いてあった。

「あの……これは……」

私は、勇介さんの隣に座った。

「今日のパーティーの参加費用と、今夜の費用だ。」


こんなもの二つで、私達の熱い夜が清算されようとするなんて。

「ああ、そうだ。これじゃあ、足りないか。」

そう言って、勇介さんは追加で5万円を置いた。

「なに?何なの?」

「避妊には気を遣っていたつもりだが、すまなかった。情に流されたのかもしれない。」

私は立ち上がって、勇介さんの頬を叩いた。

「そんなのって、お金で済む問題なの!?」


まさか、あの二人で愛し合った結果が、5万の追加料金だなんて。

「そんな事言ったって、君だって嫌だろう。愛人契約で臨んでもいない子供ができるのは。」

何かが、胸に突き刺さった。

「……安心してください。今日は安全日なので。」

私は5万円を勇介さんに、戻した。


「私、こんな屈辱を受けたのは、初めてです。」

「日満理?」

私は涙を拭くと、服を着た。

もう一刻でも早く、ここを出たい。

「待ってくれ。今日はもう遅い。ここに泊っていくといい。」

「結構です。」

私は上着を着て、部屋のドアに向かった。

「日満理!」

勇介さんは、私を後ろから抱きしめてくれた。


「ごめん。君を傷つけた。」

私は勇介さんの方に顔を向けた。

「なんで傷ついたか、分かる?」

「ああ。君の中に情熱を注いだのに、僕は気持ちがない振りをした。」

「勇介さん。」

私達は、初めてキスを交わした。

「もう一度、君を抱いてもいい?」

「ええ……」

私はその場で、服を脱いだ。


「もう、嘘をつかないよ。日満理、君は僕のものだ。」

「勇介さん、嬉しい……」

契約から始まった愛でも、私はよかった。

その夜は何度も何度も、勇介さんの情熱を、中に注ぎ込まれた。

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